2010年07月10日

今週の一本 その2(2010/7/4~7/10)―『刀語』第7話

「虚刀流は刀を使わない流派ではない。決して刀を使えない流派なのだ」
by とがめ

今回は、1話まるまる使って七実と七花の姉弟対決を描いていました。
全編にわたって七実のやるせない想いが(あるいは静かな狂気が)漂い、最初から最後まで画面にくぎ付けになってしまうすばらしいエピソードでした。
ところどころに挿入されるアドベンチャーゲームや縦スクロールシューティングなどを髣髴させる演出も面白かったです。

七実が七花と対峙する理由は変体刀の影響なのかと思っていましたが、そうではなくて自分の意思で七花との対決を望んだようです。
根底にあったのは、死ぬことができない体から解放されたいという想いでした。
今回のセリフからすると、七実はかつて父に殺されかけたことがあり、自分もそうされることを受け入れましたが、そのときは七花に助けられたようです。
父の命と引き換えに。。。
七花はそれだけ七実のことが好きだったようです。
でも今回は、自らの手で七実にとどめを刺すことになってしまいました。


本編。
蝦夷の踊山(おどりやま)から尾張に向かっていたとがめと七花。
陸奥の死霊山(しれいざん)から悪刀・鐚(あくとう・びた)が奪われたと聞き、その犯人を追って土佐の清涼院護剣寺(せいりょういん ごけんじ)へ向かいました。
護剣寺にはなぜか七実が。
彼女は真庭虫組から忍法を見取り、凍空(いてぞら)一族の村を壊滅させたときに怪力を会得。
さらに死霊山で、神衛隊(しんえいたい)を壊滅させて悪刀・鐚を入手していました。
このときに降霊術の能力も身に着けましたが、これは使い道がなかったようです。

半年ぶりに再会した七実と七花はさっそく対決します。
でも実力の差は歴然としていて、七実は打撃技を混成接続し、272回もの打撃を一瞬で決めて七花を倒してしまいました。
忍法足軽を応用して打撃から重さを取り除いたので、七花は致命傷を与えられずにすみました。
ここで七花は気付きます。
七実の体力でこれだけの技を繰り出せるはずがないことに。
そのことを七実に問いただすと、七実は上半身を露わにして胸に突き刺さった悪刀・鐚を見せます。
雷を帯びた悪刀・鐚を体の中央に差し込むことで、病が強制的に癒される。
悪刀・鐚は人体を活性化させる変体刀でした。
七実は七花に顔を洗って出直してくるよう言い残して立ち去ってしまいます。

七花はすっかり気落ちしてやる気をなくしてしまいました。
とがめはそんな七花を再教育。
まずは膝枕をして七花の気持ちを聞き出します。
やがて、自信をなくしきった七花にしびれを切らしたとがめは、ついに七花にビンタを食らわせます。
そして、七花の決意を確認しようと質問。
「そなた、七実と再戦する気はあるか?」
七花のことを心配し、涙を浮かべながら真剣に見つめてくるとがめを前にして、七花は気持ちを切り替えます。
そしてしっかりした声で答えます。
「ある!」

心機一転。
2人は再戦に向けて動き出します。
まずは、七花の奥義・七花八裂の弱点を認識するところから。
この技は7つの奥義を連続して繰り出す混成接続技ですが、4つ目の奥義・柳緑花紅(りゅうりょくかこう)には溜めの動作が必要なので、一瞬だけ隙ができてしまいます。
七実はそのことを気付かせるために、最初の戦いで自ら混成接続技を見せてくれたようです。
七花は、柳緑花紅を最初に持って来れば、七花八裂に弱点がなくなることに気付きました。
7つの技を無差別に組み合わせれば、そのパターンは5040通り。
でも、柳緑花紅を最初に持って来れば、残る組み合わせは720通りです。
七花はさっそく最強のパターンを見つけるために山に入り、すべてのパターンを1つずつ試していきます。

一方のとがめは、最終決戦の時と場所について七実と交渉します。
時は今夜。
場所はお堂。
お堂には刀狩で集められた10万本の刀から作られた刀大仏が鎮座しています。
とがめは、刀大仏の前で戦うことで、御仏に勝負の行方を見届けてもらおうと提案しました。
冷や汗を流しながら、七実がこの条件を受け入れてくれることを期待します。
なにか考えがあるのは明白です。
七実はそんなことはおかまいなしに、あっさりとこの提案を受け入れます。
これで条件はすべてクリア。
とがめの奇策が始動しました。

