これまでも、七花から女として見られていないことに不満そうなとがめの描写がありましたが、今回はこの想いがこれまで以上に分かりやすく描かれていたように思います。
一方の七花も、とがめに対してこれまでに経験したことがない感情を抱き始めました。
その感情をどうやって表現したらよいのかわからなくて、とがめに対してかなり子供っぽい対応をしています。
とがめの命令があったため、とがめのことを愛している(と口では言っている)七花ですが、今後は「愛する」ことの意味をもっとしっかり知ることになるのかもしれません。
さらに、とがめとの間にかなりの因縁がありそうな否定姫という新キャラが登場しました。
彼女は尾張にいて、手下の左右田右衛門左衛門にとがめと七花の行動を探らせています。
とがめが薩摩に到着した頃だと聞いて、次の収集対象は賊刀・鎧だと予測。
また、七花がこれまでの度重なる闘いでかすり傷一つ負っていないことから、虚刀流の特筆点は攻撃力よりも防御力にあるのではないかという左右田右衛門左衛門の考えを聞き、とがめたちが今回は手間取るに違いないと考えほくそえみます。
「賊刀・鎧は絶大なる防御力を誇る守りの刀。防御力 対 防御力。さてどうなることかしら。。。」
ということで、刀語 第5話「賊刀・鎧」スタートです。
賊刀・鎧とは、その名のとおり鎧の形状をしている変体刀で、いちおう各パーツの継ぎ目に刃が付いているようです。
所有者は校倉必(あぜくら かなら)。
薩摩の港町を影響下においている鎧海賊団の船長です。
港町に着いたとがめと七花は、たまたま行なわれていた校倉と剛剣士の決闘試合を観戦。
この町では決闘試合を娯楽として楽しんでいるようです。
闘いの結果は校倉の圧勝で、とがめと七花は賊刀・鎧の威力を目の当たりにしました。
そして校倉のほうも、とがめの存在に気付いたようです。
その夜。
とがめと七花は、まずは温泉で旅の疲れを癒やします。
温泉は混浴。
とがめは七花のこれまでの活躍を褒め、七花に感謝します。
めずらしく褒め言葉を口にしたため、七花から「らしくない」と言われたとがめは、ちょっと照れた様子で「そうか?」
このとき不自然に左目を閉じるのは、“十字”になった目を見られたくなかったからでしょうか?
温泉から上がった二人はさっそく賊刀・鎧を手に入れる策を練ります。
とがめはすでに策をいくつか考えていました。
その過激な策に七花は言葉をなくしてしまいます。
最終的に、どの策をとっても一筋縄ではいかないという結論が出たところで一休み。
とがめは七花に迫ります。
それに応えた七花は、とがめの妖しげな声を聞いてなにやら不思議な感覚に襲われます。
「気持ちいい」と言うとがめに対して「俺のほうは心の内壁に変な感覚が芽生えていく感じがあるんだが。。。」
と、ここで予想外の訪問者。
なんと校倉が訪ねてきました。
校倉はまず、日中に一目見たとがめの可憐さを再確認します。
その後、少し雑談してから、校倉はとがめに尋ねます。
自分から賊刀・鎧を奪った後はどうするつもりなのかと。
とがめは海路で尾張にいったん戻ると答えます。
それに対して校倉は、自分が影響力を持つ港から無事に出航できるはずがないとほのめかします。
だから自分の提案を受け入れろということのようです。
校倉の提案は、七花との決闘。
闘技場で見世物として闘うことを要求します。
七花が勝てば、賊刀・鎧を渡して無事に出航させてくれると言っていますが、とがめはどうにも納得いきません。
校倉が刀の毒に侵されたために闘いを求めているのだろうと自分を納得させます。
そして、もし七花が負けた場合はどうなるのかと質問。
これまでに手に入れた4本の変体刀を渡せと言ってくるのだろうとふんでいましたが、校倉の答えはまったく予想外のものでした。
「俺が勝った場合は、とがめ、あんたを貰い受けたい」
とがめはパニック。
「一目惚れだ。俺の女になれ」
七花が負けた場合は、校倉が七花の後釜になって変体刀集めに協力してくれるようです。
だから、七花が勝っても負けてもとがめに損はないだろう、というのが校倉の考え。
とがめの答えはすでに決まっていましたが、その場では回答しませんでした。
即答してしまっては交渉にならないからです。
翌日、とがめは校倉の提案を受け入れます。
でも、その答えがはっきりするまでのあいだ、七花はとがめの心が読めなくて複雑な心境を抱えることになります。
自分の感情を理解できない七花はとがめに「いじわる」するようになってしまいました(^^;
男の子が好きな女の子にいじわるして関心を引こうとするかのように。
ただし七花の場合は、自分がとがめの関心を引こうとしていることすら理解できていません。
七花は、校倉がとがめに気があることを理解していて、校倉が自分の代わりにとがめのパートナーになってしまうことを避けたいと無意識のうちに思っているようです。
とがめは愛で動く人間は裏切らないと信じているので、とがめが校倉をパートナーにしてしまっても不思議ではないと考えています。
七花からこの考えを聞かされたとがめは、七花が自分を“いじめる”理由を理解しました。
「そなたは、でかい図体をしてほんとうに子供みたいなことを・・・」
と、ここで思いもかけない相手から書状が届きます。
差出人は、実質的な真庭忍軍の頭・真庭鳳凰。
