2008年04月02日

今週前半の一本(2008/3/30~4/2)―『ARIA The ORIGINATION』第13話

「灯里ちゃん――あなたに大切なお話があります」
というARIAらしからぬストーリー性を感じさせる引きで終了した前回。

今回は、なぜか灯里がARIAカンパニーに来て初めて制服を着た場面からスタートです。
この一見脈絡がないようなシーンにも当然意味はあるわけで、このシーンはラストシーンへの伏線になっていました。
灯里の成長ぶりがうまく表現されていてとてもよかったです。

「大切なお話」のほうはどうなったかというと、アリシアさんが結婚してウンディーネを引退することになったという話でした。
それについて詳しく聞きたい藍華とアリスは、灯里のプリマ昇進などそっちのけで灯里に詰め寄ります。
でもそこは仲良し三人組。
アリシアさんのことが気になるのは確かだけれど、もっと気になるのは灯里の今後のようです。

寿引退の噂は瞬く間に広がったようで、アリシアさんの元には引退を惜しむ人々が押し寄せます。
ゴンドラを漕いでいるときも多くの人が手を振ってくれます。
アリアシアさんはそれに笑顔で応えますが、人々の視線からはずれると表情が変わります。
引退することに躊躇いがあるということでしょうか。
それにしても今期のARIAでは、こういう細かい表情の変化を丁寧に描いてきますね。
ストーリーもさることながら、作画面でも素晴らしい出来です。

灯里の不安。
いつものように日常業務をこなす灯里が、ちょっと分からないことがあってついアリシアさんを探してしまう。
でもそこにアリシアさんはいない。
アリシアさんはすぐに戻ってきましたが、灯里は涙が止まらなくなってしまいます。
「みんなアリシアさんに引退してほしくないんですよ」
この「みんな」には灯里自身も含まれているわけで、ARIAの中で灯里が悲しみや辛さで涙を流したのは初めてじゃないでしょうか。
今回、このシーンが一番うるっときました。
というか、泣いてしまった(^^;
灯里はこれまで押さえ込んでいた気持ちをさらけ出すことで、ある程度ふっきれたようです。
「あたし、この道の先に待っているみんなの素敵な未来に出会いたいです。
だから、アリシアさんのことも笑顔でお見送りしなくちゃ」

翌日、灯里が最初にガイドするお客さんは庵野波平さんこと郵便屋さん。
いや、郵便屋さんこと庵野波平さんと言うべきか?
この人も灯里のことが心配だったようで、それとなく様子を見に来た感じです。
カフェフロリアンの店長やカンパニーレの管理人など、灯里のことを気にかけてくれている人も大勢いて、灯里の「輪っか」は広がり続けています。

アリシアさんの引退セレモニー。
多くのウンディーネが見守る中、灯里を乗せてゴンドラを漕ぐアリシアさん。
最後に灯里にオールを渡し、誰の手も借りないで自らの足でゴンドラを降りていきます。
涙を流しながら一礼する彼女を見つめる灯里は微笑んでいます。
自分の言葉どおり、アリシアさんを笑顔で送ります。
でも、無理に笑顔を作っているという感じですね。
この後にアリシアさんにかける声が震えています。
この表情の描き方と声の演技はなかなか。

そして翌日から灯里の新しい日々が始まります。
朝起きて身支度を整えた灯里が感じるのは、ARIAカンパニーに詰まっている楽しい日々の思い出。
シャッターを開ければ思い出から覚めて新しい一日が始まる。
さあどうする? といったところで、灯里は躊躇わずに未来に向かって前進することを選びました。

そして流れる「ウンディーネ」。
選曲が良すぎです。
この曲をバックにメインキャラのその後を見せてくれます。
みんなこれまでどおりの日常を歩んでいるようです。
少し変化があったのは暁とアル。
二人とも一人前に昇格しました。
そしてアテナには大きな変化が。
なんとオペラに進出。
女優として舞台に立つようになったそうです。
本業のほうは大丈夫なんでしょうか(^^;

アリシアさんは新しい生活で毎日大忙し。

ということで、ここでラストシーンに突入。
ちょっとだけ未来のARIAカンパニーへとシーンは変わります。
ARIAカンパニーに新入社員が入りました。
その新入社員がアイちゃん。
一番大きな変化があったのはアイちゃんのようです。
で、このシーンが冒頭の灯里とアリシアさんのシーンと対になっています。
初めて制服を着たアイちゃんが灯里のように恥じらい、それをいとおしげに見つめる灯里の仕草はアリシアさんとそっくり。
冒頭で灯里のORIGINATIONを描き、ラストでは冒頭と同じシチュエーションでアイちゃんのORIGINATIONを描いて締める憎い演出。

