2009年08月04日

今週の一本(2009/8/2~8/8)―『ティアーズ・トゥ・ティアラ』第18話

今回は、アヴァロン城での籠城戦を奇をてらわずに真正面から描いてくれました。
セリフだけでなく、キャラの演技でしっかり魅せてくれた素晴らしい回です。
ガイウスとアロウンが剣を交える場面は、ガイウスの心理描写がうまいこともあって、まさに手に汗握る展開。
動画的にもかなり気合が入っていたように思います。
また、皇帝の庭師という「役目」をこなしていたレクトールという人物(12精霊の一人?)が動き出しました。
ストーリー的には大きな転換点となった回でした。


本編。

追い詰められて疲れ果て、絶望感が増していくゲール族の人々。
リアンノンは籠城の終わりが近いことを悟ります。
リムリスとエルミンは明日がないことを実感しながらも、戦いの後に振舞う食事を準備。
結末がどうなるか分かっていながら最後まで戦い抜こうとするオクタヴィアとモルガンのやり取りも切なすぎます。

一方、ガイウスの軍勢は破城槌で門を壊しながら進軍を続け、ついに最後の門に到達。
勝利を確信したガイウスは「勝った。俺は王になる」

でもそのとき、タリエシンを筆頭とするブリガンテス族を従えて、アルサルが帰還します。
アルサルは、自分が戻ったことをアロウンに呼びかけます。
「俺はここに戻ってきた! 多くの戦友とともに!」
「俺はお前の言葉に応えた! お前も俺に応えろ!」

ガイウスは事態の変化に焦りを感じ、アヴァロン城攻略を急ぎます。
ところが、破城槌の最初の一撃が門に突き刺さった瞬間、門が炎とともに吹き飛びます。
そして、煙の中からアロウンが現れます。
「うるせぇな。
がなりたてるんじゃねぇよ」

ゲール族は、アルサルの帰還とアロウンの復活に一気に活気付きました。

ガイウスは自軍の優勢が崩れたことを感じながらも、兵士達を鼓舞し、自分はアロウンに斬りかかります。
アロウンさえ倒せばこの戦いは終わると信じて。
アロウンは、駆け寄ってきたリアンノンを抱きしめたまま動こうとしません。
アルサルがガイウスの剣を必ず防いでくれると信じているからです。
その想いを裏切ることなく、アロウンとガイウスの間にアルサルが割ってはいり、ガイウスの剣を受けました。

ここからガイウスとアルサルの一騎打ちが開始。
友のために戦うアルサルと、帝国の王になってよりよい国を創るという理想(あるいは野心)のために戦うガイウス。
アロウンはその様子をただ見守ります。
ガイウスは力でアルサルを圧倒していますが、アロウンの様子に気付き、「レギアス」という言葉の真の意味に思い至ります。
「まさかアロウンは、この小僧を王へと育て上げるために・・・?」
かつてアロウンと初めて対峙したときに、アロウンが目指すと言っていたレギアス。
レギアスとは王権を意味する言葉ですが、「小さな王」というもう一つの意味もありました。

アロウン 「ようやく理解したようだな・・・人間」

レギアスの真の意味を知ったとき、ガイウスは死ぬ・・・アロウンはかつてこうも言っていました。
ガイウスは自分の運命を賭けて、さらに激しくアルサルと剣を交えます。
しかし、最終的にはアルサルの剣に倒れてしまうことに。
薄れ行く意識の中で、投降する兵士の命は助けて欲しいと最後の頼みを口にするガイウス。
アルサルはアロウンの意見を聞こうとしますが、アロウンは「お前が決めろ」と言うだけです。
アルサルは即断でガイウスの頼みを聞き入れます。

そしてガイウスは最期の言葉を口にして倒れます。
「なあ、アロウン。
俺たちにはきっと、もっと別の道があったんじゃねぇのかな。
どうしてだろうな、俺たちは本当は仲良くやれたんじゃないかって、今頃になって思えてきたぜ。
アロウン、アルサル、どうか見つけてくれ。
俺の代わりに、もっと寛容で、自由な・・・世界・・・」


場面変わって元老院。
ガイウスの敗北を知った議員達がガイウスのことを嘲っています。
そこにレクトールがやって来ます。
アルサルとリアンノンの親を殺し、それがアロウンの仕業だとアルサルに思い込ませた人物です。
すでに皇帝を手に掛けてきたようで、元老院も焼き尽くしてしまいます。
現在の世界に見切りをつけて新たな世界を生み出そうとしています。
彼はおそらく12精霊の一人だと思いますが、ほかのミルディン以外の10人も彼と行動をともにしているのでしょうか?
残りの話数でアロウンと対決することになるのかもしれません。

