2010年12月11日

今週の一本 その3(2010/12/5~12/11)―『刀語』第12話

1年間にわたって放送された『刀語』もついに最終回です。

本編は、前回ラストでとがめが撃たれた場面からの続き。
とがめがいなければ何もできないと訴える七花の腕に抱かれて、とがめが最後の言葉を絞り出し、七花に自分自身について語ります。
そして、この1年間、七花のおかげでいろいろな体験ができてうれしかったことに感謝します。
でも結局、根本的な部分で自分という人間は変われなかったと、後悔に似た想いを口にしました。

このときとがめに絡みつく白蛇のイメージが描かれますが、これは、とがめの生きざまを、望みがかなわずに絶命した白蛇伝の白蛇になぞらえているのかもしれません。
ストーリー的にはまったく異なるのでまったくの見当違いかもしれませんが。

そしてとがめは目を閉じます。
もう体力が限界に近づいているようです。

七花は絶叫します。
刀としての自分の所有者はとがめ以外にいないと。
刀集めの旅が終わったら一緒に地図を作るんじゃなかったのかと。

ここでとがめが再び目を開けました。
左目が十字に変わっています。
とがめの口から出てきた言葉は衝撃的なものでした。
「全部、ウソだった。刀集めの旅が終われば、私は、そなたを殺すつもりであったよ」

とがめの左目の十字表現の意味は結局はっきりしていませんが、第1話の時に予想したとおりの意味合いだとすれば、この目の時にとめが見せる言動はとがめの本心です。
最後に七花に自分の本心(正体)を打ち明けておこうと思ったのでしょうか。
もしそうだとしても、その根底には七花を解放するという奇策が働いていたのかもしれません。

とがめは続けます。
自分の周りのすべてのもの、そして自分の心すらも、すべては野望を達成するための駒にすぎなかったのだと。
七花に対する感情も例外ではありませんでした。
それでもとがめは、今はとても幸せだと打ち明けます。
野望は果たせずとも、七花を殺さずにすんだのだから。

最後にとがめは言います。
「虚刀流七代目当主、鑢七花。最後の命令だ。私のことは忘れて、これまでのなにもかもを忘れて、好きなように生きろ。そなたとの契約は、私の死をもって終了とする」

とがめを失った七花はある決心をし、尾張城に向かうことになります。


その頃、尾張城では、8代将軍・家鳴匡綱(やなり まさつな)にお目通りがかなった否定姫が、とがめに勝利した実感をかみしめていました。
否定姫は将軍に対し、四季崎記紀について、そして自分がここに来た目的について話します。
四季崎記紀は刀鍛冶ではなく、歴史ある戦術士の家系の者であったことを。
彼が変体刀を作り出した目的は歴史の改ざんにあったことを。
なぜ歴史を改ざんする必要があったのかといえば、四季崎一族の初代が残した予言により、これから100年後に日本は諸外国の攻撃を受けて滅びるとされていたためでした。
歴史を改ざんすることは将軍家を滅亡させることにもつながるのですが、否定姫はそのことには触れません。
ここで将軍を自らの手で倒して、歴史の改ざんを成就させるつもりです。
でも否定姫の後ろには家鳴将軍家御側人11人衆が控えています。
この場で将軍に手を出すことはできません。

その時、尾張城に侵入者が現れました。
七花です。

否定姫は、これも四季崎記紀の思惑どおりで、すべて彼の描いたシナリオどおりに進んでいることを感じ取りました。
四季崎記紀は、完了形変体刀、虚刀・鑢を使ってその思惑を成就するつもりだったようです。
否定姫はその思惑に乗ることにします。
邪魔に感じていた家鳴将軍家御側人11人衆が今この場に控えている意味についても悟りました。
否定姫は、将軍をうまく煽って、この11人衆と右衛門左衛門で七花を迎え撃つことにします。
四季崎記紀の思惑どおりに事が進めば、これまでに収集した変体刀を処分したのちに将軍家を滅ぼすこともできると考えたのでしょうか。

右衛門左衛門が相生忍法・声帯移しを使い、鳥を通じて七花に語りかけます。
城を守る一般兵は退かせたので、一直線に天守閣まで来いと。

七花は、変体刀を持つ11人衆を一人ずつ倒しながら天守閣を目指します。
11人全員を倒した後に待っていたのは、炎刀・銃を持つ右衛門左衛門です。
11人衆との格闘シーンは、七花が各変体刀の弱点を解説しながらそれを破壊していく若干緊張感が欠けた展開でしたが、右衛門左衛門との格闘は一味違いました。

右衛門左衛門は、否定姫から七花を倒せという命を受けましたが、ここで七花を倒してしまうと四季崎記紀の目論見は達成できなくなるのではないかと疑問を口にします。
それに対して否定姫は答えます。
四季崎の悲願を達成したいという思いはあるが、自分は否定的な人間なので、それと同じくらいに、その悲願がくじけるところも見てみたい気持ちもあるのだと。