今期のARIAはあらゆる面で突出していました。
最初から最後まで琴線に触れまくりって感じで、毎回涙を浮かべていたような気がします(^^;
特に何か大きな事件が起こるわけでもないのに、毎回これほどまでに引きつけられるというのはでっかい奇跡ですね。

ARIA The ORIGINATION Navigation.7 [DVD]
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2008年03月16日

今週の一本(2008/3/9~3/15)―『ARIA The ORIGINATION』第10話

今回は藍華のデレっぷりが何とも可笑しい回でした。
最終回に向けて怒涛の感動回が続くのかと思っていたのでちょっと拍子抜けの感もありますが、これはこれで楽しめました。

本編は、プリマに昇格したアリスの初営業日の描写からスタート。
緊張しまくりでガイドのタイミングをはずすミスはあったものの、操舵術のほうは完璧で、お客さんはそれなりに満足してくれた様子。

一日の仕事を終えてホッとするアリスは、建物の陰に灯里と藍華がいることに気付きます。
二人は偶然通りかかっただけだと言い訳しますが、灯里が口を滑らせてアリスの仕事振りを見ていたことがばれてしまいます。

自分のふがいない仕事振りを見られていたことに落ち込むアリス。
灯里と藍華はそれを慰めようとアリスの接客を褒めますが、それがかえって墓穴を掘ることに。
自分たちが朝からアリスを追っていたことがばれてしまいます。

アリスはさらに落ち込んで
「そんなところからずっと見てたんですか・・・」

立ち直る気配のないアリスを見た灯里は、今晩、月見をしようと提案。

その夜。
灯里と藍華、アリスの三人はARIAカンパニーに集合して月見を楽しみます。
しばらくして、郵便屋のおじさんお勧めの玄米茶を飲んで一息ついているときに藍華がポツリと一言。
「にしても、アルくん遅いわね」
いつのまにかアルが来ることになっていることを突っ込むアリス。
藍華は、星がらみのイベントにはアルがいなければだめだと言い張りますが、本当の理由はもちろん違います。
アリスもそんなことは承知の上でからかっているようです(^^;

恥ずかしくなった藍華は、その場から離れてアルを迎えに行きます。

「でっかいかわいい」藍華が行ってしまった後、アリスは灯里に感謝します。
月見に誘ってくれたことを。
「明日はお月様のような丸い気持ちで、もっとうまくやれる気がします」

その頃、藍華は無事アルに会うことができて、二人でARIAカンパニーに向かっています。
遅刻してしまったけれど、夜のしじまを独占できてよかったと言うアルの言葉に照れた藍華は、思わず駆け出して、枯れ井戸のフタの上に飛び乗ります。
危ないと注意するアルに対して「平気、平気」と余裕の藍華。
でもその直後、フタが壊れて「ギャッ!?」。
藍華は井戸の中に落ちてしまいます。

この場面、自分的には1期、第12話で星野明子さんが作ったウッドデッキでの灯里の「ん? あれ~?」に匹敵する面白さでした。
しかも、あのときの灯里といい、今回の藍華といい、とっさの一言がそれぞれの性格をうまく表していていい感じです。

ちなみにこの第12話「その やわらかな願いは…」はDVD「ARIA The ANIMATION Navigation 6」に収録されています。
このDVDには第11話から第13話(最終回)までの3話が収められています。
まだ観たことが無い人にはぜひお勧めしたい――といきなり布教活動をしたくなるほど、どれも最高のエピソードです。
蛇足ながら、この第12話を観るなら、その前に同じく1期の第4話「その 届かない手紙は…」も観ておくといいでしょう。
さらに付け加えるなら、第13話は大晦日の午後11時43分27秒から観始めると少しだけ幸せになれるかも(^^;

閑話休題。

アルは、井戸に落ちた藍華を助けようと手を伸ばしますが、藍華を支えきれず自分も井戸に落ちてしまいます。
困り果てる二人。
そこに現れるまぁ社長。
二人は、ボケボケのまぁ社長に願いを託して助けを待ちます。