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2009年07月11日

今週の一本 その2(2009/7/5~7/11)―『ティアーズ・トゥ・ティアラ』第14話

前回は仲間集めの話でした。
ブリガンテス族に良い印象を与えることができたので、仲間集めのほうはなんとかなりそうです。
そして今回は軍資金集めの話。
来たるべき戦いに備えて着々と態勢が整いつつあります。

これ以外にも、今回は大きな動きがありました。
ガイウスが元老院に追い詰められ、ゲール族を殲滅するために早急に動かなければならなくなってしまいました。
いよいよ次回は戦いの幕が切って落されそうです。

さらに、アロウンの過去と帝国の成り立ちにも大きな謎が隠されているらしいことが示唆されました。
話数的にはガイウスとの戦いの後に余裕がありそうなので、戦いの後はそちらの謎のほうに話が進むのかもしれません。


ということで本編です。

アルサルたちは、軍資金を得るため、アロウンが埋葬されていた墓に行くことになりました。
そこは、妖精族がミルディンの死を悼んで建てた記念碑。
今はアロウン陵と呼ばれています。
アロウンはかつての戦友(おそらくプィル)に、自分が倒れたときはそこに葬ってほしいと頼んであったそうです。

アロウン陵は、帝国軍がアロウンの棺を運び出し、その後埋め戻されています。
オガムの予想では、埋め戻したのは、何らかの障害が発生したためだろうとのこと。

中に入るためにはもう一度掘り返さなければならないのか・・・と思いきや、「開けゴマ」というアロウンの一言であっさり門が開きます。
埋葬されていた当人が入れろと言っているので、墓としても入れざるを得ないらしいです(^^;

さっそく地下へ向かった一行は、自動人形・タロスの攻撃を受けます。
墳墓の護衛として使われていたらしいですが、これは明らかに電気で動くロボット。
門が開く仕組みといい、タロスといい、いにしえの時代にはアルサルたちの時代よりも進んだ技術が存在していたようです。

タロスを倒した一行はさらに先に進み、目的の最下層に到着。
ここでもオーガの襲撃を受けますが、全員で協力して倒すことができました。

最下層にあったのは、空の棺が1つと財宝が詰まったたくさんの木箱、そして巨大な壁画です。
アロウンの棺は帝国軍が運び出したので、この棺はアロウン以外の人の棺。
この後すぐに明かされますが、この棺にはもともとミルディンの遺体が収められていて、帝国軍が侵入する前から空でした。

壁画に描かれていたのは、太陽の光を浴びて立つ、白い衣を纏う人たちでした。
右端の1人の顔は傷が付いて判別不可能ですが、髪型はアロウンに似ています。
アロウンによれば、太陽は絶対神ウァトスを表し、その下にいるのは12精霊とのこと。
ここでリアンノンが、描かれている人物は13人だということに気付きます。
アロウン 「1人はできそこないだからな」


障害がすべてなくなったので、一行はさっそく財宝を物色し始めます。
しばらくすると、リアンノンが頭痛に襲われます。
アロウン陵に到着したときにも頭を抱えていたので、これで2回目。
「内なる声」が語りかけようとしているのでしょうか。

リアンノンは過去のイメージを見ます。
そのイメージに現れたのは、アロウンの棺の前に立つ2人の男女。
男性のほうはおそらくプィルでしょう。
いにしえの大戦争に勝利した後の復興の最中にここを訪れたようです。
女性のほうはアロウンと何らかの関係があった人のようです。


財宝の物色が終わって引き上げるときになって、アルサルがあることに気付きます。
壁画に描かれている12精霊が、自分の父親を殺した人たちに似ていることに。
さらに、この人物たちの雰囲気はアロウンにどことなく似ているように思えました。
「そんなわけないよな。お前は見た目も中身も真っ黒な魔王様だもんな」と、その考えを否定しますが、なにかしっくりこないものが心に残ったようです。
この後、アロウンの様子も少し変化しました。
何か思い悩んでいるようです。