いよいよ七花と右衛門左衛門の対決。
七花の脳裏にこれまでのとがめとの思い出がよみがえります。
そして心の中でとがめが試合開始の合図を出しました。
「いざ尋常に―――はじめ!」
とがめを失った七花は、自分を倒せる唯一の人物と認めた右衛門左衛門と戦って死ぬつもりでここまで来ました。
でも、とがめから受けていた「そなた自身を守れ」という命令を守る必要がなくなった七花にかなう敵などいませんでした。
七花は、激闘の末、右衛門左衛門に勝利します。

七花はついに天守閣へ。
そこには否定姫と家鳴将軍がいました。

天守閣に現れた七花を見た否定姫は少し意外そうな様子です。
結局は四季崎記紀の思惑どおりに事が運んでいることに不満なのでしょうか。
否定姫は七花がとがめの復讐をするためにここまできたのだと思っているようで、自分の命運を七花に預けます。
でも七花にとって否定姫がどうなろうと知ったことではありませんでした。
まっすぐに将軍のほうに向かいます。

四季崎記紀の目論見。
それは尾張幕府の崩壊でした。
正確には某幕府の某将軍家体制の崩壊のはずでしたが、そちらの成立を阻止できた代わりに、歴史の修正作用で似たような体制が成立してしまったようです。

そして今、七花がこの体制を崩壊させるために現れました。
もっとも七花自身はそんなことを考えているわけではありません。
尾張城に来たのは、右衛門左衛門に倒されるためでしたが、それがかなわず天守閣まで来てしまった七花。
今更将軍を倒したところで、とがめの無念も七花の気も晴れるわけではありませんが、将軍家に復讐するために人生を棒に振ったとがめのために、ここで将軍を倒すのがけじめというもの。

七花は、将軍を倒す前に否定姫に尋ねます。
「あんた、本当はとがめのことを好きだったんじゃねえの?」
「あの不愉快な女ね。嫌いじゃなく――(好きじゃ)なくもなかったわ」
ようするに好きだったということのようです(^^;

否定姫の答えを確認した七花は将軍に向かいます。
将軍は最後の悪あがき。
天下をやるから命を助けてほしいと、命乞いです。
「いるかそんなの!ちぇりおー!!」
ということで、七花は最後の決着をつけました。


その後。
最終的に、将軍家が滅亡することはなく、匡綱の直系の息子が9代将軍を襲名。
四季崎記紀が、そして否定姫が望んだ歴史の改ざんは行われませんでした。
「改ざんは失敗しても、改変くらいはできただろうから、100年後の連中もただ滅ぼされはしないでしょうね」
否定姫は意外にあっけらかんとしています。

七花はどうなったかというと。。。とがめと一緒に行うはずだった地図作成の旅に出たようです。
なぜか否定姫も後をついてきています。

これから後の七花の消息は不明。


最後は、これまでの変体刀収集の舞台となった場所とそこに残る人々の様子を描いて終了。
一見すがすがしくて感動的な締め方で、なんだかうまく丸め込まれたような気もしますが、締め方としては悪くないです。

魅力的なキャラたちが織りなす会話劇と、変体刀や虚刀流、それに歴史の改ざんにまつわる謎をからめたストーリー展開は、最初から最後までなかなか楽しめました。

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2010年11月14日

今週の一本(2010/11/7~11/13)―『刀語』第11話

いよいよ最終回前の大詰めです。
とがめの予想では炎刀・銃(えんとう・じゅう)はすでに否定姫が手に入れているので(実際にそのとおりなので)、今回の収集対象となる毒刀・鍍(どくとう・めっき)が実質的に最後の変体刀です。

この毒刀・鍍には、四季崎記紀が自分の記憶を封じ込めていました。
これを手にした人物に記憶を転写することで、その人物の体を支配し、いわば永遠の命を手に入れていました。
鳳凰の体を乗っ取って復活した彼は、七花と対決することになります。

その際、変体刀の真実が明かされました。
四季崎記紀には未来予知の能力があり、その能力を使って読み取った未来の技術を使って作られたのが変体刀だったようです。
とがめたちにとって、物理を超越したような不可思議な特性を持っているように見えるのはそのためでした。

四季崎記紀は変体刀を世にばらまくことで、本来あるべき歴史を歪め、改ざんしてきました。
とがめの父である飛騨鷹比等が反乱を起こしたのは、そのことに気付いて歴史を元に戻そうとしたからのようです。

四季崎記紀はさらに、もう一つの真実を明かします。
彼が虚刀流開祖・鑢一根(やすり かずね)と親友だったということを。
前回の彼我木輪廻(ひがき りんね)の話でも触れられていましたが、今回、とがめと七花は四季崎記紀本人の口からもう一度それを聞くことになりました。
七花が最後の変体刀、虚刀・鑢だということを再確認することになります。

四季崎記紀は完了形変体刀の出来を確かめるため、七花に勝負を挑みます。
今から150年後に生まれる天才剣士(沖田総司?)が生み出したという構えをとります。
この構えから生み出される三段突きはかわしようがないと言って自信満々です。

七花は初めのうちは未来の剣術に押され気味でしたが、最後は七花八裂・改で勝利しました。
四季崎記紀は完了形変体刀の出来に満足し、息絶えます。
ただし、倒されたのは鳳凰の体。
彼の記憶は毒刀・鍍に保存されているので、完全に死んだわけではないはずです。


