出羽の将棋村を訪れたとがめと七花は、さっそく、所有者である心王一鞘流(しんおういっそうりゅう)12代目当主、汽口慚愧(きぐち ざんき)と面会します。
慚愧は「心の鬼を心で斬る」という名が示すとおり、とてもまっすぐな人間でした。
というよりも、まっすぐすぎてちょっと人間離れした感のある女性。
これまでのほとんどの変体刀所有者とは違い、交渉が通じる相手です。
ついでに、そこはかとなく不思議な色気も漂っています。
天下国家のためには王刀・鋸を手放すべきだと頭ではわかっている慚愧ですが、道場の看板でもある王刀・鋸をすんなりと渡してはくれません。
交渉の結果、とがめと将棋対決してとがめが勝てば、七花と手合わせしてもらえることになったようです。
七花が勝てば王刀・鋸を譲ってもらえます。
慚愧はとがめに勝つことができず、七花との手合わせに臨みますが、刀を持たずに戦おうとする七花に激怒します。
「人を馬鹿にするのも大概にしていただきたい!剣士が刀なしで戦えるわけがないでしょう!」
七花は仕方なく木刀を持って戦いますが。。。
あっという間に慚愧に倒されてしまいました。
あまりのあっけなさに慚愧が呆然としてしまうほどです。
とがめと七花はこの場をあとにせざるを得なくなってしまいました。
とりあえず宿に戻ったとがめと七花は次の作戦を練ろうとしますが、刀が使えない七花ではどう考えても慚愧に太刀打ちできないので手詰まり状態です。
ところがそのとき、慚愧が宿にやって来ました。
とがめたちが帰ってから先ほどの勝負について考えていたそうです。
「七花殿があそこまで“弱かった”となれば、これは勝負が成立したとは言えません」
七花はそのあまりに率直な言葉に渋い顔。
「不公平は是正されねばなりません。よって、七花殿を我が心王一鞘流の門下生として迎え入れたうえで、この私が直々に鍛え上げ、そののち改めて正々堂々と対戦する、ということでいかがでしょうか」
この申し入れに反対する理由はありません。
七花は剣の修業をすることになります。
そしてとがめはこの後10日間、妄想と嫉妬で苦しむことに(^^;
今回はそんなとがめと、とことん鈍感な七花の言動が楽しい、ギャグ色が強い回でした。
そして最後には、とがめが七花と慚愧の関係(もちろんとがめの妄想)に耐えられなくなり、急遽奇策を発動することに。
かつて格闘技素人の凍空こなゆきが七花に勝利したときのように、剣についてまったくの素人の七花が「まぐれ勝ち」することを期待して、慚愧に勝負を挑みます。
でもここで七花の指摘により1つ問題が発覚。
七花はすでに10日間も慚愧からの教えを受けているので、もはや素人とはいえません。
「あ、そうか。確かにそこまでは考えてはいなかった。私としたことが不覚だったな」
嫉妬で思考が鈍ったのか、策の練りこみが不足していました。
でもそこは奇策士。
とがめはすぐにこれに対する解決策を見つけ、実行に移します。
「ちゅー」
なんと七花にいきなり濃厚なキス。
「まだ何か覚えておるか?」
七花はあまりの衝撃に覚えたことを忘れてしまいました(^^;
翌日。
とがめは慚愧に再戦を申し込みます。
慚愧は七花がまだまだ未熟なので対戦を拒みますが、とがめにうまく丸め込まれてしまいます。
ルールは最初と同じ。
ただし今回は将棋を1局ではなく9局指します。
結果、最終局はとがめの負けでしたが、トータルでは5勝4敗でとがめの勝ち越しです。
そして剣術勝負へと進みます。
「七花殿。“心の鬼を心で斬る”。これをもって慚愧と名乗る。心王一鞘流12代目、汽口慚愧。お手並み、拝見いたします」
「言われなくても見せてやるさ。ただしその頃にはあんたは八つ裂きになっている“かも”しれないけどな」
七花は珍しく気を利かせた言い回しをしましたが、慚愧は無反応。
そのまま試合開始です。
慚愧と七花が木刀を構えて互いに相手の隙をうかがいます。
ところがここで、審判役のとがめが不敵な笑みを浮かべます。
とがめはなにも「まぐれ勝ち」だけを期待していたわけではありませんでした。
真の奇策発動です。
試合中に審判が選手に話しかけるのは反則ですが、とがめはなぜか話し始めます。
「7六歩」
反則を取る審判自身が反則を犯しています。