ところで、オクタヴィアが壁画を見て、図柄が帝国の紋章に似ていると言っていました。
帝国の成り立ちには12精霊が関係しているのでしょうか。
「できそこないの1人」というのはアロウンのことで、彼は12精霊に敵対するような動きをしたために抹殺されてしまったのかもしれません。
そうだとすれば、帝国側から魔王と呼ばれて悪者扱いされるのも納得いきます。
以前のアロウンはプィルとともに「竜が舞い、巨人が踏み鳴らし、妖精が歌い、人間が笑う地」を作ろうと努力したものの、志半ばに死んでしまったのかもしれません。


さて、ガイウスです。
ガイウスは元老院会議への出頭命令を受けてしまいました。
出頭した彼を待ち受けていたのは査問会。

まずはデラトールが、アルビオン島で見たありのままのことを報告します。
昼は豚を追い掛け回し、夜は酒盛りをするアロウンを見たデラトールは、「魔王アロウンは、およそ魔王とは程遠い小物でしかありません」と報告します。

元老院会議はこの報告を鵜呑みにしてアロウンを過小評価。
取るに足らない蛮族にてこずって、何度も増員要請をし、辺境の地に多数の兵を集めようとしているガイウスのことを、反乱を起こそうとしているのではないかと疑います。
元老院監察局直属の治安維持部隊・ルブルムが壊滅したのもガイウスの仕業と考えているのかもしれません。
元老院会議はガイウスの釈明をまったく聞こうとせず、元老院最終勧告の発動を視野に入れていることを告げます。
この勧告が発動されれば、ガイウスは反逆者として処刑されてしまいます。

ガイウスが皇帝陛下への謁見を求めても、カプリ島の離宮で静養中だという理由でまったくとりあってもらえません。
アルビオン島に戻るよう命令され、査問会はあっさり閉会してしまいました。

ガイウスは、アロウンがマヌケな姿を曝していたのは自分を陥れるための作戦だったのではないかと疑います。
実際にそうだったかどうかは疑問ですが、ガイウスが追い詰められてしまったのだけは事実です。

ガイウスは、ありったけの金を使って傭兵や退役兵など、できるだけ多くの兵士を集めるようデキムスに指示します。
さらに、「気が進まんが、あのいけ好かない死者の手も借りるか」と、もう1つの手段を講じることを決断。
このセリフ、最初に聞いたときは「あのいけ好かないシシャモでも借りるか」と聞こえたので、何のことかわかりませんでしたが、おそらく、帝国軍の倉庫にあった死体を蘇らせて(?)兵士として使うつもりなのでしょう。
[追記]――――――――――
正しくは「あのいけ好かない市長の手も借りるか」でした(^^;
ロンディニウム市長クレオンに援軍を求め、その結果、彼が送ってくれたのが第15話「カンディド」のネクロムだったようです。
――――――――――――――

ということで、ガイウスがついに、アロウンとゲール族をいっきに攻め滅ぼすため動き出しました。
次回はついに、待ちに待った大規模な戦闘が描かれるようです。
今回の作画&動画はかなり力が入っていましたが、次回も期待していいのでしょうか。

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2009年06月24日

今週の一本(2009/6/21~6/27)―『ティアーズ・トゥ・ティアラ』第12話

今回は、帝国の威信とゲール族の信念が決して相容れないものであることを、リアンノンとガイウスを通して示してくれたエピソードでした。
ストーリーは最初から最後まで静かに進行しましたが、リアンノンが穏やかに毅然と語ることで、逆に重みが増したように思います。

さらに、終盤でリアンノンがタリエシンと再会。
彼は第5話で登場した吟遊詩人です。
人の集まるところならどこへでも顔を出すのが吟遊詩人だと言っていますが、見方によっては、彼はその立場を利用して帝国軍の内情を探っているようにも見えます。。。
飄々としてよく分からないキャラです。

また彼は、リアンノンから人間よりも妖精に近い雰囲気が漂っているというようなことを口にしました。
この作品では妖精と人間を外見で区別するのが難しいので、この言葉をどう受け取ったらいいのか悩むところです。
リアンノンは妖精王プィルの末裔だから妖精の血を受け継いでいるということでしょうか?
そうだとするとアルサルはどうなのでしょう。
第2話でアロウンがアルサルのことを「間違いなくヤツだ。とてもまっすぐで澄んでいる」と言っています。
「ヤツ」というのはプィルのことだと思うので、単に妖精の血を受け継いでいるというだけではないのかもしれません。


本編。

ゲール族とルブルムの戦闘が行なわれた場所を視察しに来たガイウスが、その場に居合わせたリアンノンと遭遇します。
リアンノンが一緒に来るなら自分たちはこの場から立ち去るというガイウスの言葉に従い、帝国の捕虜になるリアンノン。