助けを待つ間、月は何故アクアの周りを回っているんだろうと素朴な疑問を口にする藍華。
アルは、引かれあう力と遠ざかる力が絶妙のバランスを保っているからだと説明します。
近づくことも離れることも出来ずにグルグル回っているという話を聞いた藍華は、月とアクアを自分とアルに重ねてしまいます。
月がアクアに近づきすぎれば、その影響を受けて粉々に砕けてしまうに違いないと考える藍華。
勇気を出して一歩踏み出すことが出来ない藍華は、悲しくなって涙を流します。
そのときアルは、「アクアだって、月の影響を受けているんですよ」と、どう考えても藍華の心境を理解したうえでの発言。

最高に雰囲気が盛り上がり二人は距離を縮めますが、この大切な場面で藍華のおなかがグゥ。

「台無しよーー!!」
崩れ落ちる藍華。

そのとき上から
「何が台無しなんですか?」
というアリスの声が。
まぁ社長がしっかり役割を果たして、灯里とアリスを連れてきてくれたようです。
藍華にとっては最悪のタイミングでしたが。

井戸から助け出された藍華とアル。
「引かれあう力の成せる技です」と言って藍華の手を引くアルも藍華に気があるのは間違いなさそうです。

ARIAカンパニーに戻った一行は、もう一度月見を楽しみます。
ここでアリスが藍華をからかって何が台無しだったのか尋ねるのは、自分の仕事振りを見られて恥ずかしい思いをしたことの仕返しの意味もあるのかも。

こんな感じで、藍華とアルの関係も少し前進するのかなと思わせるエピソードでした。

ARIA The ORIGINATION Navigation.6 [DVD]
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2008年03月04日

今週前半の一本(2008/3/2~3/5)―『ARIA The ORIGINATION』第9話

今回は、開始早々アリスがミドルスクールを卒業。
新しい始まりを感じさせるいい出だしです。

卒業式が終わったアリスは校門に向かいますが、その前に2人の下級生が飛び出します。

「もしよろしかったら、制服の第2ボタンをいただけませんか?」

勇気を振り絞って声をかけてきた2人に何のためらいもなく第2ボタンを渡すアリス。

これを見た隠れアリスファンの生徒達がアリスの周りに集まりだします。
これまでのアリスなら間違いなく断っていたはずなので、誰もこんな無茶(?)な申し出をしようとは思っていなかったようです。

ところで、ボタンを貰った2人の下級生は、1期の第3話「その 透明な少女と…」でアリスにサインを求めた下級生のようです(たぶん)。
そのときは無愛想なアリスにあっさり断られて涙を流すことになりましたが、それでもまだアリスのファンを続けていたんですね。
そして今回は見事願いが叶いました。

あの頃と比べて、アリスは人間的にかなり成長したようですね。

群がるファンの対応を終えてなんとか校門から出てきたアリスを迎えたのは灯里と藍華。
卒業を祝う2人に対して、アリスは最高の笑顔で「ありがとうございます」。

その後の合同練習でもしっかり声出しができているし、アリスは完全に別人に生まれ変わってしまいました(^^

オレンジプラネットの寮に戻ったアリスは、アテナからピクニックに誘われます。

でもピクニックというのは単なる口実で、本当は昇格試験。
そんなことは知らないアリスは、アテナの提案にしたがって、一日ウンディーネになったつもりでアテナを案内することに。

アリスはウンディーネを完璧に演じきり、最後にたどり着いた場所は「希望の丘」。
そこにはなぜか灯里と藍華、それにオレンジプラネットのお偉いさんとゴンドラ協会の人たちが。
不思議がるアリスに、カンツォーネを歌ってほしいとアテナから最後のリクエスト。

カンツォーネだけは苦手だと言っていたアリスですが、「歌うことが大好きだという気持ち」さえ持っていれば聞く人を楽しませる歌が歌えるというアテナのアドバイスを思い出し、感動的なカンツォーネを歌い上げます。

そしてクライマックス。

アテナがアリスの左手の手袋をはずします。
アリスのシングル昇格が決定。

「希望の丘」に来たのでここまでは予想の範囲ですが、この後、アテナはアリスの右手の手袋もはずします!?
なんとペアからいきなりプリマに昇格してしまいました。

「水先案内業界の次世代を担う逸材であるあなたに対して、ゴンドラ協会は並々ならぬ評価と強い期待を込めて、過去に例のない大英断を下しました」 by アテナ
ということらしいです。
そしてアリスの通り名はオレンジプリンセス。