実質的に最後の変体刀を収集したとがめと七花は尾張へ向かいます。
ところが、最後の最後で衝撃の展開が待っていました。
先日公開されたPVで、とがめの背景が白の透過光だけで描かれる場面があって気になっていたのですが、その意味がはっきりしました。

尾張を目前にしたとがめと七花が神社で一息つき、二人の今後にも思いをはせてなごやかな雰囲気が漂い始めたところで、二人の前に右衛門左衛門が現れます。
右衛門左衛門は問答無用でとがめに向けて炎刀・銃の引き金を引きました。
2発の銃弾を腹部に受けたとがめはそのまま倒れてしまいます。
とがめは「手裏剣がかすっただけで死ぬくらいひ弱」だと言っていたくらいなので、おそらくこのまま助からないのではないでしょうか。
“白の透過光”はこのためだと思います。
七花が最後の戦いに赴く場面で、七花の心の中でとがめが試合開始の合図をするのでしょう。

とがめの最期を目の当たりにした七花の目が変わります。
「今、この瞬間。四季崎記紀が鍛えし変体刀最後の一本、虚刀・鑢が完成。いえ、完了したのでございます」
ということで、七花の絶叫で締め。


さて、今回、右衛門左衛門により人鳥が抹殺され、鳳凰も死亡したことで、真庭忍軍は滅びました。
凍空一族もすでに滅亡しているので、歴史の改変によって生み出された存在が徐々に消えて行っています。
さらにとがめが死んだことで、歴史はあるべき本来の姿に戻ろうとしているのかもしれません。

右衛門左衛門にとがめを抹殺させた否定姫は、自分の先祖(四季崎記紀)すら否定することで、歴史の改変を正そうとしているのでしょうか。
否定姫がとがめの正体を知って苦々しい想いを抱いていたのは、これまでは半ば遊びの延長(?)でとがめと張り合っていただけだったのが、とがめを本気で抹殺しなければならなくなったためなのかもしれません。


次回、いよいよ最終回です。

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2010年10月16日

今週の一本(2010/10/10~10/16)―『刀語』第10話

今回は、とがめと七花が各々の過去の思い出したくない思い出(苦手意識)と向き合うエピソード。
虚刀流の真実も明かされ、いよいよ終焉に向けて大詰めを迎えます。


収集対象は、10本目の変体刀、誠刀・銓(せいとう・はかり)です。
所有者は仙人の彼我木輪廻(ひがき りんね)。

舞台は奥州の百刑場。
何もない荒野ですが、ここにはかつて飛騨城があり、反乱鎮圧後に飛騨鷹比等らが処刑されました。
とがめにとっては、父が目の前で惨殺されたというつらい思い出がある場所です。
鷹比等を倒したのが七花の父・六枝だったということもあり、七花も心を締め付けられるような想いを抱いています。

否定姫の言葉でこの地を訪れた二人の目の前に、突然、一人の少女が現れます。
この少女が彼我木です。
彼我木はとがめたちが変体刀を求めてやってきたことを知り、その在りかをすぐに教えてくれました。
とがめが立っているまさにその場所の地下10丈(約30m)くらいの深さに自分が埋めたと。
そして、とがめ一人だけで掘り出すよう言って消えてしまいます。

とがめはその言葉に従って穴を掘り始めます。
普段なら奇策を練って彼我木と交渉するはずなのに。
七花がその理由を尋ねると、「会いたくない」からだという答えが返ってきました。
七花はとがめが穴を掘り続けるのを見守ることしかできません。

そんな七花の前に再び彼我木が現れます。
七花は、どうして誠刀・銓を埋めたのか尋ね、彼我木はそれに答えます。
邪魔なだけだったからだと。
かといって“友人”からもらったものを捨てるのも気が引けるので埋めることにしたようです。

彼我木は四季崎記紀本人から誠刀・銓を譲り受けました。
驚いた七花が彼我木に年齢を尋ねると、約300歳とのこと。
人間だったころを含めれば350歳になるそうです。
七花はさらに疑問を口にします。
彼我木の姿に見覚えがあるような気がすると。
「それはね、君がこの僕をそういうふうに見ているというだけなんだよ。
僕はね、君の記憶の投影なんだ」
彼我木には実態がなく、見る人によってその姿が違って見えるようです。
今の彼我木の姿は、凍空こなゆき、鑢七実、汽口慚愧、敦賀迷彩の4人の姿を融合したような外見になっているため、七花は見覚えがあるように感じたようです。
ではなぜその4人なのか。
七花は敦賀迷彩を除く3人に負けたことがあります。
敦賀迷彩には勝ったものの、その結果彼女の命を奪ってしまいました。
思い出したくない後悔と罪悪感が形となって表れたのでした。

