本編は、前回ラストでとがめが撃たれた場面からの続き。
とがめがいなければ何もできないと訴える七花の腕に抱かれて、とがめが最後の言葉を絞り出し、七花に自分自身について語ります。
そして、この1年間、七花のおかげでいろいろな体験ができてうれしかったことに感謝します。
でも結局、根本的な部分で自分という人間は変われなかったと、後悔に似た想いを口にしました。
このときとがめに絡みつく白蛇のイメージが描かれますが、これは、とがめの生きざまを、望みがかなわずに絶命した白蛇伝の白蛇になぞらえているのかもしれません。
ストーリー的にはまったく異なるのでまったくの見当違いかもしれませんが。
そしてとがめは目を閉じます。
もう体力が限界に近づいているようです。
七花は絶叫します。
刀としての自分の所有者はとがめ以外にいないと。
刀集めの旅が終わったら一緒に地図を作るんじゃなかったのかと。
ここでとがめが再び目を開けました。
左目が十字に変わっています。
とがめの口から出てきた言葉は衝撃的なものでした。
「全部、ウソだった。刀集めの旅が終われば、私は、そなたを殺すつもりであったよ」
とがめの左目の十字表現の意味は結局はっきりしていませんが、第1話の時に予想したとおりの意味合いだとすれば、この目の時にとめが見せる言動はとがめの本心です。
最後に七花に自分の本心(正体)を打ち明けておこうと思ったのでしょうか。
もしそうだとしても、その根底には七花を解放するという奇策が働いていたのかもしれません。
とがめは続けます。
自分の周りのすべてのもの、そして自分の心すらも、すべては野望を達成するための駒にすぎなかったのだと。
七花に対する感情も例外ではありませんでした。
それでもとがめは、今はとても幸せだと打ち明けます。
野望は果たせずとも、七花を殺さずにすんだのだから。
最後にとがめは言います。
「虚刀流七代目当主、鑢七花。最後の命令だ。私のことは忘れて、これまでのなにもかもを忘れて、好きなように生きろ。そなたとの契約は、私の死をもって終了とする」
とがめを失った七花はある決心をし、尾張城に向かうことになります。
その頃、尾張城では、8代将軍・家鳴匡綱(やなり まさつな)にお目通りがかなった否定姫が、とがめに勝利した実感をかみしめていました。
否定姫は将軍に対し、四季崎記紀について、そして自分がここに来た目的について話します。
四季崎記紀は刀鍛冶ではなく、歴史ある戦術士の家系の者であったことを。
彼が変体刀を作り出した目的は歴史の改ざんにあったことを。
なぜ歴史を改ざんする必要があったのかといえば、四季崎一族の初代が残した予言により、これから100年後に日本は諸外国の攻撃を受けて滅びるとされていたためでした。
歴史を改ざんすることは将軍家を滅亡させることにもつながるのですが、否定姫はそのことには触れません。
ここで将軍を自らの手で倒して、歴史の改ざんを成就させるつもりです。
でも否定姫の後ろには家鳴将軍家御側人11人衆が控えています。
この場で将軍に手を出すことはできません。
その時、尾張城に侵入者が現れました。
七花です。
否定姫は、これも四季崎記紀の思惑どおりで、すべて彼の描いたシナリオどおりに進んでいることを感じ取りました。
四季崎記紀は、完了形変体刀、虚刀・鑢を使ってその思惑を成就するつもりだったようです。
否定姫はその思惑に乗ることにします。
邪魔に感じていた家鳴将軍家御側人11人衆が今この場に控えている意味についても悟りました。
否定姫は、将軍をうまく煽って、この11人衆と右衛門左衛門で七花を迎え撃つことにします。
四季崎記紀の思惑どおりに事が進めば、これまでに収集した変体刀を処分したのちに将軍家を滅ぼすこともできると考えたのでしょうか。
右衛門左衛門が相生忍法・声帯移しを使い、鳥を通じて七花に語りかけます。
城を守る一般兵は退かせたので、一直線に天守閣まで来いと。
七花は、変体刀を持つ11人衆を一人ずつ倒しながら天守閣を目指します。