さすがにこの英断には灯里と藍華もかなり驚いていましたが、この快挙を素直に祝うところが清々しいです。
それでも藍華は負け惜しみの一言くらい言いそうですね。
次回、その言葉が聞けるかな(^^;

ARIA The ORIGINATION Navigation.5 [DVD]
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2008年02月13日

今週前半の一本(2008/2/10~2/13)―『ARIA The ORIGINATION』第6話

今回は、人に何かを教えることの難しさについての話。

アリシアさんに一度も叱られたことがないという灯里の話を聞いたアリスが、アリシアさんも人間なんだから叱らないはずがないと、アリシアさんの監視を始めます。
でも、灯里がどんなに失敗を繰り返しても、アリシアさんは決して叱りません。

アリスは思います、
もしかしたらアリシアさんは灯里のことを見放しているのではないかと。

それから1週間、状況に変化なし。
アリシアさんはいつも笑顔。

作戦の変更が必要だと考えたアリスは、とりあえずオープンカフェでパフェを食べて脳に糖分補給。

ここで事態が一変します。
パフェを食べるアリスの前に突如アリシアさんが!

心が汚れきっている自分は、アリスと直接対決するアリシアさんがいつ黒シアさんに変わるのかとドキドキしながら観ていました(^^;

アリシアさんの最初の攻撃。
「ご一緒してもいいかしら?」

綺麗な心で観ていれば、普通の挨拶なんですけどね(^^;

そして、この後もアリシアさんの心理攻撃が続きます。

「で、アリスちゃん。
私に何か聞きたいことある?」

「今なら二人きりだから遠慮なくどうぞ」

追い詰められたアリスは一か八かの大勝負に出ます。
「アリシアさんはどうして叱らないんですか?
――それって冷たいんじゃないですか」

アリシアさんはここでキャンディーを取り出して、少し離れた場所にいる女の子に渡してきてくれるようアリア社長に頼みます。

邪魔者(アリア社長)を追い払ってアリスと二人きりになったところで黒シアさんに豹変するのか!?

アリア社長は寄り道を繰り返しながら何とか女の子にキャンディーを渡すことに成功。
戻ってきたアリア社長を思いっきり褒めてあげるアリシアさん。
そしてもう一度、今度は別の男の子にキャンディーを渡してくるよう頼みます。
アリア社長は、今度は寄り道をせずにまっすぐ男の子の元へ。
再び戻ってきたアリア社長を褒めたあと、アリシアさんはアリスに一言。
「どうかしら」

どうやら一触即発の危機は避けられたようです(^^;

その後、アリシアさんの誘いで二人は散歩。
アリスはまだアリシアさんが伝えたいことを理解できないようで、アリア社長が寄り道したときに何故間違いを教えなかったのかとアリシアさんに尋ねます。

アリシアさんの答えは
「もし、アリア社長と一緒にスイカ割りをするなら
そっちじゃない、そっちじゃないって
声をかけるのではなく
こっち、こっちって
声をかけ続けるわ

そっちじゃないと言い続けたら
アリア社長は間違えるのが怖くなって
最後には身動きができなくなっちゃうと思うの

それが私のやり方」

アリスはさらに、もしいつまでも失敗し続けたらどうするのかと尋ねます。

「そのときは私も一緒に
自分自身の勉強不足を
大いに反省するわ
だって私も
不完全な一人の人間だもの」

教えることと教わることは似ているから、教える相手と一心同体になって挑戦と失敗を繰り返し、最後は一緒に喜びを分かち合いたい。
それがミス・パーフェクト、アリシアさんの答えでした。

「褒めて伸ばす」というのはよく聞くことですが、アリシアさんの場合はそれが徹底しています。
たいていの人は、相手が憶えてくれなければ、叱るか、見捨てるかしてしまうでしょう。
アリシアさんがアリシアさんである所以です。

もちろん人を教えるやり方に正解なんてあるはずもなく、このやり方が合う人と合わない人がいるはずです。
藍華は叱られて伸びるタイプだと思うし、アリスは反面教師を手本にして自ら学んでいくタイプ。
オレンジプラネットのアトラは褒めれば伸びそうだけど、たまには叱ってあげないと自惚れてしまうかもしれません。
結局のところ、灯里とアリシアさんの相性はピッタリだということですね。

今回もいい話でした。

ARIA The ORIGINATION Navigation.4 [DVD]
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2008年01月30日

