でもここでちょっと一休みして過去の名作(?)を振り返ってみようかな、というこのコーナー。
第16回は『MADLAX(マドラックス)』です。
神奈川では2004年4月から月曜日の深夜にテレビ東京で全26話が放送されました。
当時のキャッチコピーは
今だけしかないわたし、今すらないあなた…。なにもない人間は、なにをしたらいいの?
でした(たぶん)。
初回放送はリアルタイムでは観ていなくて、ShowTimeで全話視聴しました。
ちなみに各話の評価グラフと一言感想はこちらにあります。
物語の主人公は、2人の少女。
どこか浮世離れしたつかみ所のない存在感を漂わせるマーガレットと、作品タイトルと同じ名前を持つフリーエージェントのマドラックスです。
彼女たちは12年以上前の記憶を失っています。
そして舞台は、ヨーロッパ(?)にある架空の国・ナフレスと、アジア南西部にある架空の内戦国・ガザッソニカ。
シリーズ前半は、2人の主人公がそれぞれの舞台でゲストキャラと絡む形で、一見まったく関連性のないドラマを積み重ねていきます。
実はそれぞれのドラマの中に「真実」のヒントが毎回必ず仕込まれているのがポイント。
そのヒントも、マーガレットとマドラックスの感覚的なつながりを表す描写や、マーガレットと謎の少女・レティシアのオーバーラップ表現などのように、すぐにそれと気付くものもあれば、ストーリーの自然な流れの中で各話のゲストキャラが語る何気ないセリフのように、後になってその真の意味がわかるものもあります。
初めのうちは息抜き回のように思えるエピソード(第9話)も例外ではなくて、レティシアがいる荒廃した場所とマーガレットが暮らす穏やかな場所が、同じ場所に重層化して存在する異世界である可能性や、マーガレットとガザッソニカの間に強いつながりがあることを示してくれます。
1クールの終わり辺りからは、メインキャラがガザッソニカに引き寄せられるように集まりだして、物語が大団円に向かって動き出します。
終盤で「真実」がほぼ明らかになってからは、フライデー・マンデーというキャラのギャグっぽい描写(実際は彼の狂気を演出しているのだとは思いますが、どうしてもギャグに見えてしまいます(^^;)が気になってちょっと興ざめしてしまうこともありますが、最終的に、人間の本質が利己的な残忍さにあると考えるキャラと、その残忍さを認め、理性でコントロールして生きていけるのが人間だと考えるキャラが、各々の求める世界を実現するため、すべてに決着をつけて終了となります。
作品テーマとしてはかなり重厚なものを扱っているのですが、実際に視聴するにあたってはそこまで難しいことは考える必要はありません。
不可思議なキャラの動きを追いながら、はったり感たっぷりのドラマ作りを楽しむのが正しい鑑賞の仕方ではないかと思います。
上質の効果音とBGMに加え、絶妙のタイミングで挿入されるヤンマーニこと「nowhere」と、それと対になる「I'm here」の2曲の挿入歌が抜群の雰囲気を醸し出してくれます。
監督は真下耕一さん。
他の真下作品と同じようにかなりクセがあるので視聴者を選ぶ作品ですが、ハマればやみつきになる不思議な魅力を持った作品です。
それではまた、次回をお楽しみに。
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公式サイト
http://www.jvcmusic.co.jp/m-serve/madlax/
MADLAX(マドラックス)
第1話 「銃舞 -dance-」(DVDのブックレットでは「銃夢 -dance-」)
第2話 「紅月 -crimson-」
第3話 「蒼月 -moon-」
第4話 「誘惑 -ask-」
第5話 「無在 -none-」(DVDのジャケットでは「無在 -zero-」)
第6話 「遺言 -leave-」
第7話 「繪本 -nature-」
第8話 「魂言 -soul-」
第9話 「残香 -scent-」
第10話 「浸触 -dive-」
第11話 「異国 -object-」
第12話 「消意 -close-」
第13話 「覚鳴 -awake-」
第14話 「忘想 -memory-」
第15話 「偽争 -camouflage-」
第16話 「銃韻 -moment-」
第17話 「殺那 -reunion-」
第18話 「双離 -duo-」
第19話 「獲本 -holy-」
