2010年10月17日

今週の一本 その2(2010/10/10~10/16)―『薄桜鬼 碧血録』第14話

前回は比較的平坦な流れで大きな盛り上がりはありませんでしたが、今回はその埋め合わせをするかのように、終盤にかけて二度の見せ場がありました。
1つは、土方と千鶴が金打(きんちょう)するシーン。
これが今回最大の見せ場かと思って油断していたら、ラストでまさかの展開が待っていました。
これ以外にも、序盤の千鶴と斎藤のやりとりも印象的で、こういう2段階、3段階の盛り上げ方はシリーズを通して初めてかもしれません。


ということで本編です。

慶応4年3月。
体調が回復しない沖田を残し、新選組は甲府城に向かいます。
途中、近藤や土方たちがかつて通っていた道場のある地、多摩郡日野に立ち寄った新選組は歓待を受けることに。
ここで1日逗留した後、近藤を残して進軍を再開しました。

やがて休憩となりますが、近藤がまだ追いついてこないことに対して永倉が不満をぶちまけます。
それを抑えるのはやはり土方です。
近藤にはそれなりの理由があるのだと言って永倉をなだめます。
そのとき、古参隊士と新参隊士のいざこざが発生。
永倉と原田が仲裁に行き、土方と斎藤(と千鶴)だけになったところで、斎藤が土方に質問します。
今回の戦に勝算はあるのかと。
土方は、甲府城に籠れない限り勝算はないと断言。
まともに戦えば、士気の面でも、練度の面でも、所有する武器の面でも劣る新選組が負けるのは確実です。

その夜、千鶴は悪夢を見ます。
幼い頃に一族が焼打ちにあい、兄である南雲薫と一緒に逃げまどった記憶でしょうか。
その記憶に土方が撃ち殺されてしまう映像が重なり、千鶴は目を覚まします。
そして、斎藤が一人で歩いている姿を見かけ、その後を追い、斎藤に話しかけました。
負け戦になる可能性が高いのに怖くないのかと。
斎藤は、死ぬことは怖くないが、信じているものを失うのが怖いと答えます。
かつて、ある旗本の子弟に果し合いを申し込まれたことがある斎藤は、試合でその子弟を斬り殺してしまいました。
その結果、武士同士の正当な戦いであったにもかかわらず、罪に問われて脱藩を余儀なくされたそうです。
斬りあって勝ったものが強い。
そういう生き方をするのが武士であると考えていた斎藤は、武士というものが何なのかわからくなってしまいました。
その後、自分の思い描く武士の姿に近いものを見せてくれる新選組と出会った斎藤は、武士のありかたを再確認することができて、今に至っているそうです。
でももう時代は変わってしまいました。
刀や槍の時代は終わってしまいました。
斎藤は、武士として生きられなくなることを恐れています。

そんな斎藤に千鶴は言います。
「確かに、武士や刀が必要とされない時代が来るのかもしれません。でもそれは斎藤さんが必要とされなくなるということじゃないと思います。斎藤さんの剣は、人を斬るだけでなく、人を助けることもできる剣です。私は池田屋で、斎藤さんの剣に助けられました」
さらに千鶴は、かつて斎藤が口にした「時代は変わっていくが、それでも変わらないものを信じている」という言葉を引き合いに出し、大切なのは武士の時代が終わっても武士の魂が変わらないことで、斎藤をはじめとする新選組の幹部たちはその意味で本物の武士だと思うと語ります。

この言葉を受けて、斎藤は、もともと武家の出ではない近藤や土方の魂が真の武士のものであると感じていたことを思い出しました。
そして一つの考えにたどり着きます。
武士というのは、外部からの影響で変わったり無くなったりするものではなく、確固たる信念を持って生きる生き様のことなのだと。
「今はただ、微衷(びちゅう)を尽くすのみか…」
最後にそう言った斎藤は、走り寄ってくる人影に気付きます。
おもわず身構えましたが、その人影は島田のものでした。

島田は緊急事態を報告します。
甲府城に敵が入ってしまいました。
将となる人物は、甲斐武田の流れをくむ者で、地元の部隊を味方につけて進軍の準備を進めています。
日野での逗留による遅れが災いし、新選組は後れを取ってしまいました。
土方は近藤への伝令を出すと同時に、陣を移動させます。
でもすべてが手遅れです。
さらに、この時点で隊士の総数は300名以上になっていましたが、事実を知った隊士の半数近くが脱走してしまい、事態は悪化する一方です。

伝令を受けて近藤がやって来たのは夜が明けた翌日でした。
さっそく幹部たちで作戦会議です。
勝てる見込みはないので、永倉と原田は退くことを進言します。
でも近藤はそれを拒否。
このまま敵の出方を見ると言い出します。
ありえない判断に永倉が反発しても、まったく意に介さず、永倉を臆病もの扱いです。
この対応に永倉はついにキレてしまいました。
が、ここで土方が江戸に行って援軍を呼んでくると発言したことで、永倉の怒りはひとまず収まります。
近藤もこの提案を了承。

