2009年11月03日

今週の一本(2009/11/1~11/7)―『聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス)』第5話

今回はルークとリサの二人に焦点を当てたエピソード。
これまでの話では、ルークがリサのことを自分の助手だと言っているだけで、この二人の関係ははっきり語られていませんでした。
今回も詳しいことはわからずじまいでしたが、それでも少しだけ明らかになったことがあります。
リサがルークのそばにいられるだけで満足だと考えていること。
リサはルークに「拾われた」ということ。
それと、ルークはリサにどう接したらいいのかわからず、少し距離を置いていること。

また、二人の関係だけではなく、リサの正体についても相変わらず謎のままです。
リサの耳の形が独特なので、最初の頃は、リサはエルフの類かと思っていたのですが、妖精が闊歩しているような世界ではなさそうなので、リサ=妖精ではなさそう。
第3話で、この街の近辺の霊体濃度が高いということを知ったアリアがリサに対して「あたしたちにはありがたい」と言っていたことからすると、リサが人間以外の存在だというのは間違いないはずです。
いまのところ、この作品で触れられた人間以外の存在としては、神と悪魔、それと人間の姿になれる魔剣があります。
リサはこのどれかなのでしょうか?

これとは別に、ルークとセシリーの関係も微妙に変化してきたようです。
セシリーは、自分では意識していないようですが、ルークを尻に敷き始めました。
ルークはセシリーに押されまくりです(^^;


さて今回は、悪魔契約についての説明もありました。
悪魔契約とは、人間の血肉を触媒として、空気中の霊体に肉体を喰わせ、悪魔化させる現象のことだそうです。
これは、玉鋼(たまはがね)を触媒にする祈祷契約とはまったく別のもの。
悪魔契約を行なうためには死言(しごん)という禁忌の呪文が必要で、これはすべての人間の心臓に刻まれています。
死言は、胸を鏡に写したときに当人だけが読み取れるようで、他人が読み取るには、胸部を切開して直接心臓を見なければならないようです。

この説明をルークがセシリーにする場面で、ルークは「殺してしまえばいいんだ。悪魔契約などに関与するヤツは」と言って嫌悪感をむき出しにしていましたが、このときもリサが暗い表情をしていました。
ルークとリサの過去には悪魔契約にまつわる嫌な思い出がありそうです。


さて本編。

リサが服を3着しか持っていない(しかもすべて同じデザイン)ことを知ったセシリー。
以前、リサとアリアの3人で外食したときに、リサが外食するのは初めてだと知ったこともあり、リサに対するルークの接し方を見かねたセシリーは、少しでも二人の距離を縮めようと、ルークとリサを街に連れ出します。
リサは、目的もなくただ街中をぶらつくのは初めてだったようで、リンゴ飴に喜び、ほとばしる肉汁を堪能し、変な仮面に興味津々です。
やがてリサは洋服店の前で足を止め、綺麗な服の数々に目を輝かせます。
セシリーとアリアは、リサの服を買おうとリサを店内に連れ込もうとします。
でもリサは、ルークが服を買ってくれるとは思っていないので悲しそうな顔。
ところがルークはあっさりOKしてくれました。
セシリーの気迫に押されたためでしょうか?

リサはまだ信じられないようで、不安を口にします。
「本当にいいんでしょうか?」
セシリーは言います。
ルークは不器用だからリサに何をしてあげればいいのかわからないんじゃないかと。
これに対するリサの反応は、「ただの気まぐれだと思います・・・ありえないから・・・」
この「ありえないから」という言葉にはかなり深い意味が隠されていそうです。
やはりルークとリサの過去が気になりますね。

リサは豪華な服を何着も試着し、最終的には、配色は地味だけれどちょっとだけ大胆なデザインの服を選びました。
この後、セシリーとアリアは姿を隠し、物陰からルークとリサの様子を伺います。
ルークは、いなくなってしまった二人のことはかまわず、家路につきます。
道すがら、リサはルークと会話しようといろいろ話しかけますが、ルークは「あぁ」「そうだな」「なんでもいい」など、ぶっきらぼうな返事を返すだけ。
でも、リサを無視するのではなく、リサの言葉にすべて応えているのは、やはりセシリーが言っていたように、リサとの接し方がわからないからなんでしょうか。
やがてリサは意を決してルークに尋ねます。
「に、似合ってますか?」
ルークは今度は無言です。
リサはこの反応をある程度予想していたはずですが、それでも悲しくて涙ぐんでしまいます。
そんなリサにルークが歩み寄ります。
そして、リサの頭に何か載せました。
リサが手にとって確認してみると、それは小さな帽子でした。
ルークは照れくさそうに言います。
「暇だったんだ。待ってるのが。そいつに似合う服でよかった」
リサの目から涙が溢れ出します。
今度の涙は、嬉しくて流れ出した涙。
ルークは決してリサを邪険にしているわけではなさそうです。
それにしては、リサが工房で寝起きしているのが不思議ですが。。。

ということで、今回はストーリー的には特に進展はありませんでしたが、なかなか興味深い話でした。
次回は「皇女 -Princess-」。
新キャラ登場で大きな動きがありそうです。

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2009年10月31日

今週の一本(2009/10/25~10/31)―『聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス)』第4話