リアンノンは独房に入れられますが、成り行きで、事故で重傷を負った帝国兵を回復魔法を使って治癒することに。
さらに、独房で食事をとったときに帝国兵が美味しいものを食べていないことを知ったので、帝国兵にゲール鍋を作ってあげます。
決して意図的ではないものの、これらの行為が帝国兵のリアンノンに対する反感を和らげることになります。

これにあきれたガイウスは言います。
「傷の手当てをし、飯を食わせた兵士の誰かに、明日は命を奪われるかもしれないんだぞ」
でもリアンノンは
「そうかもしれません。ただ、私がここにいることが運命なら、私は私のできることをするまでです。たとえそれが敵でも仲間でも」

ゲール族が帝国に反旗を翻した原因はもともと帝国側にあったので、ガイウスははじめから今回の戦いに乗り気ではなかったようです。
そしてリアンノンの言葉を聞くことでその想いがさらに強くなったのかもしれません。
ガイウスはリアンノンをある場所に連れて行きます。

そこにいたのは1500人を超える帝国兵の一団でした。
ガイウスはリアンノンに帝国軍の強大さを見せることで、戦っても勝ち目がないことを知らしめようとしているようです。
帝国に服従して支配下に入れば、一つの民族として存在することはできなくなっても、心の自由は持ち続けることができる。
そう言って帝国の「寛容」を示し、リアンノンを諭そうとします。
でもリアンノンは、被支配者には屈辱と怨みが残るだけで、それは決して寛容などではないと帝国の考えを否定します。

だからゲール族はこれまで、帝国との関係を保ちながらも帝国とできるだけ距離を置くようにしていました。
リアンノンもそうするように父親から聞かされていたようです。
そうしなければ、帝国から豊富な物資が流れ込み、やがてゲール族の精神が帝国に隷属してしまうから。
それはゲール族が滅亡するに等しい事態です。

でもガイウスはその先のことを見通していました。
付かず離れずの距離を保って友好関係を継続したとしても、帝国の影響を徐々に受け、ゲール族が民族の独立を保てなくなることに気付く時が必ずやって来る。
そうなれば必ず戦争が起こり、勝利するのは帝国だと。
帝国に服従しようと、友好関係を結ぼうと、どのみちゲール族が滅びる運命にあるなら、戦って死ぬよりも隷属して生きたほうがいいだろう、というのがガイウスの考えです。
ガイウスはそのことをリアンノンにもわからせようとしています。

でもリアンノンには、帝国に隷属する意思はまったくありませんでした。
民族の精神を失って生き続けるよりも、民族の誇りを賭けて戦うことを選んでいます。
その純粋な生き方に「憧れとやっかみ」が半々の複雑な心境を抱くガイウス。

ガイウスは帝国軍の勝利を確信しているので、ゲール族が苦難の運命を味わう前に今すぐ皆殺しにしてやりたいと言いますが、リアンノンは「私たちは決して負けません」
ガイウス 「その強い自信はどこから湧いてくる? アロウンがいるからか?」
リアンノンは満面の笑みで答えます。
「はい―――私たちは何一つ諦めません。たとえ世界が暗闇になっても、私たちの心には決して消えない炎が燃え盛っています。希望という炎が」


その夜。
アロウンがリアンノンとの心の繋がりを利用して、リアンノンの居場所を探し出しました。
リアンノンはアロウンの復活に関与したので、お互いの心が繋がっているようです。
アロウンはリアンノンの心に語りかけ、砦の外に導きます。

リアンノンの動きに気付いた帝国兵がリアンノンに弓を引こうとしますが、日中のリアンノンの行動があるので撃つのを躊躇ってしまいます。
ところが、その様子を見て止めに入ったガイウスの声に驚いて矢を放ってしまいました。

その後の事態を思い緊張するガイウス。
でも、その矢を体を張って止めた人物がいました。
タリエシンです。

タリエシンは怪我を負っているはずですが、ただ自分の運命を試したかっただけだと言って立ち去ります。
その様子を見て、自分も試したくなったと呟くガイウス。
運命に従い、いま自分にできることをやってみるということでしょう。
ガイウスにできることとは、戦うことですね。
ガイウスは追っ手を出さず、リアンノンをそのまま行かせました。
「本当の相手は、希望の炎とやらなんでな」と言うガイウスが目指す敵はアロウンです。

