作中では前回の話から季節が一つ進んで夏。
今回の舞台は能登半島の岬の上に建つ料亭「渟湛(ていたん)」です。
この料亭を営んでいる吉見家には、ある呪いに関する話が一部の者だけに伝わっていました。
その呪いとは、代替わりのたびに必ず多数の死者が出るというもの。
おりしも当主が亡くなり、悲劇の兆候がいくつも現れ始めたため、SPRに依頼が舞い込んできます。
客への被害を抑えるために料亭は閉められ、従業員にも休暇を取ってもらっているため、現在料亭に残っているのは吉見家の家族13人だけ。
そこにSPR一行が調査に赴くことになります。
ということで、『ゴーストハント』シリーズもいよいよ大詰め。
物語が始まって早々にハプニングが発生し、坊さんを筆頭にいつものメンバーが総出でナル抜きで奮闘することになるのがこれまでと大きく異なるところです。
彼らが困難に負けずに一歩一歩真実に近づいていく様子が丹念に描写されています。
もちろん待ちに待った綾子の活躍もあり。
ページ数は434ページ。
内容的には、コミックス第8巻と第9巻、アニメ版DVD Vol.10&11に収録されている「呪いの家」に相当する話です。
そして今回もコミックスやアニメ版では描かれなかった、小説版ならではの配慮がありました。
一番感心させられたのは、再生の儀式を繰り返す魂について麻衣が疑問を抱く場面です。
洞窟に打ち寄せられる魂は何のために再生の儀式をして何に生まれ変わろうとしてるのか、そしてなぜ麻衣たちを襲撃したのか?
この疑問はコミックス&アニメでは触れられなかったもので、自分も特に意識していませんでした。
でも、この疑問を麻衣に抱かせることで(そしてその答えを読者に明確に意識させることで)、おこぶさまの不気味さが格段に増すことに。
本編373ページに記述されている1ページにも満たない記述ですが、これを読んだときはゾクッときてしまいました。
結末は知っていたので、最後の締めでの驚きはありませんでしたが、ここに至っても小説版ならではの満足感は健在でした。
第7巻(最終巻)は『扉を開けて』。
2011年11月刊行予定です。
ついにすべての謎が解明されます。
小野不由美「ゴーストハント」シリーズ特設サイト
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