11人全員を倒した後に待っていたのは、炎刀・銃を持つ右衛門左衛門です。
11人衆との格闘シーンは、七花が各変体刀の弱点を解説しながらそれを破壊していく若干緊張感が欠けた展開でしたが、右衛門左衛門との格闘は一味違いました。
右衛門左衛門は、否定姫から七花を倒せという命を受けましたが、ここで七花を倒してしまうと四季崎記紀の目論見は達成できなくなるのではないかと疑問を口にします。
それに対して否定姫は答えます。
四季崎の悲願を達成したいという思いはあるが、自分は否定的な人間なので、それと同じくらいに、その悲願がくじけるところも見てみたい気持ちもあるのだと。
いよいよ七花と右衛門左衛門の対決。
七花の脳裏にこれまでのとがめとの思い出がよみがえります。
そして心の中でとがめが試合開始の合図を出しました。
「いざ尋常に―――はじめ!」
とがめを失った七花は、自分を倒せる唯一の人物と認めた右衛門左衛門と戦って死ぬつもりでここまで来ました。
でも、とがめから受けていた「そなた自身を守れ」という命令を守る必要がなくなった七花にかなう敵などいませんでした。
七花は、激闘の末、右衛門左衛門に勝利します。
七花はついに天守閣へ。
そこには否定姫と家鳴将軍がいました。
天守閣に現れた七花を見た否定姫は少し意外そうな様子です。
結局は四季崎記紀の思惑どおりに事が運んでいることに不満なのでしょうか。
否定姫は七花がとがめの復讐をするためにここまできたのだと思っているようで、自分の命運を七花に預けます。
でも七花にとって否定姫がどうなろうと知ったことではありませんでした。
まっすぐに将軍のほうに向かいます。
四季崎記紀の目論見。
それは尾張幕府の崩壊でした。
正確には某幕府の某将軍家体制の崩壊のはずでしたが、そちらの成立を阻止できた代わりに、歴史の修正作用で似たような体制が成立してしまったようです。
そして今、七花がこの体制を崩壊させるために現れました。
もっとも七花自身はそんなことを考えているわけではありません。
尾張城に来たのは、右衛門左衛門に倒されるためでしたが、それがかなわず天守閣まで来てしまった七花。
今更将軍を倒したところで、とがめの無念も七花の気も晴れるわけではありませんが、将軍家に復讐するために人生を棒に振ったとがめのために、ここで将軍を倒すのがけじめというもの。
七花は、将軍を倒す前に否定姫に尋ねます。
「あんた、本当はとがめのことを好きだったんじゃねえの?」
「あの不愉快な女ね。嫌いじゃなく――(好きじゃ)なくもなかったわ」
ようするに好きだったということのようです(^^;
否定姫の答えを確認した七花は将軍に向かいます。
将軍は最後の悪あがき。
天下をやるから命を助けてほしいと、命乞いです。
「いるかそんなの!ちぇりおー!!」
ということで、七花は最後の決着をつけました。
その後。
最終的に、将軍家が滅亡することはなく、匡綱の直系の息子が9代将軍を襲名。
四季崎記紀が、そして否定姫が望んだ歴史の改ざんは行われませんでした。
「改ざんは失敗しても、改変くらいはできただろうから、100年後の連中もただ滅ぼされはしないでしょうね」
否定姫は意外にあっけらかんとしています。
七花はどうなったかというと。。。とがめと一緒に行うはずだった地図作成の旅に出たようです。
なぜか否定姫も後をついてきています。
これから後の七花の消息は不明。
最後は、これまでの変体刀収集の舞台となった場所とそこに残る人々の様子を描いて終了。
一見すがすがしくて感動的な締め方で、なんだかうまく丸め込まれたような気もしますが、締め方としては悪くないです。
魅力的なキャラたちが織りなす会話劇と、変体刀や虚刀流、それに歴史の改ざんにまつわる謎をからめたストーリー展開は、最初から最後までなかなか楽しめました。
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ラベル:刀語