これから数日の間、七花は、彼我木を通して思い出したくない記憶を覗き、否応なく苦手意識と向き合うことになります。

最初に直面するのが汽口慚愧の思い出です。
彼女が言った「剣を取ったほうが弱くなるなど、まるで呪いのようです」という言葉が引っかかっているようです。
次は鑢七実。
「刀が刀を使おうとするとこうなってしまう。刀に関する才能を一切持たない。それが虚刀流」
七花は、虚刀流の呪いとは、刀である自分が刀を使えないということなのではないかと考えます。

ここにきて七花は、1つ気になっていることを彼我木に尋ねます。
彼我木の姿がそれを見る者の記憶の投影であるなら、その人を食ったような性格は何なのかと。
七花にはこのような性格の人物についての記憶はありません。
彼我木によれば、それはとがめの記憶(苦手意識)とのこと。
とがめと七花が同時に彼我木を見たので、今の彼我木は二人の記憶が融合された状態になっているようです。

その夜。
七花は昼間の彼我木とのやりとりをとがめに伝えます。
とがめは、彼我木の性格が誰のものなのかを素直に教えてくれました。
その人物は飛騨鷹比等。
とがめの父です。
もったいぶったしゃべり方、ふざけた態度、砕けた態度、とがめに肉体労働を強いるという嫌がらせ。
彼我木の性格は、彼に瓜二つだそうです。
それがなぜとがめの苦手なものとして現れたのかというと。。。
とがめは父の存在自体を苦手に思っていたからでした。
とがめは父が今際の際(いまわのきわ)に言い残した言葉を忘れているそうで、その言葉を思い出すためには父の記憶と真剣に向き合う必要があるようです。

翌日。
七花は自分が後悔と罪悪感を抱えてまで戦う理由を知るため、彼我木と対戦することにします。
対戦前に、彼我木は自分が七花よりも弱いと断言します。
それでも七花が自分に勝つことは絶対にできないと宣言。
いざ対戦を開始すると、彼我木は逃げ回るだけです。
七花はそんな彼我木に違和感を感じます。
「変だ。今までのどの戦いとも違う。かみ合わねえんだ」
七花は、彼我木に戦う気がまったくないことに気付きました。
彼我木によれば、七花の戦闘能力を10とすれば、彼我木のそれは7。
まともにやりあえば戦いになりません。
でも、七花は10の力を攻撃と防御に半分ずつ使っているので、彼我木が戦闘能力をすべて防御に回せば七花は彼我木を打ち破れません。
それがわかっているので、初めからまともに戦おうとしていませんでした。
七花は、これでは何も得られないと思い、戦いを放棄してしまいます。
ところが彼我木は、こんな戦いでも考え方ひとつで得るものがあると言います。
「戦いなど虚しい。勝ち負けにたいした意味などない」
そのことを教えたかったと。
彼我木はさらに言葉を続けます。
七花はとがめの目的を知ってそれに同調して戦っているのではなく、単に同情しているだけだと。
七花はとがめのことを好きだからとがめと行動を共にしていると反論しようとしますが、それより先に彼我木が言葉を続けます。
七花の気持ちは恋でも愛でもないし、とがめの目的がなんであれ、それがとがめ自身や他人を犠牲にしなければならないものではないことは確かだと。
にもかかわらず、とがめと七花は刀集めの旅で何人もの人の命を奪っている。
とがめと七花には、その事実を受け入れる覚悟が足りないと言い放ちました。
「銓ってのは天秤って意味だ。君は自分のやっていることがどれほどの何と釣り合うのか考えてみることだ」
彼我木はこのことをとがめにも伝えておくよう言います。
七花は、次の休憩時間に伝えると答えますが、彼我木はその休憩時間がまさに今であることを口にします。
「だったらそれは今だ。とがめちゃん穴の中で力尽きちゃって休憩中みたいだからさ」
それを聞いた七花は急いでとがめのもとへ向かいました。
でもその途中、七花は彼我木の作り出す幻影の中へ。
そして、こなゆきとの戦いで自分が自らの体を犠牲にして戦う姿を見、敦賀迷彩からの問いかけという形で他人の命を犠牲にしてまで戦う理由を考えさせられます。
そして七花はついに結論にたどり着きました。
自分が戦う理由。
それはとがめのためだということに。
「そうだ、俺はとがめのために戦っているんだ。とがめと出会ったその日から、俺は―――。恋とか愛なんてくだらねえ。俺はとがめだから戦っている。とがめでなければ戦ってこなかったってことだ。わかったか彼我木輪廻!」
七花は、彼我木の作り出す幻影を打ち破りとがめのもとへ向かいました。

穴の底で気絶していたとがめは、七花の呼びかけで意識を取り戻します。
彼我木が最初から戦いを放棄していたので勝負にならなかったと言う七花の話を聞いたとがめは、彼我木のやり方には大きな穴があると即座に看破します。
その穴を突けば勝てると言って、七花に答えを与えようとしますが、ここで何かに気付きました。
そして、七花に答えを与えずに再び穴掘りの作業に戻ってしまいます。
その直後、柄(つか)と鍔(つば)を掘り当てます。
もしかしたら以前に見つけていたものの、刃がないのでそのまま放っておいたのかもしれません。
とがめは、この柄と鍔だけの刃のない代物が誠刀・銓だということに気付きました。
それと同時に、父の今際の際の言葉を思い出します。
父は鑢六枝に倒される直前にとがめを抱きしめてこう言ってくれました。
「僕は君のことが大好きだった」
ずっと苦手だった父の本心からの言葉を思い出したとがめは、心の中で父との折り合いをつけることができたようです。

