2011年07月10日

魔天使マテリアル X 黒闇の残響

第10巻のサブタイトルは「黒闇の残響」
これがレイヤに残されたユウヤの記憶を表しているのは容易に想像できます。
本編でもこの記憶に苦しめられるレイヤの様子が描かれています。
でも今回の主役は志穂と徹平と言ったほうがいいかもしれません。
正月のパトロールからバレンタインのドタバタまでの出来事を通して、志穂と徹平のもどかしい関係が大きく描かれました。
もちろんそれだけではなくて、小悪魔退治や元マテリアルたちの会合、バレンタインのチョコエピソードなどが盛り込まれていて、話運びのうまさは相変わらずです。
サーヤのいじめ問題も、だれもが納得せざるを得ない形で綺麗に解決されました。
この場面は挿絵のサーヤの表情が絶妙で、笑いが止まらなかったです。

千早のサプライズ出演も個人的には嬉しかったところ。
でもこの様子だと再登場はないかもしれません。
伊吹が千早のことを恋愛対象とは見ていないので、再登場しても千早にとっては辛いだけなんでしょうけど。
今後はマテリアルとは完全に縁を切って新たな人生を歩んでいくことになるのでしょうか?

これとは逆に、力を失った雪成は確実に復帰してくれそう。
サーヤとの関係がどうなっていくのか興味津々です。

そして志穂と徹平の関係は……。
この2人のもどかしい関係にも遂に変化の兆しがありました。
その結末は次巻に持ち越されてしまいましたが、次巻で大きな進展があるかもしれません。

でもその前に、突然の大停電の原因をめぐってひと騒動ありそうです。
しばらく大物の悪魔は出ていなかったので、そろそろ物語の節目となる大きな動きがあるのではないでしょうか。


外伝のほうも盛り上がってきました。
こちらも時期的にはバレンタインの出来事で、綾香についに恋人が…といった流れ。
これは間違いなく魔王登場のプレリュードですね。
こちらのほうも次で大きな動きがありそうです。

魔天使マテリアル〈10〉黒闇の残響 (ポプラカラフル文庫)
魔天使マテリアル〈10〉黒闇の残響 (ポプラカラフル文庫)
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2011年06月30日

魔天使マテリアル VII 片翼の天使

さて第7巻です。
前巻はレイヤと千早のその後が気になる衝撃的な引きとなりましたが、それについては思わぬ形で決着することになりました。
といってもレイヤに関してはまだ謎を引きずっています。
千早のほうは、とりあえず今後の復活に期待しておきましょう。
こういう形での退場はちょっとかわいそう過ぎます。

さらに新たな展開として、今巻では、現役マテリアルのサポート役として陰で尽力している年配の元マテリアルが不穏な動きを見せていました。
不穏といってもあくまで人間社会を悪魔から守るために実益を優先した結果の行動で、決して悪意があるわけではありませんが、サーヤとレイヤの今後にかかわってくる重要な展開です。
今巻から登場した新キャラの耕平が、今後どう絡んでくるのか気になるところです。

さらにさらに、サーヤ&レイヤの出生の秘密と、サーヤの母親・綾香の生前の行動にまつわる謎がいよいよ前面に出てきたようです。
詳しく触れられるのはまだ先かもしれませんが、謎めいた何かがあることが徐々にほのめかされ出しました。
これについては伊吹が詳しい事情を知っているような描かれ方です。
年配の元マテリアルの動きと合わせて、シリアスな要素が増えてきました。
というか、これって本当に子供向けなのかと疑問に思えるほど濃い話になってきたような?
そういえば『ハリー・ポッター』とか『ダレン・シャン』も区分としては児童書だから、「子供向け」というくくりで考えるのは間違いなのかも。

そして最後はお約束。
またもや絶妙のラストとなりました。
さすがに今回はおおよその展開は予想できますが(合っているかどうかはともかく)、ここで終わっちゃったら続きが気になってしょうがないでしょうといった感じの絶妙さ(^^;


外伝ももちろん掲載されています。
今回も綾香の言動が際立っていました。
小四の伊吹を相手にしょうもないことで真剣に喧嘩してみたり、がんばって疲れ果てた圭吾をやさしく見守ってあげたりと、綾香の魅力(?)爆発といったところでしょうか。
この天真爛漫な少女がなぜ魔王とかかわることになってしまうのか?
この外伝はいずれ本編とリンクしていくと思うので、こちらの展開からも目が離せません。

魔天使マテリアルVII 片翼の天使 (ポプラカラフル文庫)
魔天使マテリアルVII 片翼の天使 (ポプラカラフル文庫)
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2011年06月26日

魔天使マテリアル VI 月下の戦慄

「魔天使マテリアル」(略して「マテマテ」)は、小学校中学年以上向けの小説です。
藤咲あゆなさんつながりでちょっとした気まぐれから読み始めたのですが、ストーリー構成が巧みなうえ、登場人物たちも魅力的に描かれているので、毎巻楽しく読ませてもらっています。

あまりに面白いので、アニメ作品ではありませんが、例外的に「魔天使マテリアル」のカテゴリを新設してしまいました。
今後も機会があれば長文記事を書いていきたいと思います。


さて、今巻の話は……。

前回の事件がきっかけで、志穂と徹平がサーヤの生い立ちを知ってしまったことから、それぞれに悩みを深めて関係が疎遠になってしまう様子が描かれました。
これまでにない重い話です。
最後には収まるべきところに納まることになりますが、その際に垣間見える徹平と志穂の内面がいい感じに話を盛り上げてくれます。
徹平が意外にも(?)リーダーとしての芯の強さを持っていたことがわかったり、志穂にもあまり公にできない悩みがあったためにサーヤとの距離を取らざるを得ない心境だったことがわかったりと、各キャラの厚みが更に増しました。

