今回は、競馬学校への入学が無理だとわかってもなお夢にしがみついて悩む紗羽の様子がメインで描かれました。
ただ、紗羽が将来について甘く考えすぎていたのは間違いなく、そのことは進路希望調査の第2希望以下に「なし♡(ハート)」と書いていたところからもうかがえるように思えます。
「馬が好き」という理由だけで騎手になれると単純に考えていたのでしょう。
ストレートな物言いの父親の言葉で意固地になってしまったことが、さらに悩みを深める結果につながってしまいました。
和奏から最高のアドバイスをもらっても、自分が非難されているとしか考えられないくらい追い詰められています。
そんな様子も含めてどのキャラも感情の動きが自然で、今回も笑えて感動できるドラマが展開しました。
それでは本編を。
合唱時々バドミントン部がいつも練習に使っている音楽準備室で声楽部が練習を始めてしまいました。
白祭のメインステージに参加するための選考会に備えての練習です。
教頭の許可はちゃんと取っているので反論の余地はありません。
選考会のことを知らなかった来夏たちは、声楽部部長・広畑七恵からきつい言葉をもらってしまいます。
「そんなことも知らないから、お遊びだって言われるんでしょ」
これを聞いた紗羽が自分の状況と重ねて過剰に反応してしまいます。
この場面で大智とウィーンが発声練習していましたが、音楽室から漏れてくる声楽部の声に合わせていたため、彼らの声は声楽部の声よりワンテンポ遅れていました。
こういう細かな演出も何気にいいです。
結局、練習場所がなくなってしまった一同は、ウィーンの「うち、ピアノあるよ」の一言でウィーンの家に行くことに。
その途中の電車内でのやり取りがまたよかったです。
ウィーン「友達に忍者っている?」
大智「いねえな」
ウィーン「やっぱり忍んでるんだね」
大智「それより、お前んちって天井高い?」
たんなるギャグのようでいて、それぞれの性格や今現在の興味などがはっきりわかるやり取りです。
会話が微妙にずれているところがまたなんともいい味を出しています。
一方、来夏は紗羽が“ロストラブ”したと勘違いしておかしなアドバイス。
困惑する紗羽が和奏に目をやると、和奏も来夏に同調していて、紗羽の困惑は深まるばかりです。
紗羽「?」 → 和奏サムズアップ → 紗羽「???」の流れが絶妙です。
そしてウィーンの家。
この家はもともとおじいちゃんの家で、彼が亡くなる前に会社に寄付したものでしたが、ウィーンの家族が急遽日本に戻ってきたので、今はこの家を借りているのだとか。
ウィーンの部屋に入ったときのみんなの言動がまた可笑しかったです。
和奏は暖炉を見つけて「何か燃やしてみようよ」
バドミントン第一の大智は照明器具を気にして「これ、バドミントンするのに邪魔だな」
来夏は「熱闘ヒーロー ガンバライジャー」のフィギュアで遊びだします。
ここでウィーンが珍しく大声をあげました。
このフィギュアはとても大事なものだからいじらないでほしいようです。
レッドがいない理由を尋ねられたときの答えは「レッドは今、遠いところで大事な任務を果たしてるんだ」
これはもちろんヤンを守るという任務ですね。
その後、ピアノがある部屋に移動した一同。
残念ながらピアノは使えないことがわかりました。
ずっと調律していなかったようです。
結局練習はできないとわかったところで紗羽が帰ると言い出します。
その様子を見てついに耐えられなくなった来夏が一言。
「失恋がそんなに辛いなら相談してよ! みんな紗羽の力になりたいと思ってるんだよ」
ここにきてついに紗羽が悩みを打ち明けることに。
騎手になりたいという夢、そしてそれがかなわないという現実。
これを打ち明けられた来夏とウィーンはがんばればなんとかなると紗羽を励まします。
でもがんばっても無理なことは紗羽が一番よく知っていることです。
そんな気持ちに追い打ちをかけるように発せられた和奏の言葉。
「少し離れてみたら? 今の気持ちが少し落ち着いて見えるようになる…」
かなわない夢にしがみついてもがき苦しみ続けるのはやめて、一歩退いて視野を広げてみることを勧めます。
そうすれば別の夢が見つかるかもしれないし、自分もそうやって立ち直ったからです。
でも今の紗羽にはこんな言葉も否定的にしか受け取れず、たまらずキレてしまいます。
「何悟ったようなこと言ってるの。和奏はいいよ。音楽に戻ってきて、今続けてるからそんなことが言えるんでしょう? 私は、今離れたらもうおしまいなの! 将来なんてないんだから!」
和奏はそれでも言葉を続けます。
「私、音楽に戻れてよかった。約束だから。お母さんと一緒に歌を作るって。歌で今でもお母さんとつながってる。でももし、もう一回だけお母さんに会えるんなら、私音楽をやめてもいい。けど、それはもう叶わないから」
紗羽は返す言葉がなくなり、その場を去ってしまいました。
その夜。
和奏が「ネコでもわかる作曲教室」を参考にしながら作曲の勉強をしています。
でもなかなかはかどらないので、自分が猫以下なことにため息。
一息ついたところで紗羽に電話をかけようとしましたが、やめてしまいました。