その後、とがめは、苦手だと言って会おうとしなかった彼我木に会いに行き、自分がたどりついた結論を伝えます。
「誠刀・銓とは、己自身を測る刀。
人を斬る刀ではなく、己を斬る刀。
己を試す刀。
己を知る刀。
だから刃無き刀。
無刀ということだ」
刀の本体は刃だが、それがないのであれば刃を守る鞘はいらない。
決意を持って己自身と向き合える柄と鍔だけがあればいいということなのだろうと。

最後にとがめは、彼我木に尋ねます。
四季崎記紀とはどのような人物だったのかを。
彼我木は答えます。
四季崎記紀は彼我木に己の深淵を見て、苦手意識を引きずったまま去って行った、否定的なやつだったと。
その際、四季崎記紀は、彼我木に誠刀・銓を預けていきました。
彼我木は変体刀に毒されるのが嫌だったのでそれをすぐに埋めたそうです。
つまり、飛騨城が存在する前から誠刀・銓はそこに埋まっていました。
だからとがめの父・飛騨鷹比等は、歴史のゆがみに気付き、それを正すために謀反を起こしました。
誠刀・銓の毒に侵されてしまったために、間違いを正さざるをえなくなってしまったようです。

ここまでわかったところで、彼我木の口から驚きの言葉が伝えられます。
「そのあたりになってくると四季崎記紀の変体刀作りもだいぶ完了に近づいたって感じだね」
これまでとがめは、988本の習作を経て作られた12本の完成形変体刀が四季崎記紀が完成させた究極の刀だと思っていましたが、事実は違いました。
四季崎記紀はこの12本の変体刀を習作として、さらに究極の刀を作り出していました。
それこそが、完了形変体刀、虚刀・鑢(きょとう やすり)です。
自らの体を刀とする虚刀流です。
かつて錆白兵が散り際に「虚刀流が四季崎記紀の遺品」だと言い残した意味がこれで明らかになりました。
彼はまた、自分が失敗作だとも言い残しています。
彼の家系も四季崎記紀によって生み出された“刀”だったようです。
ただし四季崎記紀は、“刀”が刀を使うと最強になれないことに気付いて、最終的に虚刀・鑢に行きついたのでしょう。

とがめは今回の件で、目的のためには引き分けという不完全燃焼でさえ飲み込まねばならないこともあると学びました。
そのことを彼我木にも伝えますが、彼我木はこれを即座に否定します。
目的のために目的も捨てねばならないこともある、というのが正解だと。
野望も野心も復讐心も、真の目的のためには捨てるべき目的なのだと。

とがめはこの考えを受け入れることを拒否します。
彼我木はあきれながらもその考えを否定しません。
それがとがめの生き方ならその考えを貫き通せばいいと言うだけです。
とがめは最終的に、この考えに引きずられる形で、最後の最後で悲惨な運命をたどることになるのかもしれません。


最後に否定姫です。
彼女は今回、自分が四季崎記紀の末裔であるかのような言葉を口にしました。
でも、それに対する右衛門左衛門の言葉では、否定姫が彼我木に誠刀・銓を託したことになっています。
さらに、否定姫は四季崎記紀の末孫(ばっそん)などではないとも。
これはつまり、否定姫=四季崎記紀ということなのでしょうか?
そういえば、今回の鳳凰の話では右衛門左衛門はすでに死んでいることになっていました。
否定姫=四季崎記紀という超自然的な話が成り立つのであれば、右衛門左衛門は否定姫の力で再生されたということも考えられますが。。。
いろいろと伏線が張り巡らされているので妄想が尽きません(^^;

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2010年09月12日

今週の一本 その2(2010/9/5~9/11)―『刀語』第9話

今回の収集対象は、木刀の外見をした変体刀、王刀・鋸(おうとう・のこぎり)。
出羽の将棋村を訪れたとがめと七花は、さっそく、所有者である心王一鞘流(しんおういっそうりゅう)12代目当主、汽口慚愧(きぐち ざんき)と面会します。
慚愧は「心の鬼を心で斬る」という名が示すとおり、とてもまっすぐな人間でした。
というよりも、まっすぐすぎてちょっと人間離れした感のある女性。
これまでのほとんどの変体刀所有者とは違い、交渉が通じる相手です。
ついでに、そこはかとなく不思議な色気も漂っています。
天下国家のためには王刀・鋸を手放すべきだと頭ではわかっている慚愧ですが、道場の看板でもある王刀・鋸をすんなりと渡してはくれません。
交渉の結果、とがめと将棋対決してとがめが勝てば、七花と手合わせしてもらえることになったようです。
七花が勝てば王刀・鋸を譲ってもらえます。
慚愧はとがめに勝つことができず、七花との手合わせに臨みますが、刀を持たずに戦おうとする七花に激怒します。
「人を馬鹿にするのも大概にしていただきたい!剣士が刀なしで戦えるわけがないでしょう!」