今週前半の一本(2008/1/27~1/30)―『ARIA The ORIGINATION』第4話

今回は、会社に貢献できていないと思い込んだ灯里が、アリシアさんの提案でトラゲットに参加するという話。

それにしても冒頭のアリシアさんは、前髪が垂れて目にかかるような感じで、これまでと少しイメージが違っていましたね。
仕事量が多くて疲れている様子を表現していたんでしょうか?
そこまで考えて描いているんだとしたらすごいですね。


トラゲットで灯里が組んだ相手は、オレンジプラネットのアトラと杏、それと姫屋のあゆみ。
全員シングルです。
この四人にゴンドラ一艘が与えられて、修行を兼ねて渡し守のような仕事をします。
実際にお金も稼いで、これまでのARIAの話の中では一番現実的な設定かも。
とはいえ、ARIAで現実感溢れる泥臭い話をするはずはなくて、ストーリー自体は心に染み入るいい話でした。

トラゲット初心者の灯里は、最初のうちは見学です。
トラゲットのゴンドラは二人漕ぎが基本なので、岸には必ず灯里ともう一人が残ります。
こうして、それぞれのキャラクターの事情が語られていくことになるわけです。
なかなかうまい舞台設定ですね。

最初に岸に残るのは灯里とアトラ。
アトラは杏がつい最近、プリマの昇格試験に落ちてしまったと話します。
杏は何度も試験に落ちているけれど、チャレンジし続けているようです。
試験官は同じ会社の人が担当するらしく、アトラと杏を担当している人はとても厳しい人だそうです。
これを話すときのアトラは、何か悩みを抱えているような様子。
でも、それを聞く前に、あゆみと漕ぎ手を交代。

今度はあゆみと灯里が岸に残ります。
あゆみは、自分はプリマにならないと断言。
トラゲット専門のウンディーネを目指していると話します。
観光案内よりも、地元の人たちと関わる仕事のほうが好きだと。

そして次に岸に残ったのは杏と灯里。
杏は、試験に落ちて今は落ち込んでいるけれど、また元気を取り戻して何度でも再チャレンジして、絶対にプリマになると宣言。
それを聞いた灯里も、いつか自分が昇格試験を受けてダメだったとしても、杏と同じように何度でも再チャレンジすると語ります。

そしていよいよ灯里がゴンドラに乗ることになります。
一緒に漕ぐ杏は、自分が一緒だから安心して漕ぐよう灯里を励まします。
ところが実際に漕ぎ出した灯里を見て、他の三人は驚きます。
灯里のテクニックは一目見て判るほどすごいもののようです。

一日の仕事が終わってゴンドラの整備をしているときに、灯里がプリマになる日も遠くないとべた褒めの三人。
うらやましがる杏にアトラは言います。
自分たちがプリマになれないのは試験官が厳しすぎるからだと。
そして、最近はトラゲット専門のウンディーネになるのも悪くないと思い始めたとも。

でも、あゆみはそれが嘘だと見抜きます。
アトラは本当はプリマになって観光案内したいと思っているはずだと。
そして、半年前に試験に落ちてから再チャレンジしないのは何故なのかと責めます。

ここで杏が立ち上がり、アトラの気持ちも理解できると語り始めます。
試験に落ちるたびにウンディーネとしての自分が否定されていくようでとても辛いと。
気が付くと萎縮してガチガチに硬くなっているけど、それでは今の自分を変えることも、何かを吸収することもできない。
人を変えることはできなくても自分を変えることはできるんだから、今の自分に不足しているものを足すために柔らかくなりたい。
そうすれば何にでもなれるから。

「でも、もう遅いって言われ・・・」と言葉を続けようとするアトラを遮って、最後は灯里が締めます。

「大丈夫。
きっと大丈夫です。
いつでも、どこでも、何度でも。
チャレンジしたいって思ったときが、真っ白なスタートです。
自分で自分をおしまいにしない限り、きっと本当に遅いことなんてないんです」

この言葉を聞いて、アトラも杏もあゆみも、そして灯里も、自分の目標に向かって頑張ることを誓います。

いろんな生き方・考え方の人たちに会って、灯里はまた一歩プリマに近づけたようです。
でも実際のところ、もし灯里がARIAカンパニー以外の会社に入っていたら、すでにプリマになっているのかもしれないですね。
一子相伝(?)のARIAカンパニーはレベルが違うようです。

ARIA The ORIGINATION Navigation.2 [DVD]
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2008年01月16日