呼び出しに応じて指定場所に行ったとがめは、思わぬ申し出を受けることになります。
一時休戦して双方が別の変体刀を集めようという申し出です。
現場で衝突することを避けて効率よく変体刀を集めるため。
とがめはいろいろと考えをめぐらせたすえに、最終的にこの申し出を受け入れます。
そして、自分たちが次にめざすのは双刀・鎚(そうとう・かなづち)であることを伝えます。
とがめが在りかを知っている最後の一振りです。
すると鳳凰は、残りの変体刀のうちの三振りが陸奥、出羽、江戸にあるらしいと言ってきました。
真庭忍軍はこの三振りを集めるから、とがめたちはこれ以外の変体刀を集めろということなのでしょう。
交渉成立です。
さらに鳳凰は、尾張で否定姫が動き始めていることをとがめに伝えます。
これを聞いたとがめは取り乱し、否定姫が何をしようとしているのか鳳凰に尋ねます。
鳳凰は早急に手を打つことを勧めるだけです。
これで鳳凰は立ち去ろうとしますが、ふと思い出したようにとがめの間違いを指摘します。
「おぬしはよく“ちぇりお”と言って部下を殴っていたらしいな。我は何かおかしいと思っていたのだが、この薩摩に来てやっと分かった。あれは“チェスト”が正しい」
とがめはあまりの恥ずかしさに大暴走。
実は七花も間違いに気付いていたようですが、とがめが自信満々に“ちぇりお”と言っているので、自分の思い違いかもしれないと思って今まで黙っていたようです。
七花と校倉の決闘当日。
七花は、虚刀流の奥義を使って、鎧に傷をつけずに校倉にだけダメージを与えて、一撃で倒すつもりでした。
ところが、鎧には虚刀流の奥義が効きません。
七花は「覚悟を決めて鎧の餌食になれ」という校倉の言葉にあっさりと戦意を喪失してしまいます。
ここでとがめの喝。
「虚刀流の技がたった一つ通じなかったからどうした! 虚刀流が使えないからなんだ! 鎧などなくとも、そなたには20年間鍛え続けた鋼の肉体があるではないか! そなたが私に惚れているというのなら、力ずくで私を守ってみせろ!」
この言葉で七花は再びやる気を取り戻しました。
自分が守るべきものを再認識。
「きわめて了解」
七花は虚刀流・一の構えをとりますが、技を繰り出そうとはしません。
冒頭の校倉と剛剣士との決闘で、校倉が賊刀・鎧の強靭さを活かし、相手に突進して弾き飛ばす戦法をとっていたことを憶えていたようです。
賊刀・鎧は攻撃型の武器ではなくて防御型の武器なので、これが唯一といってもいい攻撃方法なのでしょう。
一の構え「鈴蘭」は地面にどっしりと腰を据える構えのようなので、七花は自分の力を信じて校倉を受け止めようとしています。
「守るものがあるヤツは強いんだぜ」
校倉の突進は、それを抑えようとする七花を押して闘技場を突き抜けてしまうほど強烈なものでした。
でも七花はこの強烈な攻撃を抑えきります。
「体が大きければ強い。けれど大きいほうが強いってわけじゃねぇ」
七花は校倉を真上に抱え上げて空高く放り投げます。
校倉は落下の衝撃に耐えられず、これで勝負が決まりました。
とがめはこの決闘の前に、可能であれば校倉を殺さず、再起不能となるような怪我も負わせずに勝ってほしいと七花に言っていました。
これまでの戦いでは、虚刀流の技は一撃必殺といってしまっていいほど強力なものだったので、この要求をかなえるのはかなり難しいように思えます。
とがめは、虚刀流の技では賊刀・鎧に打ち勝つことができないかもしれないと考え、虚刀流を使わずに勝ってほしいと伝えたかったのかもしれません。
七花の鍛え上げられた体だけで十分勝利できるとふんでいたのでしょう。
七花は、虚刀流を使う自分の体そのものを武器としていましたが、虚刀流を使わなくても一人の人間として戦うことができることに気付きました。
七花はこのことに気付かせてくれた校倉に感謝しますが、とがめにちょっかいを出したことは怒っています。
地面に倒れる校倉への最後の言葉は「俺の女に手を出すな!」でした。
賊刀・鎧を手に入れたとがめと七花は、無事に港町を後にします。
なんら妨害を受けることなく出航することができました。
とがめと七花が船に乗り込む前に、とがめが校倉の死んだ妹に似ていると話してくれた海賊は、鎧を脱いだ校倉でしょうか?
最後に一目とがめを見に来たのかもしれません。
でも、七花にとがめをとられたことがかなり悔しかったようで、船の行き先は尾張ではなくて蝦夷でした(^^;
次回は「双刀・鎚(そうとう・かなづち)」
双刀・鎚は蝦夷にあるのでしょうか?
いったん尾張に戻るという予定は変更になったけれど、蝦夷に行くこと自体に問題はなかったのかもしれません。
でも次回予告を観る限り、鳳凰も蝦夷に行っているようです。
一時休戦の約束はどうなったのでしょうか?
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刀語 第5話
賊刀・鎧(ぞくとう・よろい)
演出
元永慶太郎
脚本
上江洲誠
キャスト
鑢七花 細谷佳正
とがめ 田村ゆかり
校倉必 小山剛志
否定姫 戸松遥
左右田右衛門左衛門 小山力也
真庭鳳凰 置鮎龍太郎
必(少年期) 根本圭子
こころ(必の妹) 菊池こころ
剛剣士 遠藤大智
審判 金光宣明
海賊A 堂坂晃三
海賊B 鈴木恭輔
海賊C 山崎健太郎
語り 池田昌子
ラベル:刀語