七花は仕方なく木刀を持って戦いますが。。。
あっという間に慚愧に倒されてしまいました。
あまりのあっけなさに慚愧が呆然としてしまうほどです。
とがめと七花はこの場をあとにせざるを得なくなってしまいました。

とりあえず宿に戻ったとがめと七花は次の作戦を練ろうとしますが、刀が使えない七花ではどう考えても慚愧に太刀打ちできないので手詰まり状態です。
ところがそのとき、慚愧が宿にやって来ました。
とがめたちが帰ってから先ほどの勝負について考えていたそうです。
「七花殿があそこまで“弱かった”となれば、これは勝負が成立したとは言えません」
七花はそのあまりに率直な言葉に渋い顔。
「不公平は是正されねばなりません。よって、七花殿を我が心王一鞘流の門下生として迎え入れたうえで、この私が直々に鍛え上げ、そののち改めて正々堂々と対戦する、ということでいかがでしょうか」

この申し入れに反対する理由はありません。
七花は剣の修業をすることになります。
そしてとがめはこの後10日間、妄想と嫉妬で苦しむことに(^^;
今回はそんなとがめと、とことん鈍感な七花の言動が楽しい、ギャグ色が強い回でした。
そして最後には、とがめが七花と慚愧の関係(もちろんとがめの妄想)に耐えられなくなり、急遽奇策を発動することに。
かつて格闘技素人の凍空こなゆきが七花に勝利したときのように、剣についてまったくの素人の七花が「まぐれ勝ち」することを期待して、慚愧に勝負を挑みます。

でもここで七花の指摘により1つ問題が発覚。
七花はすでに10日間も慚愧からの教えを受けているので、もはや素人とはいえません。
「あ、そうか。確かにそこまでは考えてはいなかった。私としたことが不覚だったな」
嫉妬で思考が鈍ったのか、策の練りこみが不足していました。
でもそこは奇策士。
とがめはすぐにこれに対する解決策を見つけ、実行に移します。
「ちゅー」
なんと七花にいきなり濃厚なキス。
「まだ何か覚えておるか?」
七花はあまりの衝撃に覚えたことを忘れてしまいました(^^;

翌日。
とがめは慚愧に再戦を申し込みます。
慚愧は七花がまだまだ未熟なので対戦を拒みますが、とがめにうまく丸め込まれてしまいます。
ルールは最初と同じ。
ただし今回は将棋を1局ではなく9局指します。
結果、最終局はとがめの負けでしたが、トータルでは5勝4敗でとがめの勝ち越しです。
そして剣術勝負へと進みます。
「七花殿。“心の鬼を心で斬る”。これをもって慚愧と名乗る。心王一鞘流12代目、汽口慚愧。お手並み、拝見いたします」
「言われなくても見せてやるさ。ただしその頃にはあんたは八つ裂きになっている“かも”しれないけどな」
七花は珍しく気を利かせた言い回しをしましたが、慚愧は無反応。
そのまま試合開始です。
慚愧と七花が木刀を構えて互いに相手の隙をうかがいます。
ところがここで、審判役のとがめが不敵な笑みを浮かべます。
とがめはなにも「まぐれ勝ち」だけを期待していたわけではありませんでした。
真の奇策発動です。
試合中に審判が選手に話しかけるのは反則ですが、とがめはなぜか話し始めます。
「7六歩」
反則を取る審判自身が反則を犯しています。
でも、まじめすぎる慚愧は審判に逆らえません。
さらに、将棋の腕に覚えがある慚愧は、とがめの言葉に心の中で反応してしまいます。
(私は3四歩と返す)
とがめと慚愧の脳内将棋の開始です。
とがめは今回冒頭の1局と先ほどの9局、合計10局で慚愧の指し手をすべて読み取ったようです。
しかも1局あたり200手(現実世界の棋士の1局の平均打ち手は110手)もかけて。
先の最終局でとがめが負けたのは、この脳内将棋で先手を取るためでした。
慚愧はまったく剣術勝負に集中できません。
一方の七花は将棋を指せないので、とがめの言葉で集中が乱されることはなく、慚愧の隙をついて面で一本取ってしまいます。

このあと、とがめと慚愧はもう1局将棋を指したようです。
今度はとがめは本気を出し、わずか42手で圧勝。
七花も木刀を使わずに虚刀流で勝負させてもらい、慚愧に勝利しました。

慚愧は七花の強さを認めてこれまでの無礼を詫びます。
このときちょっと引っかかる言葉を口にします。
「剣を取ったほうが弱くなるなど、まるで呪いのようですね」
これはもしかすると虚刀流の誕生にかかわってくる重要な言葉なのかもしれません。
それはともかく、慚愧は負けを認め、心王一鞘流の看板である王刀・鋸を引き渡しました。
そして別れ際、慚愧はいつか再会して対戦するのを楽しみに、今後も心王一鞘流の看板を守り続けると宣言します。
王刀・鋸が看板じゃなかったのかといぶかしむ七花に慚愧は言います。
「これからは私自身が看板です・・・看板娘です♪」