リアンノンの短い捕虜生活は終わりを迎えました。
あとに残ったのは、アロウンを族長に祭り上げるゲール族を討伐することへの迷いが消えたガイウスと、彼が従える強大な帝国軍。
両陣営にまったく迷いがないので、戦いは熾烈を極めそうです。

次回は「ブリガンテス」
戦いの前にまだ語ることがあるようですね(^^;
タリエシンとアルサルが剣を交えることになるようです。

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2009年06月20日

今週の一本 その2(2009/6/14~6/20)―『ティアーズ・トゥ・ティアラ』第11話

「手加減は剣士としてあってはならぬこと。
剣士の名誉を傷つける最大の侮辱だ」
by リディア

記憶は自分の都合のいいように改変されるものです。
リディアがかつてオクタヴィアから侮辱されたと思い根に持っていたのは、まさにそんな記憶の改竄があったからでした。
今回は、オクタヴィアとリディアの過去の試合に関する真実が明かされます。
そして、二人の因縁に決着がつくことに。
二人が剣を交えるクライマックスシーンは思わず見入ってしまう良い出来でした。


アヴァロン城の結界が解けたことで、ついにゲール族の隠れ家が帝国軍にばれてしまいました。
帝国軍はアヴァロン城を攻め落とす準備を着々と進めている模様。

その頃、ゲール族の戦士の間にある噂が広まります。
オクタヴィアが森で帝国兵と密会しているらしい・・・。
オクタヴィアのことを信じて疑わないモルガンの心にさざ波が立ちます。

ある夜。
虫の音が止んだというエルミンの言葉で、アロウンとオガムは森に帝国軍が潜んでいることを知ります。

帝国軍はオクタヴィアを説得して城内に侵入しようとしていたようですが、オクタヴィアが応じないので強硬手段に訴えます。
オクタヴィアとの約束を破って森に入ったエリルを人質にとり、オクタヴィアを脅迫しようとします。
逃げ帰ったコナルから事情を聞き、一人で森に向かうオクタヴィア。
その前にモルガンが立ちはだかります。
モルガンはオクタヴィアに矢を向けますが、結局それ以上のことはできません。
悩んだ末に、最後までオクタヴィアのことを信じることにしたモルガン。
オクタヴィアとともに森に向かいます。
帝国軍の要求はオクタヴィア一人で来ることだったので、モルガンは隠れて。

森に入ったオクタヴィアを待ち受けていたのはリディア率いるルブルム兵でした。
リディアはほとんど私怨で動いているようです。

リディアはオクタヴィアに恨みを語ります。
かつてオクタヴィアの父親が帝国に楯突いたため、その娘であるオクタヴィアは近衛兵になれないと知ったリディア。
元老院の決定であれば仕方ないと納得し、オクタヴィアと離れ離れになる前に剣士としての決着を付け、堕落しきった元老院に真の貴族の生き様を見せ付けようとしました。
ところが、試合に勝ったオクタヴィアはリディアに止めを刺さずに試合を終えてしまいました。
オクタヴィアとともに帝国のために戦う理想の剣士になりたかったリディアの夢は踏みにじられ、神聖な戦いも汚された。

オクタヴィア 「それは違うな」

このとき、帝国兵に見つからないよう隠れていたモルガンが、隙を突いてエリルを救出します。
そしてオクタヴィアはエリルに言います。
「城へ戻るんだ。
戻って、仲間を呼んできてくれ」
これを聞いたモルガンは、オクタヴィアが自分たちのことを仲間だと思っていることを知り、これまでのモヤモヤした気持ちを吹き飛ばします。

巻き込んでしまってすまないと謝るオクタヴィアに対し、決めのセリフを口にしかけるモルガン。
「仲間はいつも――」

そのセリフをアルサルが横取り。
「助け合う!・・・だろ」
態勢を整えたゲールの戦士達の登場です。
そして、アルサル率いるゲールの戦士達とルブルム兵の戦いが始まります。
アルサルは前回の戦いのときのように闇雲に敵に向かうのではなく、敵を分断するよう指示を出すなど、頭を使った戦い方をするようになりました。
その様子を見て満足したのか、アロウンとオガムも参戦。
オガムの魔法が強力すぎて、この人だけで何とかできてしまうのではないかとも思いますが・・・(^^;