今週前半の一本(2008/1/13~1/16)―『ARIA The ORIGINATION』第2話

いつか・・・
いつか、私が成長してプリマになったとき
また、ご案内させてもらえませんか。

ということでARIAです。
今回も素晴らしいとしか言いようがないエピソードでした。


カーニバルが終わり春が近づくネオ・ヴェネツィア。
ARIAカンパニーでは灯里とアリア社長がお留守番。

そこに観光案内を終えたアリシアが帰ってきます。
何のためらいもなく、とても自然にお客さんに手を差し伸べる灯里。
アリシアはその様子を優しく見守ります。
灯里の成長ぶりをしっかり確認している様子です。

その後、お客さんを見送り、今日の予定を確認しているところに電話が。
それは翌日の観光案内を予約する電話。
指名されたのは灯里でした。

久しぶりに予約を受けた灯里は、徹夜で観光案内のルートを考えます。

翌日の午前中、灯里はいつもの二人(藍華とアリス)と一緒に練習です。
藍華とアリスは灯里を指名してきたお客さんについて妄想を膨らませます。
彼女たちが出した結論は、そのお客さんはシングルの適正をチェックするためにゴンドラ協会から派遣された検査官に違いないというもの。

練習を終えてARIAカンパニーに戻った灯里。
そこに灯里を指名したお客さん・アマランタがやって来ます。
アリシアは彼女のことを知っているようです。

アマランタは今日の観光ルートを灯里に一任して、いよいよ観光案内開始。
灯里の腕の見せ所。

そんな灯里の後を隠れて追うのは藍華とアリス。
アマランタが検査官だと思い込んでいるため、灯里のことが気になるようです。

灯里は自分が見つけたネオ・ヴェネツィアの素敵ポイントを次々案内していきますが、アマランタはそのすべての場所をすでに訪れたことがある様子。
そして、ときには灯里が案内してくれる素敵ポイントよりもさらに素敵な場所を教えてくれることも。

そうこうするうちに観光案内終了の時間が迫ります。
灯里は、ここまでのアマランタの言動から、彼女はまだ満足していないと思い、時間をもらって最後にとっておきの場所に案内します。
そこは水没して今は使われていない修道院の裏庭。
水没せずに残っている花壇には花が咲き乱れ、すばらしい景観を楽しめる場所。

「ご満足いただけたでしょうか」と尋ねる灯里に、アマランタは少し先の扉を指さして「あそこの扉の向こうには何があるのかしら」と逆に質問。
分からないと答える灯里に、ちょっと行ってみましょうと提案します。

その言葉に従って進んだ先には、藤の花が咲き乱れる神秘的な光景が。
そこは、アリシアすら知らなかった、とっておきの場所。

今日案内した場所をアマランタがすべて知っていたとわかり、うなだれる灯里。

アマランタはそんな灯里を慰めます。
灯里が心をこめて案内してくれたことが嬉しいと。
自分が今日本当に見たかったものは、一生懸命になって案内してくれる灯里の姿だったと。

そして種明かし。
アマランタはシングルのゴンドラに乗って、シングルの成長を見守ることを何よりも幸せに感じるという人でした。
彼女は、シングル時代のアリシアや晃、アテナに案内してもらったこともあるそうです。

最後に灯里は、アマランタにお願いします。

「いつか・・・
いつか、私が成長してプリマになったとき、
また、ご案内させてもらえませんか」

アマランタの答えは
「ええ、喜んで」

アマランタは、またいつか会うことを約束して去っていきます。


今回のエピソードは、あえて言えば、じゃがバター屋さんとアマランタのやり取りなど、ちょっとあざとく思えるシーンもありました。
でも、相変わらず雰囲気のあるBGMとか、まったりと余裕のある展開とか、ARIAらしさを存分に堪能できました。

さらに素晴らしかったのが、冒頭で灯里を見守るアリシアとか、ドーナツを半分に割って灯里に差し出すアリア社長とか、「シングルをいじって・・・」と言うときに思わず身を乗り出す藍華とか、数え上げればきりが無いほど、キャラクターたちにしっかり演技させていたこと。
そのおかげで違和感無くセリフが頭に入ってきて、ストーリーにのめりこむことができました。
こういった部分のクオリティはぜひ最後まで維持してほしいです。

ARIA The ORIGINATION Navigation.1 [DVD]
ARIA The ORIGINATION Navigation.1 [DVD]

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