ラスト。
今回の件でとがめの心に疑問(不安)が芽生えてしまったようです。
旧将軍が刀狩で王刀・鋸を収集できなかったのはなぜなのか。
王刀・鋸はいうなれば単なる木刀に過ぎないのに、かつての所有者は旧将軍をどのように撃退したのか。
刀狩令には、とがめが把握していない真の目的があったのではないか。
とがめの頭にはこれらの疑問に対する答えが用意されているようですが、まだ可能性に過ぎないので口には出しません。
七花も気になってしまい、答えを聞きたがりますが、とがめは七花の気にすることではないから忘れておけと言うだけです。
七花は、そんな気になることを言われては忘れられないと返しますが、とがめの応答に赤面してしまうことに。
「また忘れさせてほしいというおねだりのつもりか?」


今週の真庭忍軍。
富士の風穴で毒刀・鍍(どくとう・めっき)を入手しました。
この場面で、鳳凰の左手は川獺(かわうそ)の手を移植したものだったことが明らかになります。
これで鳳凰も川獺の忍法記録辿りを使えるようです。
ただし、まだ馴染んでいないので完全に使いこなせていないようですが。
鳳凰は、とがめや七花の目の前で川獺を殺すことで、真庭忍軍が忍法記録辿りを失ったことを示し、とがめに真庭忍軍が裏切っていないことを信じさせようとしましたが、これはとがめたちを騙すことが目的で、忍法記録辿りというアドバンテージを手放すつもりはなかったようです。

毒刀・鍍を手に入れた鳳凰たちは、次に、海亀が手に入れようとしていた変体刀についての手掛かりを得るため、海亀が落命した信濃に出向くことにします。
そこに現れるのが、否定姫に鳳凰暗殺を命じられた右衛門左衛門です。
鳳凰と人鳥は古典的な忍法・煙幕を使ってその場を撤退し、鴛鴦(おしどり)が残って右衛門左衛門を倒そうとします。
右衛門左衛門は鴛鴦が駆使する忍法永劫鞭(えいごうべん)に苦戦しますが、最後は隠し持っていた炎刀・銃(えんとう・じゅう)であっけなく決着をつけました。
炎刀・銃は刀というよりも完全に拳銃です(^^;


次回は「誠刀・銓(せいとう・はかり)」
今年1月から始まった『刀語』も残すところ3話です。
公式サイトのPVを見る限りでは、今後もかなり期待できそうです。

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2010年08月15日

今週の一本 その4(2010/8/8~8/14)―『刀語』第8話

今回、とがめと七花は変体刀集めの旅を一時中断し、家鳴将軍家のお膝元、尾張に戻ってきました。

さっそくとがめの屋敷に向かった二人。
七花は、前方に見える周囲の景観にそぐわない派手な装飾の屋敷を見て大笑い。
実はそこがとがめの屋敷だったというオチでした(^^;
とがめは七花を屋敷に残して城へ行ってしまいます。
事情が変わって、城に“刀”を持ち込めなくなったとのこと。

七花は屋敷内を見て回ります。
無人なうえに、家具調度はすべて処分され、何もない殺風景な屋敷。
とがめは変体刀集めの旅で命を落とすことも覚悟していたようです。

その後七花は庭で稽古を始めます。
そこに右衛門左衛門が。
否定姫の使いで七花を迎えに来ました。
変体刀の情報を与えるとのことです。
だまっていてはとがめが顔を見せないので、七花をエサにとがめが否定姫のもとに来ざるを得ない状況を作ろうとしているようです。
右衛門左衛門に連れられてのこのこ城にやって来た七花はとがめと鉢合わせ。
とがめは七花の迂闊さに腹を立てながらも、七花と一緒に否定姫の部屋に行くことになります。

久しぶりに再会したとがめと否定姫はお互いの腹黒さをさらけ出しながらものすごい言葉の応酬で「挨拶」をかわします。
二人はこれまでに何度も、互いに相手を今の地位から引きずりおろそうと(殺してしまおうと)策をめぐらせてきたようです。
ただ単に相手のことが気に食わないというだけではなく、何か深い因縁があるのでしょうか。
このやり取りを黙って後ろで聞いていた七花はただただ唖然とするばかりです。

やがて挨拶がすみ、本題に入ります。
否定姫は変体刀の在りかを直接教えるのではなく、四季崎記紀に関する情報を渡すと言い出しました。
その話によれば、江戸の不要湖に四季崎記紀の工房があったらしいとのこと。
不要湖には日和号(びよりごう)というものがいるそうで、日和号はそこで何かを守っているのではないかという噂があります。
とがめは日和号に脅威を感じているようですが、否定姫は「その守るべきものが四季崎記紀の工房だったとしたら?」という言葉でとがめを煽ります。
ここでとがめは真庭鳳凰の言葉を思い出しました。
真庭忍軍が所在をつかんでいる変体刀の在りかに江戸の不要湖が含まれていたことに。
とがめは不要湖に行く決心を固めます。
さっそく部屋から出ていこうとしますが、その前に一つ質問。
「ところで、そこの床の間の物。その変な鉄の塊みたいなものはなんだ?」
とがめはこの鉄の塊が否定姫の趣味にあわなさそうなので、不要湖に捨ててこようかと申し出ますが、否定姫はこの銃の形をした鉄の塊はただの飾りだと言ってその申し出を断ります。