そして最後には、現役マテリアルが初めて全員一丸となって悪魔と対峙することに。
ここからはまったく予想もしていなかった展開になり、思いっきり引き込まれてしまいました。
次巻以降でどうなるのか興味津々です。

そしてラスト。
この巻にもサーヤの母親・綾香たちが現役だった頃の活躍を描く外伝が付属しています。
綾香の破天荒な性格が笑えるギャグ色が強い内容ですが、圭吾少年の力が衰えだしてきた様子も描かれて、こちらはこちらで続きが気になる展開となっていました。

魔天使マテリアル〈6〉月下の旋律 (ポプラカラフル文庫)
魔天使マテリアル〈6〉月下の旋律 (ポプラカラフル文庫)
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2011年06月12日

『魔天使マテリアル』シリーズ

この作品は、ポプラカラフル文庫から刊行されている藤咲あゆなさんの小説で、現在11巻まで発売されています。

藤咲あゆなさんのことは『ARIA The ANIMATION』で知り、それからずっと気になっていたのですが、最近『ナイトウィザード The ANIMATION』を観て再度注目度がアップしたこともあり、小説を読んでみることにしました(アニメ脚本はそれほど書かれていないようなので)。

物語の主人公は紗綾(さあや)という小学5年生の少女で、愛称はサーヤといいます。
サーヤは、生まれて間もないころに「紗綾」という名前が書かれた紙と鳴らない小さな笛とともに孤児院の前に置き去りにされました。
第1巻では、そんなサーヤがいくつかの出来事を経験した後、神舞(こうま)町という町で暮らすことになります。
この町は魔界への道が開きやすい場所で、かつては降魔町と表記されていました。
魔界から来た悪魔は能力者(マテリアル)たちの活躍ですでに一掃されていますが、この場所に悪魔が現れやすいということに変わりはないので、悪魔の調査と退治を目的として怪奇探偵団という組織が結成されています。
組織といっても規模は小さく、現在マテリアルとして活動しているのはサーヤの通う小学校に4名と、中学校と高校に3名しかいません。
また、マテリアルの能力は高校生くらいになると消えてしまうらしく、かつてマテリアルだった大人たちが彼女たちのサポート役をしています。

怪奇探偵団の目的は上記のように悪魔の調査と退治ですが、第1巻ラストの出来事があったため、魔界へ出向いて悪魔と直接対決するという目的が新たに加わることになります。

続く第2巻では、現役中学生アイドルのマテリアル2名が物語に加わることに。

第3巻以降はまだ読んでいませんが、今後は恋の話なども展開されるようです。
対象読者は小学校中学年以上(の女子?)ということで、芸能界や恋愛などをからめた、なかなかツボをついた内容になっています。
ただ、人物や物語の背景など細かい部分がよく練られているうえ、台詞回しがうまく、ほどよい笑いを盛り込みながらテンポよく話が進んでいくので、大人でも十分楽しめるのではないでしょうか。
特に自分のようなアニメ好きでファンタジー系の物語に抵抗がなければ、かなり引き込まれてしまう内容だと思います。
機会があれば読んでみてもいいのではないでしょうか。


最後に蛇足。
このシリーズはポプラカラフル文庫から刊行されていますが、もともと第6巻まではジャイブカラフル文庫で刊行されていたようです。
なので、現在発売されているポプラカラフル文庫版の第6巻までは、ジャイブカラフル文庫版に加筆・訂正したものとなっています。
第7巻以降はポプラカラフル文庫向けの書き下ろしです。
また、通常版のほかに図書館版というのも発売されていますが、ページ数は同じようなのに価格が300円ほど高いうえ、装丁のサイズと色が違うので、もし購入するのであれば図書館版は避けたほうがいいかもしれません。

魔天使マテリアル〈1〉目覚めの刻(とき) (ポプラカラフル文庫)
魔天使マテリアル〈1〉目覚めの刻(とき) (ポプラカラフル文庫)
魔天使マテリアル〈2〉華麗なる罠 (ポプラカラフル文庫)
魔天使マテリアル〈3〉忘れえぬ絆 (ポプラカラフル文庫)
魔天使マテリアル〈4〉青の間奏曲(インタールード) (ポプラカラフル文庫)
魔天使マテリアル〈5〉風のキセキ (ポプラカラフル文庫)
魔天使マテリアル〈6〉月下の旋律 (ポプラカラフル文庫)
魔天使マテリアルVII 片翼の天使 (ポプラカラフル文庫)
魔天使マテリアル〈8〉揺れる明日 (ポプラカラフル文庫)
魔天使マテリアルⅨ 銀の夜想曲(仮) (ポプラカラフル文庫)
魔天使マテリアル〈10〉黒闇の残響 (ポプラカラフル文庫)
魔天使マテリアル〈11〉真白き閃光 (ポプラカラフル文庫)

これまで自分が視聴したアニメの藤咲あゆな脚本エピソード
『ARIA The ANIMATION』#9、#11、#13
『ARIA The NATURAL』#2、#3、#8、#11、#18、#19、#25
『ARIA The ORIGINATION』#1、#3、#5.5(TV未放送)、#10、#11
『金色のコルダ~primo passo~』#10、#14、#15、#21、#24
『ヴァンパイア騎士』#4、#6、#9
『ヴァンパイア騎士 Guilty』#3、#8、#9
『ナイトウィザード The ANIMATION』#1、#2、#3、#5、#7、#9、#11、#13(シリーズ構成も担当)
『伝説の勇者の伝説』#9、#13、#19
posted by animisc at 22:00| Comment(3) | TrackBack(0) | 魔天使マテリアル | 更新情報をチェックする