素直にDVDの特典に付けてくれればいいものを・・・という不満はさておき、さっそく聴いてみました。
大沼監督が出演するということで、どういう話が聞けるのか少し期待。
まずはオープニングの制作裏話から。
オープニングの絵コンテはしっかりしたものがなかったので、蓮治の手と鎖が重なる場面など、最終的なイメージが掴めなくて大変だったようです。
尺が合うのかどうかわからなくて焦ったとか、そんな適当でいいのか?と思える発言も(^^;
こちらとしては、結果的にいいものが出来上がって、それを観せてもらったわけだから、文句はないですけどね。
千尋の小説。
幻想的な絵に小説の英訳が重なる綺麗な場面ですが、細かな効果とか、背景に英文を重ねることとかは撮影監督に一任だったそうです。
Aパート後半で千尋が「もうそういう場面だと思います」と言う前後のシーンも撮影に任せた結果、あの赤い嫌なシーンが出来上がったとか。
他に書く機会がなかったのでついでに書いておくと、小説のシーンには一つだけ不満があるんですよね。
英文の文末(ピリオドの後)にスペースが入っていないので読みにくかった・・・という本当にどうでもいいことなんですが(^^;
これだけは観るたびに違和感を感じてしまいます。
それはいいとして、コメンタリーを聞いてもよくわからないところがありました。
図書館の場面で画面全体に「虫」が出ているという話。
室内のホコリに光が反射しているものだとばかり思っていたのですが、本当に「虫」なんでしょうか? しかもなぜあんなに大量に? ホコリのことをそう言っているだけなのかな?
監督はブログとかで視聴者の反応をチェックしていたそうで、そのときに感じたことも話してくれました。
第7話よりも第8話で千尋の記憶が消える場面のほうが反響が大きかったので驚いたそうです。
監督としてはこの第7話のほうが全体を通して嫌な気分になれるのでインパクトは大きいと考えていたようです。
第7話のコンセプトは「(視聴者への)嫌がらせ」なので、気分良く仕事できたそうです(^^;
なるほどと思ったのが、千尋と蓮治が海岸に向かう場面の解説。
・千尋にしか光が当たっていない
・千尋が立ち止まっても蓮治は歩き続ける
という描写で、千尋と蓮治の想いが食い違ってきている様子を表しているそうです。
これはわかりやすい演出だそうですが、TV放送時はまったく気付いていませんでした(^^;
言われてみれば確かにそのとおりで、「蓮治っていうのは(中略)実はこっから若干、気持ちが離れて別世界になっちゃってる」という話を聞きながら画面上の蓮治の暗い描写を観て震えが走ってしまいました(←ちょっと大げさ)。
この後のシーンで、一人去っていく千尋に向かって蓮治が手を伸ばしますが、この手とオープニングで鎖をつかもうとする手が対になっているそうです。
なかなか深いですね。
サブタイトルの「I...」。
今回はCM明けのアイキャッチにサブタイトルが表示されますが、監督はこれが人生ゲームの駒っぽいなぁと思いながら絵コンテを書いていたそうです。
あと、みやこ視点の白黒イメージの意味がはっきりするのがこの話数なので、放映当初に視聴者から突っ込まれまくった屈辱(?)を晴らせたようです。嬉しそうに語っていました(^^;
この白黒描写については、視聴者から反発をかうと、あらかじめ監修の人から忠告を受けていたそうです。
監督自身はまったく意識していなくて、放送後に実際そのとおりになったので経験の差を感じたとのこと。
問題のBパートですが、どんどん嫌な方面にストーリーは進んでいくのに、画面は水彩調で明るいというのが監督なりの嫌がらせだったとか(^^;
画面が文字で埋め尽くされるシーンは、本当に最後まで文字だけで真っ黒にしたかったそうです。
でも、文字だけだとなかなか真っ黒にならないので諦めたそうです。
「意外と画面黒くなんないんですよね」ということで、けっこうやる気満々だったのかも。
それはそれで観たかった気もしますが、実際にやっていたとしたらみやこ役の声優さんが大変だったでしょうね。
結局最後は黒い四角で画面を消していくことになりましたが、このときに鳴る「ピー」の音に音響監督の指示が加わったそうです。
あの高音は心拍数をモニターする機械の「ピー」をイメージしたようです。
そのときの指示が「もっと高くして――ご臨終だから」。
それを聞いた監督は「えーーっ!?」って感じだったとか。
ということで、他にもいろいろ話していましたが、とりあえずこんな感じでなかなか聞きごたえのあるオーディオコメンタリーでした。
アニメのDVDに付いているオーディオコメンタリーって、あってもなくてもいいような内容のものが多いですが、このくらい質の高いものであれば、ぜひDVDの特典に毎回付けてほしいですね。
出演
中島裕美子(雨宮優子 役)
ねこねこ天使まじかるゆうな
大沼心(監督)
![ef - a tale of memories.4 [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51tHkrE57ZL._SL160_.jpg)
ef - a tale of memories.4 [DVD]
※この記事で触れているオーディオコメンタリーは音泉で配信されているものです。DVDの特典ではありません。