「落ち込んでるときは放っといてほしい」と身をもって知っているからです。
その頃、紗羽は和奏の言葉を思い出して悩んでいました。
「離れるって、諦めるってことじゃん。なんでみんなそんなことばっかり言うの? 私が甘えてるのかな?」
この時点で紗羽は和奏の言葉の正しさと、騎手になるという夢は捨てなければいけないことを頭では理解しているはずです。
でも最後のきっかけがつかめないために意固地になっているだけに見えます。
そのために「馬とかかわる仕事=騎手」としか考えられないのでしょう。
和奏の言葉どおり一歩退いてみれば、もっといろいろな可能性が見えてくるはずなのに。
翌日。
紗羽は学校を欠席してしまいました。
一方、来夏たちには一大事が発生。
教頭に呼び出されてメインステージ参加を辞退するよう言われてしまいます。
でも来夏は、第1話のときのように感情的に反発するのではなく、教頭の意図を理解したうえで丁寧にこれを断りました。
能天気なようでいて何気にけっこう成長しています。
和奏も教頭の言葉に自分なりに反論します。
合唱部に入るまで、音楽は一人で孤独に技術を磨くものだと思っていたけれど、いろんな人とかかわることでさまざまな感情が芽生えて綺麗なハーモニーを奏でられることがわかったと。
それを聞いていた教頭の脳裏にまひるの言葉が蘇りました。
そしてまひるに対して思わず愚痴ってしまいます。
「そう言って、全部一人でできてしまうのがあなたじゃない」
教頭のまひるに対しての想いが垣間見えた瞬間です。
教頭が合唱部を拒絶する理由はまだはっきりしていませんが、そのヒントといったところでしょうか。
そんな教頭に来夏の言葉が追い打ちをかけます。
「教頭先生。私、音楽に愛されてます。ほんのちょっとだけど…。覚えてますか? 私には人の心を動かす特別な何かがないって。一人じゃ無理だけど、みんなの力を借りれば、ほんのちょっとだけ人の心を動かせるようになったと思います。そのほんのちょっとを大きく育てるのが先生の仕事だと思います。だから、私たちを舞台に立たせてください」
ついに折れた教頭は、メインステージ参加希望者の選考会に出てそれを証明するよう言い渡しました。
ということで、来夏たちは選考会で歌うことに。
選考会はなんとその日の放課後です。
しかも紗羽が欠席しているので「100人の合唱部なら20人いない」ことになって戦力激減。
どうしても紗羽の力が必要なのに、電話にもメールにも応答なしです。
選考会の開始が迫る中、来夏たちは大切なことに気付きました。
紗羽はすごく落ち込んでいたのだから、来てほしいとお願いするだけじゃいけなかったのだということに。
「落ち込んでるときは放っといてほしいけど、気にしてくれる人たちがいるって、嬉しかったな」という体験者(和奏)談に従って、紗羽にそう伝えようと思い立ったものの、どう伝えていいかわかりません。
その頃、紗羽は和奏からのメールを読んでいました。
ウィーンの家で言ったことを謝るメールです。
さらに「あきらめなくていいことまであきらめたくないから、4人でも歌います。
でも、紗羽が来てくれたら、とても心強いです」とも書かれていました。
そんなメールを読んだ紗羽が和奏の“強さ”を羨んでいたとき、なにやら興奮気味の父の声が聞こえてきました。
競馬学校に電話をかけて、紗羽が入学できるようお願いしているようです。
でもお願いの仕方に問題があるような。
しまいには「坊主舐めんなー! 地獄に落とすぞー! 喝ーーつ!!」
これじゃお願いじゃなくて脅迫です(^^;
そんな父の不器用な想いを知った紗羽が部屋に戻ると、来夏から再度電話がかかってきました。
合唱時々バドミントン部の面々が一人ずつ、紗羽への励ましを歌に乗せて届けます。
紗羽はみんなの想いを知り、ようやく悩みを吹っ切れたようです。
急いで学校に向かいます。
普段は自転車で通っていますが、少しでも早く到着するためにサブレに乗って。
学校では選考会の時間が迫ります。
和奏は、学校に電話をかけて教頭を呼び出してもらういたずら電話もどきの作戦で必死に時間稼ぎをしますが、さすがにこれだけでは無理があり、合唱時々バドミントン部の面々は紗羽抜きでステージに上がることに。
とここで紗羽が到着。
ギリギリで間に合った紗羽がステージに駆け上がり、みんなとハイタッチをきめ、紗羽の笑顔を見られたところで本編終了です。
選考会の結果は描かれませんでしたが、おそらく通過して白祭参加OKでしょうね。
そのへんは十分想像で補えるので、無駄を省いた清々しい引きといえるかもしれません。
ということで、今回もなかなか見ごたえがありました。
和奏の父に続いて紗羽の父もいい父親で、メインキャラだけでなく脇役も頑張っています。
紗羽の新しい夢については今後何らかのフォローがあるはずですが、もしかするともう少し悩む描写があるのかもしれません。
その結果については最終話あたりで明らかになるのかも。
どんな夢を見つけることになっても最後は笑顔を見せてほしいです。
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