作中の季節は春、4月です。
1作目の『旧校舎怪談』からそろそろ1年が経過しようとしています。
麻衣はSPRに馴染みきっていて、根性が座ってきました(^^;
そんなときに遭遇する案件が、これまでにないおどろおどろしい事件です。
舞台となるのは諏訪にある、幽霊が出没するという噂のある古い洋館。
今回は、ナルにゴーストハントを伝授したというつわもの森まどかの依頼で、SPR一行はこの洋館に赴くことになります。
依頼主がこれまでとちょっと変わっているというだけではなく、前回の件でSPRとかかわりを持つことになった安原さんがナルの身代わりになるという異例ずくめ。
さらにこの洋館には、事件解決を依頼されたほかの霊能者たちも大勢招かれていました。
調査に参加する霊能者は、助手やオブザーバーなども含めて総勢20名です。
ちなみに、コミックスでは16名、アニメでは13名で、各登場人物の役割も微妙に変更されています。
麻衣が重要な役割を果たすのはこれまでと変わりませんが、今回はまどかと安原さんもバックアップとして大活躍です。
また、まどかのナル操縦術は他のメンバーが言葉を失くしてしまうほど華麗で笑ってしまいます(^^;
今巻でも霊現象を扱っているとはいえ、根底にあるのは人間の歪んだ想い。
真実が明らかになるにつれ、未知の存在に対する恐怖というよりも“嫌な感じ”が増していくのも、これまでとは少し趣が異なるところです。
特に終盤に向けての最初の盛り上がりとも言える麻衣の夢のシーンは、最後の瞬間の描写が生々しくて、寒気とともに嫌悪感を感じてしまうほどです。
アニメ版で映像で見たときも「ウッ」となりましたが、文章で読むとまた別の嫌さがあります。
もしかしたら映像で見てイメージが出来上がっているために、文章で細かく描写されることで不快感が増してしまったのかもしれません。
そういえば、アニメを観たときは「死にたくない」の血文字を書いたのは今回の件の黒幕だと思ったのですが、小説を読むと被害者の一人が書いたようです。
アニメでもそういうことだったのかもしれませんが、この点だけはいまいちしっくりきませんでした。
ページ数は416ページ。
内容的には、コミックス第6巻と第7巻、アニメ版DVD Vol.8&9に収録されている「血ぬられた迷宮」に相当する話です。
恐怖感の演出という面では残念ながら第4巻より劣るかなという感じですが、後半にかけてのおどろおどろしい雰囲気は抜群。
真砂子を救い出すクライマックスシーンの緊張感も悪くなかったと思います。
SPR以外の霊能者たちが一人、二人と消えていき、徐々に動揺が広がっていく様子もうまく描かれていました。
第6巻は『海からくるもの』。
2011年9月刊行予定です。
ついに「あの人」の活躍を読めます(^^;
本編の内容にあわせて裏表紙も「あの人」だそうです。
小野不由美「ゴーストハント」シリーズ特設サイト
![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
ゴーストハント5 鮮血の迷宮 (幽BOOKS) | ![]() | ゴーストハント(6) (講談社コミックスなかよし (974巻)) ゴーストハント(7) (講談社コミックスなかよし (990巻)) | ![]() | ゴーストハント FILE7「血塗られた迷宮」上巻 [DVD] ゴーストハント FILE7「血塗られた迷宮」下巻 [DVD] |
ラベル:ゴーストハント
【ゴーストハントの最新記事】