今月から隔月で全7巻が発売される予定になっています。
第一巻は「旧校舎怪談」。
主人公・谷山麻衣が通う高校にある今は使われていない旧校舎で発生する不可解な現象と、それを解決するために集まった霊能者集団の活躍を描くこのエピソードは、コミックス第1巻とアニメ版DVD Vol.1に収録されている「悪霊がいっぱい!?」に相当する話です。
アニメ版はコミックス版をもとにして制作されたようで、両者の内容に大きな違いはありませんでした。
でも、おおもとの小説からコミックス化するにあたっては、細かい描写の変更や割愛、一部キャラの台詞割りの変更などがあったようです。
特に、最初に椅子が動くシーンの描写や、後半のポルターガイスト描写は絵図らを重視するコミックス&アニメと、文章で説得力を出す小説で、現象の“ハデさ”に大きな違いがあります。
個人的には小説版の控えめだけれど自然な描かれ方のほうがしっくりきました。
また、コミックス&アニメでは、最後に旧校舎が倒壊した後で霊能者集団の信用がガタ落ちになってしまう可能性が残されたわけですが、小説版ではナルに「倒壊の危険性もあるので厳重な注意が必要」と語らせることで、無用な違和感が残らないようになっています。
そのほかにも、小説ならではの細かい心理描写(特に麻衣の)や現象がふんだんに盛り込まれていたので、基本ストーリーを知っていても十分に楽しめました。
今回この小説を読んで感じたのは、やはり構成が巧みだということです。
これについてはコミックス&アニメについても同じことが言えるのですが、第1巻では、科学的な検証を重ねることで、心霊現象がことごとく否定されてしまいます。
次巻以降ではこれをベースにして、科学では解明できない不可解な現象が描かれていくことになるので、どれも必須の描写なのですが、「結局何もなかったからつまらない」ではなく「結局何もなかったけど興味深い」と思わせる展開は素晴らしいです。
さらに、今後の話を知らないと読み飛ばしてしまう些細な描写の中に隠された伏線の数々。
麻衣の一人称視点で語られる読みやすい文章と合わせて、読み出したら止められない内容でした。
小野不由美「ゴーストハント」シリーズ特設サイト
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