「悪霊シリーズ」のリライト版、第3巻が発売されました。
タイトルは『乙女ノ祈リ』です。
季節は秋。
前回の件から半年ほど経過したある日、一人の少女が狐憑きに関する相談をSPRに持ち込んできます。
ナルはまったく興味を示さず取り合おうとしません。
その後も幽霊やポルターガイストに関して相談者が訪れましたが、最初の件と同じ“におい”を感じた麻衣は、ナルが相手にしてくれるはずはないと思ったのか、とりあえず連絡先だけを聞いて引き取ってもらいました。
翌日、今度は坊さんが「立て続けに4人が電車に引きずられてけがをした」という奇妙な事件の相談に訪れます。
ここで、一つ不思議なことが明らかに。
前日の相談を含め、すべての件が湯浅高校の生徒に関係していました。
この事実に興味を持ったナルがやっと重い腰を上げかけたとき、さらに一人の相談者が。
今度はなんと、湯浅高校の校長が直々にSPRを訪れました。
ということで、今回SPRは、湯浅高校を舞台にした事件の解決に乗り出すことになります。
SPR一行はさっそく湯浅高校を訪れますが、そこで起こっている不可解な現象の数の多さに圧倒され、困惑してしまうことに。
それでもなんとか事件を整理して原因究明を進めるうちに、原因が3つのパターンに分類できることが判明します。
やがて麻衣の一言がヒントになり、事態は急展開を迎えることに。
ページ数は383ページ。
内容的には、コミックス第3巻とアニメ版DVD Vol.3&4に収録されている「放課後の呪者」に相当する話です。
今回の件では、麻衣の直感が大きな役割を果たします。
この点に関して、麻衣の重要度はコミックス&アニメよりも明確に描かれていました。
そんな麻衣の働きに対して、ナルが素直に感情を表しているのも新鮮です。
また、これまでの話では綾子や坊さんたちのトゲトゲしさがかなり目立っていたのですが、そんな嫌な面も緩和されています(性格的にクセがあるのは相変わらずですが)。
各登場人物の信頼感やつながりが強くなってきているということかもしれません。
さらに、コミックスやアニメでは、学校側が超能力少女の出現に異常とも思える反応を見せた理由がよくわかりませんでしたが、それにもちゃんとした理由があったことがしっかり説明されていました。
そのほかにも細かな違いは多々ありますが、特筆すべきは依頼人の一人・高橋優子と、超能力少女・笠井千秋の扱いの違いです。
コミックス&アニメではほとんどモブキャラの域を出なかった高橋優子の出番が増え、なかなかいい感じのキャラに仕上がっています。
キャラ的に『涼宮ハルヒの憂鬱』の鶴屋さんにかぶっているような印象があったので、途中から彼女の台詞が脳内で松岡由貴ボイスで再生されて困ってしまいました(^^;
笠井千秋についても、より普通の女の子っぽく描かれていたので好感が持てました。
このへんの人物描写の肉付けは小説版のほうが圧倒的に優れています。
ただ、最後の場面での犯人の歪んだ想いの描写についてはアニメ版のほうが良かったかもしれません。
小説版はちょっとあっさりしすぎていたように思いました。
いずれにしても、第3巻も大満足な内容で一気に読み終えてしまいました。
第4巻は『死霊遊戯』。
2011年5月刊行予定です。
いよいよもう一人のメインキャラが登場します。
小野不由美「ゴーストハント」シリーズ特設サイト
ゴーストハント3 乙女ノ祈リ (幽BOOKS)
ゴーストハント(3) (講談社コミックスなかよし (923巻)) | ゴーストハント FILE3「放課後の呪者」上巻 [DVD] | ゴーストハント FILE3「放課後の呪者」下巻 [DVD] |
ラベル:ゴーストハント
【ゴーストハントの最新記事】