そして夜。
いよいよ最後の対決です。
七実は七花に本気で向かってくるよう言って、とがめに開始の合図を求めます。
でもとがめは、これが最後の会話になるかもしれないのだからと言って開始を引き延ばそうとします。
「この期に及んでまだそんなことを。それとも、時間を稼いでいるのですか?あなたの奇策には時間がかかるとか?」
とがめが何か仕掛けてくるのは明らかなので、七実は鎌をかけます。
それに対してとがめは、諦めた風を装って開始の合図を口にし始めました。
「わかったわかった、好きなだけ殺しあえ。この刀姉弟が。(10)もう止めんよ(9)。好きにしろ(8)」
その内心ではカウントダウンを開始しています。
「(3)いざ尋常に(2)・・・(1)初め!(0!)」
合図とともに300本のろうそくが一斉に消えました。
漆黒の闇が訪れます。
これで七実の秘技・見稽古が封じられました。
七花の七花八裂・改が決まります。
倒れる七実。
でも七花は手を抜き、七実の命までは奪いませんでした。
悪刀・鐚を七実の胸から抜き取り、とがめに渡します。
そして、とがめに医者を呼んでくるよう頼みます。

これですべてに決着がついたかに思われましたが、七実が再び立ち上がりました。
悪刀・鐚はとがめの手に渡ったのでもう戦う理由はないはずなのに、あくまで戦うつもりです。
さらに七実は、これまでは悪刀・鐚で自分の強さを調整して鎮静化させ、見稽古で他人の強さをまとって少しでも弱くなろうとしていましたが、本来の力を出すことを決めます。
でもそれは自分の体力の限界を超えることも意味します。

これ以上の戦いに意味はないので、とがめは必死で止めようとします。
七実はそんなとがめを黙らせようと、とがめをカマイタチのような技で攻撃。
とがめの髪をバッサリと切り落してしまいました。
一瞬のことで何が起こったのかわかりません。
次は首を落とすと挑発する七実。
七花はとがめに手を出されたことに激怒します。

このとき仏像の顔がわずかに下を向き、視線も動きました。
以前、錆白兵が散り際に「虚刀流が四季崎記紀(しきざき きき)の遺品」だと言い残したことが語られましたが、仏像を作った10万本の刀の中に988本の変体刀の習作が含まれていて、虚刀流の力に反応しているのかもしれません。

「虚刀流七代目当主・鑢七花。参る!」
「流派なし、無所属。鑢七実。来ませい!」

激しい打ちあいが続きます。
両者とも一歩も引きませんが、やがて七実の体力の限界が迫ります。
七実は、これでやっと七花に殺してもらえると満足しています。
そして気付きました。
「刀が刀を使おうとするとこうなってしまうのか」
刀はその持ち主が武器として使うものです。
自らの体を刀とする虚刀流の人間が、自分の目的のために刀(自分の体)を武器として使おうとすると、悲惨な結末が待ち構えているということでしょうか?
かつて六枝が七実を殺そうとした結果が自らの死だったように。
「なぁんだ父さん、私もやっぱり虚刀流なんじゃない」
七実は自分もやはり虚刀流だったことを自覚します。
「褒めてあげる、七花。よくぞ、よくぞ・・・」
七実は自分が望んでいた死を迎えさせてくれる七花に感謝しようとします。
あるいは、自分を倒すまでに成長した七花のことを誉めようとしたのかもしれません。
でも実際に口から出てきた言葉は「よくも私を殺したわね」
変体刀の毒が少しは影響していたのでしょうか?

いずれにしてもこれで決着し、とがめと七花は七実があくまで戦おうとしていた理由を知りました。
七実はただ七花に殺してほしかっただけなのだということを。
とがめと七花の絆もさらに強くなったようです。

ということで、これで7本目の変体刀が手に入りました。
次回は江戸が舞台。
8本目の変体刀、微刀・釵(びとう・かんざし)を収集します。
からくり人形の形をした刀と対決するようです。
でもこれってもろに刀が刀を使っていることになりますが。。。
虚刀流の謎(?)に迫る話になるのでしょうか?

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公式サイト
http://www.katanagatari.com/

刀語 第7話
悪刀・鐚(あくとう・びた)

演出
田中基樹

脚本
上江洲誠

キャスト
鑢七花       細谷佳正
とがめ       田村ゆかり
鑢七実       中原麻衣
否定姫       戸松遥
左右田右衛門左衛門 小山力也
真庭鳳凰      置鮎龍太郎
真庭人鳥      広橋涼
鑢六枝       大川透
鑢みぎり      篠原恵美
七花(幼少期)   くまいもとこ
神衛隊員      坂東孝一
小坊主       槙口みき
語り        池田昌子
ラベル:刀語
posted by animisc at 17:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 刀語 | 更新情報をチェックする
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