「誰かに期待しても傷つくだけだ―――だったら最初から期待なんてしなければいい」
緒花はこれまでの経験と、容赦なくダメな母親の教えから、たとえ肉親だろうと他人は信用できないと思い込み、自分だけを信じて生きてきました。
そんな緒花が、今回はいい感じで一歩前進することに。
これからは他人を頼り、しっかりコミュニケーションをとっていこうと決意しました。
民子と菜子はこれに巻き込まれたような形になりましたが、二人とも他人とのコミュニケーションに問題があるという点では緒花と同じなので、結果的にはみんなにとって良い方向に事態が進み始めたように思えます。
ということで本編。
仕事ができないことを責められて悔しい思いを抱える緒花は、早朝から草刈りです。
でも鎌で雑草の上の方を切っているだけなので、草刈りになっていません。
偶然通りかかった女将にそのことを指摘されたうえ、適当な仕事は邪魔なだけだと言い放たれてしまいました。
そして女将の部屋に呼ばれます。
そこには菜子も呼ばれていました。
女将は菜子を使って緒花に仲居の仕事を覚えさせることにしたようです。
菜子は極度の人見知りで、他人とまともに目を合わせることもできないので、もしかすると菜子の成長も狙っているのかもしれません。
さっそく緒花は菜子に教わりながら客間の掃除をすることになります。
でも菜子は最低限のことしか教えてくれません(というか、最低限のことすら教えてくれません)。
そうこうするうちに、菜子は巴に呼ばれて行ってしまいました。
「人に頼らず、自分を信じる」がモットーの緒花は一人で掃除を続けることに。
母は反面教師だとわかっているわりには、その母の教えを忠実に守る緒花。
次に掃除するのは「波の間」です。
以前に聞いた巴の話によれば、「波の間」に泊まっているのは有名な小説家だとか。
でも今はどこかに出かけているようで、部屋は無人でした。
やがて、緒花が一人で掃除を終えた頃に菜子が戻ってきます。
菜子は、今日の仕事はこれで終わりだと言い残して逃げるように去っていきました。
残された緒花はごみを捨てに行くことに。
すると厨房から怒鳴り声が聞こえてきました。
民子が宿泊客の朝食に出すはずの魚を焦がしてしまい、徹に叱られていました。
緒花は徹のきつい口調に驚いてしまいます。
そして、朝食を作り直さなければならないので、民子が今朝のまかないをできないことを知ります。
緒花は前回民子に迷惑をかけたので、自分が代わりにまかないをすることにしました。
緒花のまかないは大好評。
幼稚園の頃から料理を作らされていたので腕は確かなようです。
ただし、民子だけは渋い顔です。
あげくに、緒花のほうが民子よりも料理が上手だと徹が言い出したので、民子は出て行ってしまいました。
緒花はそんな民子を追います。
女将は終始無言でしたが、みそ汁を飲んだ後、飛び出していった緒花を目で追いました。
緒花の料理の腕に感心したのかもしれません。
もしかすると、ただ美味しいだけではなくて、松前家の味が緒花に伝わっていたので緒花に興味が出てきたのかも。
民子に追いついた緒花は、さっそくきつい言葉を浴びせられてしまいます。
「でしゃばるなっ!」
緒花は、前回の布団の件で迷惑をかけたこともあり、そのお返しにまかないをしたつもりでした。
でも、民子はありがた迷惑としか思っていません。
そしてまた「死ね!」の言葉を残して立ち去ってしまいました。
なぜこれほどまでに拒絶されるのか理解できない緒花は落ち込みます。
そんな緒花の耳に、どこかで聞いたような言い回しが飛び込んできました。
「女将を呼べ!」
「波の間」の宿泊客、次郎丸太郎の怒鳴り声です。
これまでに書いた原稿が消えてしまったといって取り乱しています。
直木賞を取れるほどの大作だったと言っていますが・・・。
その後、当事者が旅館の事務室に集まります。
緒花は原稿を捨てたことは認めます。
でもそれは、ごみ箱に入っていたもの。
直木賞を取れるほどの大作には心当たりがありませんでした。
仕方がないので女将が警察を呼ぶと言い出すと、次郎丸太郎は慌ててそれを拒否しました。
騒ぎが大げさになれば、作品を正当に評価してもらえなくなるからだそうです。
それならということで、女将は従業員全員で探しだすと言って次郎丸太郎を落ち着かせようとします。
それに対して次郎丸太郎は、見つからなかったら責任を取ってもらうと言い出しました。
今までの宿代はチャラにしてもらうと。
女将はこれを了承します。
次郎丸太郎はそれを聞いてほっとしたような表情を浮かべました。
彼は1か月ほど宿泊していて、どうやら宿代を払えないので騒ぎをでっち上げたようです。
その後、今回の件に関係する主な従業員が女将の部屋に集まります。
女将は、「波の間」はお客様がいないときに掃除をしてはいけないことを菜子に教わらなかったのかと緒花を問い詰めました。
緒花は弁解せずに言葉を濁して、自分の非を詫びます。
そんな緒花に女将が追い打ちをかけます。
「率先して仕事をしようとするのは結構だがね、言っただろ、無駄なやる気は邪魔になるだけだ」
