2008年07月06日

今週後半の一本(2008/7/3~7/5)―『ブラスレイター』第13話

前回の怒涛の展開とはうって変わって、今回は過去編。
ジョセフがアマンダに語るという形で過去が明かされます。
大きな波はなかったけれど、かなりシビアな内容でした。

それにしても、冒頭、倒れているジョセフのもとにアマンダが駆けつける場面は、前回の続きにしては唐突過ぎますね。
時間の都合で1シーンくらいカットされていたのでしょうか?
DVDでは完全版が観られるのかも。

まずは、ジョセフの10歳の頃の話。

彼もマレクと同じように移民で、教会に引き取られて生活していました。
他にも何人か、同じような境遇の子供たちが一緒に生活していて、ジョセフは一番年上だったようです。
その教会は、街の住人の寄付がないとやっていけないような、あまりお金に余裕のない教会。
年上のジョセフは神父と一緒に寄付を募りに街に出ます。
彼らがよく行く家の子供がエミール。
エミールの両親は移民に理解を示して寄付をしているようですが、エミールと執事はそうではないようです。
神父が家に入り話をしている間、エミールは仲間とともにジョセフをいじめます。
そのことが神父にばれないように顔だけは殴らない念の入れよう。
話が終わった神父が家から出てくると、執事はわざと大きな声で挨拶をしてエミールに知らせます。

エミールは、街でジョセフを見つけると必ずいじめているようです。
マレクの場合と同じような状況ですね。
街の住人の大半も見て見ぬふりを決め込んでいるのかもしれません。

そんなある日、いつものようにいじめられているジョセフを見て一人の大人が駆けつけます。
その人の名前はフランツ。
他の街から来た、屋台のお菓子売り。
彼はエミールたちを追い払い、ジョセフを助けます。
ジョセフはその行為に何か裏があると疑って警戒しますが、すぐに間違いに気付きます。
そして、助けてくれたお礼にフランツを広場まで案内してあげます。

案内のお礼にフランツからお菓子を貰ったジョセフは、それを教会に持ち帰り、他の子供たちと分け合います。
こんな甘いものは初めてだと言って嬉しそうにお菓子を頬張る子供たちが微笑ましい。
でも、それと同時に、ジョセフを含め子供たち全員がお菓子というものの存在すら知らないという悲しい現実も際立ちます。

翌日、お菓子のお礼を言うために再び街に出るジョセフ。
神父は、そんなジョセフに木彫りのマリア像を手渡します。
神父からフランツへの感謝の印。

でも、街に出たジョセフが目にしたのは、フランツの屋台にいたずらするエミールたちでした。
彼らはフランツが屋台を離れた隙に、お菓子を川に投げ捨てていました。
ジョセフはそれを止めようとしますが、3対1ではかなうはずもありません。
あげくに彼らは屋台を川に落とそうとします。
戻ってきたフランツがそれに気付いて止めようとしますが、エミールたちはやめようとせず、屋台は川の中へ。
フランツも巻き添えをくって一緒に川に落ちてしまいます。

フランツは意識不明で病院へ運ばれ、ジョセフは警察署へ。
やがてエミールと彼の両親も現れますが、エミールは責任をすべてジョセフに擦り付けます。
両親はエミールの言うことを盲目的に信じ、ジョセフの言うことをまったく信じません。
ジョセフを嘘つき呼ばわりし、教会への寄付を打ち切ると脅します。
寄付を絶たれれば教会の子供たちが生きていけなくなると思ったジョセフは苦悩の末に自分がやったと認めます。

悔しさのあまり警察署を飛び出すジョセフ。
遅れて到着した神父はそれを見てジョセフを追い、自分の力が及ばないためにジョセフを苦しめてしまったことを詫びます。
ここで神父は、ジョセフの両親のことについて話します。
ジョセフの両親は、雪の降る夜に飢えと寒さで力尽きて死んでしまったのだと。
生まれて間もないジョセフはその腕に抱かれ、彼らの命の最後の温もりで生きながらえることができたのだと。

その後、フランツは回復。でも、すぐに街から追い出されたようです。
警察ぐるみでの証拠隠滅ということでしょう。

やがて、奉公先が決まった子供たちは教会を出て行きますが、ジョセフだけは残ります。
そして5年後、ジョセフが15歳の年。
大雨で川が氾濫し、洪水が起こります。
住処と一家の働き手を失った女子供と老人たちが、助けを求めて教会に集まります。
神父は疲労で倒れ、子供は飢えで死んでいく。
教会から飛び出し、神はなぜ助けてくれないのかと膝を落とすジョセフ。
そのときジョセフの前に光が現れます。
それはトラックのライト。
数台のトラックが教会に到着し、一人の青年医師の指示で避難民たちの救護が始まります。
「遅くなってすまなかった」と謝る青年に向かい、ジョセフは尋ねます。
「キミは・・・?」
それに対する青年の応えは「僕はザーギン」

それが、俺とザーギンの出会いだった・・・

ということで、今回と次回の2話に渡ってジョセフとザーギンの過去が語られるようです。

過去のザーギンは、移民への偏見がなく、純粋に弱者救済のために行動する青年といった感じですね。
教会に到着したときに「具合の悪いものは(中略)診察だ」と言いながら白衣を着ていたので、研究者ではなくて医師のようです。
この時点ではナノマシンとの接点はなさそう。

ザーギンが助けようとする人々のうち、少なくとも次回予告に出てくる子供の兄妹は死んでしまうようです。第9話の過去回想で横たわっていました。
この兄妹の隣にも何人かの子供が横たわっていたので、被害はもっと多いのでしょう。
そういう事態になっても公的な援助が進まないことに絶えられなくなって、ザーギンは道を踏み外してしまうのかもしれません。
同じく第9話の過去回想によれば、その時点で軍隊も介入してくるようなので、ザーギンがナノマシンを入手するのはその頃ということでしょうね。
その入手先がどこなのかが気になります。

そういえば、今回からエンディングが変わりました。
ラスト近くに出てくるステンドグラスでは、エレアがザーギン(?)よりも上、というかデモニアックの頂点に立っているのが何とも意味深です。
エレアの正体は未だに謎のままですが、すべての元凶はエレアなのでしょうか。

BLASSREITER (VOL.7) [DVD]
BLASSREITER (VOL.7) [DVD]

公式サイト
http://www.blassreiter.com/

ブラスレイター 第13話
遠い記憶

演出
友田政晴

脚本
太田愛

キャスト
ジョセフ       松風雅也
10歳のジョセフ    三瓶由布子
アマンダ       伊藤静
ミュラー神父     広瀬正志
ハンナ        山口眞弓
クルト        石川静
ミリアム       本多陽子
フランツ・ユーハイム 天田益男
ザーギン       諏訪部順一
エミール       小林ゆう
カール        荻野晴朗
ヘルガ        横尾まり
警察署長       飯島肇
異民         伝坂勉
ザザ         田村睦心
アニカ        大西望
ヒルダ        八木かおり
posted by animisc at 14:49| Comment(0) | TrackBack(1) | ブラスレイター | 更新情報をチェックする
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■BLASSREITER【#13】遠い追憶
Excerpt: BLASSREITER(ブラスレイター)#13の視聴感想です。 朽ちた教会。 平等でない世界。 着せられた罪。 失うのは弱者。 過酷な世界でも生きる意味はあるのか? ↑さぁポチッとな
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Tracked: 2008-07-06 16:35