その頃、オクタヴィアとリディアは主戦場から離れた場所で因縁の対決。
リディアは、先ほどオクタヴィアが口にした「違う」の意味を問いただします。
オクタヴィアは、ゲール族とともに過ごすことで物の考え方が変わりつつあると打ち明けます。
「だから私は、お前を許そうと思う」

思いもかけない言葉に驚くリディアに対し、オクタヴィアはさらに続けます。
「お前なのだ、リディア―――。
恥ずべきは私ではない。
お前なのだ!」

リディアはかつての試合で、オクタヴィアに隙ができたときに斬り込むことを躊躇い、わずかな時間手が止まってしまいました。
自分がなぜそういう行動を取ったのかも、そのときは理解できなかったようです。
これに対してオクタヴィアが激怒。
剣士にあるまじき行為で侮辱されたオクタヴィアは、それと同じ行為でリディアを侮辱しました。

オクタヴィアが語る真実を聞いたリディアは、当時の自分の行動を思い出したようです。
でも、真実を受け入れたくない想いが勝り、オクタヴィアに反発します。

剣を交えるオクタヴィアとリディア。
その合間に、過去に二人が分かち合った日々のシーンが挿入されます。
お互いのかつての行動に対する怒りはあるけれども、それと同時に、共に過ごした大切な日々の記憶も持ち続けている二人。
この一騎打ちのシーンは素直にうまいなと思える出来でした。

そして決着。
オクタヴィアは、死にゆくリディアに対して「お前は本当の剣士だった」と最後の言葉をかけます。
これはリディアに対するオクタヴィアの優しさから出た言葉でしょう。
リディアに未練のない最期を迎えさせてあげたかったから。

オクタヴィアは息絶えたリディアを抱きかかえて自分の想いをさらけ出します。
「あのとき私たちは―――お互いに相手に死んで欲しくはなかったんだ!」
剣士になることを目指した二人が、互いに相手を真の友として愛したがゆえに迎えた結末。
切な過ぎてうるっときてしまいました(^^;

次回は「帝国の脅威」
帝国軍のすごさを描いて緊張感を盛り上げるエピソードでしょうか?
ストーリーが大きく動くのはもうしばらく先になるようです。

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2009年06月09日

今週の一本(2009/6/7~6/13)―『ティアーズ・トゥ・ティアラ』第10話

第1話のときからストーリー進行の遅さが気になっていて、それは今でも変わりませんが、それでもなぜか面白くなりそうな雰囲気を漂わせている不思議な作品。
それがこの『ティアーズ・トゥ・ティアラ』

今回は、物事の本質を見ずにオクタヴィアをただ敵視するアルサルが、自分なりのやり方でオクタヴィアの存在を受け入れました。
一方、帝国軍にいられなくなったオクタヴィアは新しい居場所を見つけ、アロウンたちの仲間になることを選択。
この過程がこれまで以上に丁寧に描かれた回でした。

オクタヴィアの父親は、彼女が幼いときに帝国に盾突いたことがあったようです。
そのため家族全員が帝国に殺され、オクタヴィア一人が生き残りました。
それでも彼女は、悪いのは帝国兵ではなく、その上に立ち命令を下している者だと理解し、上の者に近づいて彼らの考えを変えるために帝国軍に入隊しました。
剣で復讐するのではなく、あくまで言葉を武器に闘おうとしていたようです。

上官に歯向かったという理由でもう帝国軍にいられなくなったオクタヴィアは、生きる理由すら失いかけていたようですが、アヴァロン城の子供たちと接したり、リアンノンの言葉を聞くことで考えを変えていきます。

リアンノンは「アヴァロン城は地上に生きるものたちの避難所。すべての希望の源になることを願って建てられたと聞いています」という言葉で、ここが蛮族の砦などではないことを印象付けます。
さらに別のシーンでは、「所詮人は一人で生まれ、一人で死んでいくんだ」と意固地になるオクタヴィアに対して「確かにそうかもしれません。でも、人は誰も、一人で生き続けるのは寂しいことだと思います」と、オクタヴィアの頑なな心を溶かす手助け。

最後にオクタヴィアは、「オレは剣でお前を見極めたい」というアルサルと真剣勝負をします。
そして彼女はこの勝負で、求めていた何かを見つけたようです。
アルサルのほうも、オクタヴィアの本質が純粋で邪心のないものであることを理解し、彼女を受け入れました。

ということで、これでやっと、イメージイラストに描かれているキャラがすべて同じ陣営に揃いました。
そろそろストーリーが進むのでしょうか。
今後に期待です。

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