それでも緒花は、不満を飲み込んで口答えしません。
自分は頑張って仕事をうまくやりたいだけなのに、不手際を叱られるだけで、だれも正しいやり方を教えてくれないという不満を抑えて、原稿を探しに行こうとします。
そんな緒花を女将が止めます。
また失敗されてはたまらないという嫌みを付け加えて。
ところが女将は、他の従業員にも原稿を探させようとしません。
どうやら次郎丸太郎の嘘を見抜いているようです。
なぜこんな嘘を受け入れているのでしょうか。
その後、緒花が外で拗ねているところに徹が通りかかります。
徹は、荷物運びの手伝いをさせるために緒花を連れ出しました。
車の中では自分の言いたいことだけを言って緒花の話を聞こうともしません。
さらに、緒花に向かって、空気を読めなさそうで協調性もなく、周りが見えていないと歯に衣着せずに言いたい放題です。
そんな物言いに気分を害した緒花は「周りには期待しないって決めてるんです」と自分のポリシーを主張します。
「それじゃ自分に期待できんのか?自分のことは全部自分でって、それができるだけのたまか、お前?」
言葉はきついけれど、これも正論。
緒花は自分だけでは何もできないことを知っているので、何も言い返せません。
言葉に詰まった緒花は、もっとも他人にダメージを与える言葉を思わず口にしてしまいます。
「死ね!」
これに驚いた徹は車の運転を誤り、危うく大参事になりかけます。
とりあえず事故にはならなかったものの、緒花はこのとき、他人の死を願うことの愚かさを自覚しました。
そしていきなり車から飛び出して喜翆荘(きっすいそう)に向かって歩き出します。
一人で歩きながら、緒花は自分が本当にしたいことはなんなのか改めて考え込みます。
なんだかモヤモヤする。
ただ仕事がしたいだけなのに。
でも、そもそも仕事をしに来たわけじゃない。
ただ悔しいから頑張っている。
自分は本当はなにをしたいんだろう。
ここまで考えたとき、緒花は、子供の頃のことを思い出します。
授業参観に必ず行くと言いながら結局来なかった母のことを。
他人に期待しないと決めたのはその頃でした。
さらに、母の嫌いなブロッコリー山盛りのオムレツを作って食べてもらったらモヤモヤが晴れて少しすっきりしたことも思い出しました。
そして喜翆荘。
旅館に戻った緒花は、さっそく民子の口撃を受けます。
「死ね!」
喜翆荘への帰り道で一つの結論に達した緒花は、今度はひるみませんでした。
民子に向かって「死ね!」はやめようと詰め寄ります。
もっと言葉を選ぶべきだと。
さらに、偶然通りかかった菜子にも詰め寄ります。
逃げるのはやめようと。
自分はこれから空気を読むようにするし、人に期待して頼るようにもするから、何をしちゃいけないのかとか仕事の仕方とかを教えてほしいと二人に頼みます。
それ以外にも二人のことをもっと教えてほしいと頼みます。
そして、とりあえず嫌いな食べ物を教えてほしいと言い出しました。
明日もまかないをして、腹いせに二人の嫌いなものを入れるからと。
とりあえずそれですべてを水に流してすっきりしたいということでしょう。
ここまで聞かされた菜子は、緒花が掃除の件で自分をかばってくれたことを思いだして考え込んでしまいます。
民子は意味不明な言葉に付き合っていられないので、菜子を連れて立ち去ろうとしますが、緒花は諦めずに食い下がります。
あげくに二人を押し倒して、嫌いな食べ物を言えと迫りました。
さすがにこの気迫には逆らえなかった二人は、恐る恐る自分の嫌いなものを伝えました。
「ホウレンソウ?」
「里いも・・・かな」
とりあえず目的を達成した(?)緒花は、意気揚々と立ち去ります。
民子はただあっけにとられるばかりです。
ここで菜子が、緒花が自分をかばってくれたことを民子に打ち明けました。
「私、腹いせされなくっちゃ」
翌朝。
前日の言葉どおり緒花がまかないを作ります。
民子と菜子の二人が料理を食べてくれることを期待して。
料理の後にごみ捨てに出た緒花は巴に会いました。
そして、自分がごみを捨てている場所が不用品置場で、ごみ捨て場は向こうにあることを教わります。
一つ賢くなった緒花は、巴が立ち去った後で昨日捨てたごみを探します。
ごみ袋の中には、丸められた原稿用紙がたくさん入っていました。
どんな傑作が書かれているのか興味津々の緒花がさっそく一枚取り出して読んでみると、書かれていたのはなんと百合系の官能小説でした(^^;
最初は自分と同じ名前の人物が出ていることに喜んでいた緒花でしたが、そのことに気付いて赤面し、言葉をなくしてしまいます。
そこに現れたのが次郎丸太郎です。
ぶつぶつと意味不明な言葉をつぶやきながら、なぜか緒花に迫ります。
緒花、絶体絶命・・・か?
ということで、ものすごい引きになりました(^^;
ここで緒花が襲われることはないと思いますが、インパクトがありすぎます。
しかも、エンディング後の次回予告も強烈。
次回は「ホビロン」
これは続きが気になります。
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