第20話 「真争 -wish-」
第21話 「告薄 -guilty-」
第22話 「撃情 -rage-」
第23話 「迷心 -doubt-」
第24話 「献心 -hearts-」
第25話 「聖血 -saint-」
第26話 「欠片 -pupil-」
監督
真下耕一
シリーズ構成・脚本
黒田洋介
演出
第1話 有江勇樹
第2話 黒川智之
第3話 守岡博
第4話 黒澤雅之
第5話 黒川智之
第6話 有江勇樹
第7話 川面真也
第8話 川面真也
第9話 守岡博
第10話 黒澤雅之
第11話 黒川智之
第12話 有江勇樹
第13話 川面真也
第14話 黒澤雅之
第15話 守岡博
第16話 黒川智之
第17話 有江勇樹
第18話 川面真也
第19話 守岡博
第20話 黒川智之
第21話 有江勇樹
第22話 黒澤雅之
第23話 守岡博
第24話 川面真也
第25話 黒川智之
第26話 有江勇樹
キャスト
小林沙苗 マドラックス(第1話、第3話~第26話)
金田朋子 レティシア(第1話~第4話、第7話~第13話、第15話~第26話)
浦山迅 SSS(第1話、第3話~第5話、第8話、第9話、第11話~第13話、第16話、第17話、第26話)
浪川大輔 ピート(第1話)
坂東尚樹 ナイマン(第1話)
黒田崇矢 軍曹(第1話)
佐藤竜太郎 通信(第1話)、兵士(第23話)
工藤良輔 記者(第1話)
田中啓之 ガルザ兵(第1話、第23話)
桑島法子 マーガレット(第2話~第4話、第6話~第26話)
内川藍維 エリノア(第2話~第4話、第6話~第10話、第12話~第26話)
雪野五月 ヴァネッサ(第2話~第4話、第6話、第7話、第9話~第26話)
川島得愛 チャーリー(第2話~第4話、第10話、第12話、第13話、第17話、第18話、第25話、第26話)
大川透 部長(第2話、第10話~第12話)、教師(第6話)、マーガレットの父(第21話)、マーガレットの父親(第25話)
江原正士 フライデー(第2話、第4話、第5話、第7話、第8話、第10話、第12話、第13話、第15話~第26話)
森川智之 カロッスア(第2話~第5話、第7話~第21話、第26話)
近藤光世 女学生A(第2話)
神田理江 女学生B(第2話)
久川綾 リメルダ(第3話、第5話、第8話、第9話、第12話、第14話、第15話、第17話~第20話、第22話~第26話)
兵藤まこ 謎の声(第3話)、クアンジッタ(第8話、第9話、第13話~第16話、第18話~第26話)
有本欽隆 グエン(第3話、第16話)
園部啓一 情報屋(第3話、第5話、第12話)
田中完 秘書官(第3話)、ブライアン(第5話)、親衛隊隊長(第16話~第18話)
寺杣昌紀(*1) マクレー(第4話)
内田直哉 ピエデリカ(第4話、第5話)
名塚佳織 アンヌ(第4話)
稲葉実 重役(第4話)、専務(第9話)
石野竜三 若手刑事(第4話)
入野自由 クリス(第5話、第16話、第21話)
羽田智彦 アナウンサー(第5話)
千葉紗子 キアラ(第6話)
石田彰 ロペス(第6話)
篠原大作 執事(第6話、第24話)
宗矢樹頼 フェリック(第6話)
小尾元政 友人(第6話)
平田広明 エリック(第7話、第8話、第16話、第19話)
篠原恵美 ルシール(第7話、第8話)
梅津秀行 教授(第7話)
坂口候一 友人(第7話、第8話)、隊長(第19話)
中野千佳代 ナハル(第8話、第9話、第13話~第16話、第18話~第26話)
河本邦弘 兵士(第8話)、王国軍兵士(第22話)
水島裕 ルチアーノ(第9話)
佐々木望 バッジス(第10話~第12話、第17話)
福山潤 アインス(第11話)
伝坂勉 現場責任者(第11話)
河野智之 店主(第11話)、ガルザ兵(第22話)
鷹村遊 侍女(第14話)
川上貴史 男(第16話)、部下(第19話)、ガルザ兵(第22話)、ガルザ兵士(第25話)
鈴木琢磨 保安局員(第17話)
永野広一 駐在員(第18話)
三石琴乃 マーガレットの母(第21話)、マーガレットの母親(第25話)
川上貴志 ガルザ兵(第23話) ※「川上貴史」の間違い?
古屋貴史 兵士(第23話)
袖岡敦史 ガルザ兵(第24話)
羽多野渉 ガルザ兵(第24話)
松林大樹 ガルザ兵(第24話)
小林和矢 ガルザ兵(第24話)
伊東久美子 女性(第24話)
*1 「寺杣昌紀」はクレジットの表記。現在は「てらそままさき」に改名