でも、まじめすぎる慚愧は審判に逆らえません。
さらに、将棋の腕に覚えがある慚愧は、とがめの言葉に心の中で反応してしまいます。
(私は3四歩と返す)
とがめと慚愧の脳内将棋の開始です。
とがめは今回冒頭の1局と先ほどの9局、合計10局で慚愧の指し手をすべて読み取ったようです。
しかも1局あたり200手(現実世界の棋士の1局の平均打ち手は110手)もかけて。
先の最終局でとがめが負けたのは、この脳内将棋で先手を取るためでした。
慚愧はまったく剣術勝負に集中できません。
一方の七花は将棋を指せないので、とがめの言葉で集中が乱されることはなく、慚愧の隙をついて面で一本取ってしまいます。
このあと、とがめと慚愧はもう1局将棋を指したようです。
今度はとがめは本気を出し、わずか42手で圧勝。
七花も木刀を使わずに虚刀流で勝負させてもらい、慚愧に勝利しました。
慚愧は七花の強さを認めてこれまでの無礼を詫びます。
このときちょっと引っかかる言葉を口にします。
「剣を取ったほうが弱くなるなど、まるで呪いのようですね」
これはもしかすると虚刀流の誕生にかかわってくる重要な言葉なのかもしれません。
それはともかく、慚愧は負けを認め、心王一鞘流の看板である王刀・鋸を引き渡しました。
そして別れ際、慚愧はいつか再会して対戦するのを楽しみに、今後も心王一鞘流の看板を守り続けると宣言します。
王刀・鋸が看板じゃなかったのかといぶかしむ七花に慚愧は言います。
「これからは私自身が看板です・・・看板娘です♪」
ラスト。
今回の件でとがめの心に疑問(不安)が芽生えてしまったようです。
旧将軍が刀狩で王刀・鋸を収集できなかったのはなぜなのか。
王刀・鋸はいうなれば単なる木刀に過ぎないのに、かつての所有者は旧将軍をどのように撃退したのか。
刀狩令には、とがめが把握していない真の目的があったのではないか。
とがめの頭にはこれらの疑問に対する答えが用意されているようですが、まだ可能性に過ぎないので口には出しません。
七花も気になってしまい、答えを聞きたがりますが、とがめは七花の気にすることではないから忘れておけと言うだけです。
七花は、そんな気になることを言われては忘れられないと返しますが、とがめの応答に赤面してしまうことに。
「また忘れさせてほしいというおねだりのつもりか?」
今週の真庭忍軍。
富士の風穴で毒刀・鍍(どくとう・めっき)を入手しました。
この場面で、鳳凰の左手は川獺(かわうそ)の手を移植したものだったことが明らかになります。
これで鳳凰も川獺の忍法記録辿りを使えるようです。
ただし、まだ馴染んでいないので完全に使いこなせていないようですが。
鳳凰は、とがめや七花の目の前で川獺を殺すことで、真庭忍軍が忍法記録辿りを失ったことを示し、とがめに真庭忍軍が裏切っていないことを信じさせようとしましたが、これはとがめたちを騙すことが目的で、忍法記録辿りというアドバンテージを手放すつもりはなかったようです。
毒刀・鍍を手に入れた鳳凰たちは、次に、海亀が手に入れようとしていた変体刀についての手掛かりを得るため、海亀が落命した信濃に出向くことにします。
そこに現れるのが、否定姫に鳳凰暗殺を命じられた右衛門左衛門です。
鳳凰と人鳥は古典的な忍法・煙幕を使ってその場を撤退し、鴛鴦(おしどり)が残って右衛門左衛門を倒そうとします。
右衛門左衛門は鴛鴦が駆使する忍法永劫鞭(えいごうべん)に苦戦しますが、最後は隠し持っていた炎刀・銃(えんとう・じゅう)であっけなく決着をつけました。
炎刀・銃は刀というよりも完全に拳銃です(^^;
次回は「誠刀・銓(せいとう・はかり)」
今年1月から始まった『刀語』も残すところ3話です。
公式サイトのPVを見る限りでは、今後もかなり期待できそうです。
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刀語 第9話
王刀・鋸(おうとう・のこぎり)
演出
サトウシンジ
脚本
待田堂子
キャスト
鑢七花 細谷佳正
とがめ 田村ゆかり
汽口慚愧 伊藤静
否定姫 戸松遥
左右田右衛門左衛門 小山力也
真庭鳳凰 置鮎龍太郎
真庭鴛鴦 山像かおり
真庭人鳥 広橋涼
料理人 田尻浩章
語り 池田昌子
ラベル:刀語