Guard(守れ)、Save(救え)、Believe(信じろ)。
セシリーは、このキャンベル家の家訓に従ってほんとうにまっすぐ育てられたようで、これまでの言動もそれを反映していました。
唯一の欠点は、いざ戦いとなったときに相手を殺す覚悟ができていなかったこと。
そのため志とは裏腹に、肝心な場面でみごとなヘタレキャラになりさがってしまっていたのですが、今回ついに、セシリーはこの欠点を克服しました。
友人になる約束を交わしたアリアを守るというきっかけを得て、一歩前進することができたようです。

それにしてもこの作品、他の作品に比べてアゴパク率が高いような?
クチパクよりも手間がかかるはずなのに、細かいところで頑張っていますね。


さて本編。

セシリーは競売で魔剣(アリア)の実演をすることになりました。
ハンニバルやハウスマンは、アリアを囮にして黒衣の男を捕らえるつもりのようです。
そのために競売会場で犠牲が出るのは仕方がないと考えています。
他人への悪魔契約もできる黒衣の男を放っておけば、今後どのような事態になるかわからないので、多少の犠牲は伴っても早急にケリをつけておきたいのでしょう。
その頃、黒衣の男はジャック・ストラダーを使って魔剣を手に入れようと動き出していました。

競売当日。
まんまとそそのかされたジャックは会場に現れます。
ジャックの存在とその不穏な動きに気付いたセシリーは、ジャックを止めようと必死に叫びますが、時すでに遅し。
悪魔と化したジャックは、あっさりと魔剣を奪ってしまいます。

自分ではどうすることもできないセシリーは、ルークの力を借りようと懇願します。
ルークはまったくとりあいません。
でも、リサの言葉で考えを変えます。
「私からもお願いします。私だってアリアさんを見捨てられません。わかるはずです。だって、アリアさんは私と・・・」

アリアを取り戻すにはジャックを倒さなければならない。
でも、ルークの刀をもってしても悪魔と化したジャックを倒すことはできないようです。
ルークができることは、ジャックを取り巻く炎を刀で剥ぎ取ること。
とどめはセシリーが刺さなければなりません。
「セシリー・キャンベル。お前に切れるのか。ヤツだって元は人間なんだぞ」
少し躊躇ったセシリーは、ジャックを切る覚悟を固めます。

「剣で命を奪わなければ誰かを守れない。
それが騎士の現実。
ならば・・・」
セシリーは一歩前進するための答えを見つけたようです。

ルークはジャックを取り巻く炎を剥ぎ取ることに成功し、さらにジャックの右腕も切り落としました。
しかし、ここで刀が壊れてしまい、ルークの出番は終わり。
次はセシリーの出番です。
ジャックの右腕に握られていた魔剣を手にしたセシリーは、これから倒すジャックに対して、さらに自分自身に対して、誓約を交わします。
「お前が、かの戦争でどのような苦しみを受けたのか、私には分からない。それを救うなどおこがましいに違いない。それでも誓おう。私は、この目に映るすべてを救う。この世に光と影があるならば、私は光に立ち続ける。どこまでも理想を掲げて、必ず戦い抜いてみせる」

戦いが終わり、廃墟となってしまった競売会場。
セシリーとアリアが、瓦礫の下敷きになって倒れているジャックのもとに歩み寄ります。
「あなたの名を聞きたい・・・・・・」
「ジャック・ストラダー・・・彼が風に乗せてそう言ってる」
「ジャック・ストラダー。私はセシリー・キャンベル。あなたを殺した女だ。私の名を、ゆめゆめ忘れるな。私もあなたの名を永遠に忘れない」
セシリーが見つけた答えは、倒した相手を自分の中で永遠に生かし続けることだったようです。


その後。
ジャックの墓の前で話すセシリーとアリア。
アリアはこれでセシリーとはお別れだと悲しみます。
魔剣は災いをもたらすので、一ヶ所に留まることはできない。
これまでの持ち主と同じように、セシリーも自分を手放してしまうと考えているようです。
「次はどこかなぁ。セシリーみたいな人がいるといいなぁ」
「次はない」
「え?」
「君は引き続き私が護衛する。ずっとな」
「ほんと?」
「アリア、君は誰かを傷つける剣では決してないぞ。誰かを守る剣だ。約束してくれ。私と共に、この街を守り続ける剣になると―――君は、私の戦友になれ」
この言葉を聞いたアリアは、片膝をついてセシリーに忠誠を誓います。
「仰せのままに。剣の輝きに誓って約束します。
・・・・・・剣に二言はないよ」

ということで、今回はここまで。
セシリーがヘタレを卒業して、本格的に物語が動き出しそうです。

さてさて、今回はセシリーだけでなく、ルークのキャラもほんの少しだけ掘り下げられました。
守るべき人を危険に曝さなければならなくなったらどうするか、というセシリーの質問に対して、ルークはこう答えます。
「俺ならそいつを危険なめにはあわせない。もう二度とごめんだ。だが、どうしてもそうなったとしたら、命に代えても必ず守り抜く」
これはつまり、過去に、守るべき大切な人を守り抜けなかったことがあるということですね。
その大切な人は死んでしまって、その人を殺した相手は、アリアのような魔剣が100本あれば倒せるかもしれないというくらい強力な存在なのでしょう。

いかにも意味ありげに何度も出てくる、背景の山肌の大きな傷。
生気のないルークの左目。
ルークの店の名前(リーザ)。
その名前を聞いて悲しそうにうつむくリサ。
これらすべてがルークの過去に関係あるのかもしれません。

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