土方はさっそく江戸に向かおうとしますが、出発する前に、見送りに来た千鶴に今すぐこの場を離れるよう命じます。
千鶴をここまで連れてきたのは土方ですが、ここまで状況が悪化するのは予想外だったのでしょう。
少しでも安全な場所に千鶴を逃がそうとしています。
でも千鶴は、みんなが戦っているのに自分だけ逃げるわけにいかないと言って、この命令をはっきりと拒否しました。
土方の代わりに近藤を守ると言って、自分の決意を示します。
千鶴の強い意志を感じ取った土方は、千鶴の考えを認めて新たな命令を伝えます。
「ならば新選組の一員として、雪村千鶴に近藤局長の護衛役を命じる。常に局長に付き従い、その役に立て」
さらに、命に代えても近藤を守ると答えかけた千鶴を制止し、絶対に死ぬなと付け加えることも忘れません。
「盾になろうなど、バカなことは考えなくていい。俺が帰る前に何かあったら斎藤と協力して近藤さんを逃がせ。絶対に死ぬんじゃねえぞ」
そして千鶴に小太刀を抜かせ、金打します。
「武士が誓いを立てるときにこうするもんなんだとよ。もっとも、俺もお前も正式な武士じゃねえから、所詮真似事だがな。だが、これは証だ。俺は必ず戻ってくる。お前も生き延びて俺に会うという証をいま立てた。だから信じて待ってろ。死なずにな」
土方は、自分が“まがいもの”の武士であることに負い目を感じているのでしょう。
このときの土方の寂しげで自嘲気味な表情がなんともいえません。

その頃。
新選組が崩壊しかかっていることを知ってほくそ笑む人物が二人。
一人は南雲忍。
そしてもう一人は雪村綱道です。
綱道は「時が満ちたようだな」と何やら思わせぶりな言葉を口にしました。


土方が江戸に向かってすぐに、事態は動きます。
新参の隊士が早まって発砲したことがきっかけとなり、土方の援軍を待つことなく戦いが始まってしまいました。
新選組の隊士が次々と倒れていきます。
原田が近藤に撤退命令を出すよう求めますが、近藤が応じるはずはありません。
やがて南と北から新たな敵が出現。
新選組の全滅も時間の問題です。
原田が再度撤退を進言するも、近藤の考えは変わらず、今度は自らが数名の隊士を引き連れて突撃してしまいました。
「武士ならば、命ではなく名をこそ惜しめ!」というその言葉はいかにも武士のそれですが、気合だけで勝てる時代はすでに終わってしまったことに気付いていません。
そしてすぐに、至近に砲撃を受けて吹き飛ばされてしまいます。
近藤は、周囲に倒れている隊士たちを目の当たりにし、ついに現状を認識します。
永倉の、部下を無駄死にさせないでほしいという言葉を受けて、ついに撤退を命じることに。
永倉と原田は撤退命令を伝えるために前線に向かいます。
すると近藤は、今度は斎藤に後を任せて一人で突撃しようとします。
このまま生き恥をさらすことができないからです。
どこまでも古い人間です。
でも、千鶴の必死の制止に、ようやく考えを改めてくれました。

前線に到着した原田と永倉は、不思議な光景を目にします。
なぜか敵軍が退いていきます。
原田と永倉は、この隙に隊士たちを退かせようとしますが、原田が至近に砲撃を受けて飛ばされてしまいました。
そこに現れる不知火。
土佐の連中を見張っていたら原田の姿が目に入って、いてもたってもいられなくなったようです。
因縁の対決の始まりです。

その時、隊士を撤退させていた永倉が新手の軍勢に気付きました。
その軍勢は撤退中の新選組に攻撃を開始します。
さらに、激しい戦いを繰り広げていた原田と不知火のもとにも現れ、二人を攻撃し始めました。
応戦した二人は、その軍勢が羅刹であることに気付きます。
しかもこの羅刹たちは昼間なのに活発に動いています。
これは不知火にとっても予想外のことで、不知火は困惑してしまいます。
ただ1つ確かなことは、このような羅刹を作り出せる人物は一人しかいないということ。

その時、羅刹軍の後方から不敵な笑い声が響きます。
「すばらしい成果だ。この日が来るのをずっと待っていた」
声の主は綱道です。
彼は風間たちのもとにいたはずですが、今は南雲薫と一緒に別行動をとっているようです。
しかも、羅刹の研究を続けて、昼間でも活動可能なうえに血を見ても暴走しない羅刹を作り出しました。
なんだか痩せこけているように見えるのは、研究に自分の血も大量に使ったということでしょうか?
千鶴のやさしい父親というイメージは完全に崩壊。
まさかマッドサイエンティスト系のキャラだったとは(^^;


次回は「遠き面影」
千鶴はついに父と念願の再会を果たすのでしょうか。
でも、その再会の結果は千鶴が望んでいたものとは大きく異なることになりそうです。

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公式サイト
http://www.geneonuniversal.jp/rondorobe/anime/hakuoki/

薄桜鬼 碧血録 第14話
蹉跌の回廊(さてつのかいろう)

演出
又野弘道

脚本
広田光毅

キャスト
雪村千鶴  桑島法子
土方歳三  三木眞一郎
沖田総司  森久保祥太郎
斎藤一   鳥海浩輔
藤堂平助  吉野裕行(DVDで削除)
原田左之助 遊佐浩二
近藤勇   大川透
山南敬助  飛田展男(DVDで削除)
永倉新八  坪井智浩
島田魁   大羽武士
風間千景  津田健次郎
不知火匡  吉田裕秋
南雲薫   伊藤葉純
雪村綱道  斎藤龍吾
若者    石原浩樹
村人    中西としはる
posted by animisc at 15:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 薄桜鬼 碧血録 | 更新情報をチェックする
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