不要湖にたどり着いたとがめと七花が目にしたのは、湖とは名ばかりの場所でした。
昔は美しい湖だったそうですが、今は大量の廃棄物に覆われています。
そして二人はさっそく日和号に遭遇します。
日和号はからくり人形でした。
今後の変体刀集めのための情報を得るためには四季崎記紀の工房を探る必要があり、その前に工房を守っていると思われる日和号を倒さなければなりません。
とがめはそのための奇策を練るために、日和号に関する情報をもっと得ようとします。
まずは七花が軽く手合わせして日和号の動きを探ってみることに。

七花が日和号に近づいて一撃食らわせようとしたとき、人間の気配を察知した日和号が反撃してきました。
その攻撃を避けた七花はあることに気付きます。
この様子を観察していたとがめも同じことを感じ取ったようです。
日和号そのものが変体刀の1本、微刀・釵(びとう・かんざし)でした。
否定姫はこのことを知っていて、とがめに話さなかったようです。
とがめが気付かずに日和号を破壊してしまえば、その責任を取らされて死罪になるので、望むところだったのでしょう。

翌日からとがめは不要湖の地図を作製し始めます。
工房の場所を特定するためです。
それと同時に日和号の動きもしっかり観察していました。
日和号は決められたコースを巡回してその中心部にある工房を守っているようです。
さらに、日和号の動きにはもう一つ特徴がありました。
ときどき立ち止まって日向ぼっこをしています。

地図が完成して準備が整ったので、いよいよ日和号を倒す段階に移ります。
しかも、ただ倒すのではなくて無傷で倒さなければなりません。

とがめの奇策は、日和号を落とし穴に落とすというものでした(^^;
ところが、というか当然ながら、この奇策は失敗してしまいます。
日和号は落とし穴を華麗な動きで回避しました。
そしてしばらく歩いたあとに停止して、また日向ぼっこをしました。
とがめはこのときの日和号の動きから何かを読み取ったようです。

やがて夜が訪れ、二人はいったん宿に戻ることに。
月には暈がかかっています。
この数日晴天の日が続きましたが、翌日は天気が崩れそうです。

宿に戻る途中、七花は日和号を相手に戦うことへの不安を口にします。
虚刀流に限らず格闘技というものは人間を相手にすることを念頭にしているので、かつて凍空こなゆきに負けてしまったのと同じように、動きの読めない相手に勝つのは難しいと。
とがめはそんな七花に奇策第2弾をさずけようとします。
七花は奇策第1弾が見事に失敗したので不安を隠せません。
とがめはもう二度とそんな不安をおこさなくてすむよう、これを機会に七花を教育してやると宣言。
「今夜は寝かさぬぞ」
明日には決着だと自信満々です。

翌日。
曇り。
七花は日和号を相手に延々と格闘を続けます。
日和号は数々の奇抜な技を繰り出してきますが、その動きはすべてとがめの予想の範囲内でした。
今日の天気が崩れることを見込んだうえで、とがめと七花は寝る間も惜しんで、日和号に可能と思われる動きを一晩ですべて頭に叩き込みました。
とがめは日和号のエネルギー源が太陽光だということを見抜いたようです。
七花は、なんの意思も持たずにただ主の言うとおりに戦うことしかできなかったかつての自分を日和号の姿に重ねて戦い続けます。
一方、日和号も戦いの手をゆるめません。
はるか以前に死亡した主である四季崎記紀の命令に従い、「人間」である七花を排除しようとしています。

「俺にはお前が刀にしか見えねえけど、日和号、お前は俺を人間と言ってくれるんだな」
七花は、人間として自分の意思で戦うことができることの喜びを感じているようです。

さらに激しい戦いが続き、七花の体力は限界に近づきます。
でもそれより先に日和号のエネルギーが尽きました。
日和号は動作を停止。
長い戦いの終わりです。


さて今回の真庭忍軍の動きですが。。。
信濃にある刀を真庭海亀が探しに行くことになりました。
ただし、わかっていることは信濃の禅寺にあるということだけで、刀の名前も形も所有者も一切不明です。
それでも海亀は信濃を目指して旅立ちました。
その途中、海亀は、待ち受けていた右衛門左衛門と遭遇します。
右衛門左衛門によれば、信濃に炎刀・銃(えんとう・じゅう)があったのは確かですが、今はもうないようです。
どうやら否定姫の床の間にあった鉄の塊が炎刀・銃のようです。
右衛門左衛門は真庭忍軍が変体刀に近づいて「歴史の真実」を知ってしまうことを避けようとしています。
邪魔な海亀をこの場で倒そうとします。
海亀も反撃しますが、右衛門左衛門の身のこなしに驚かされてしまいます。
右衛門左衛門は、すでに滅亡した相生忍軍(あいおいにんぐん)の末裔で、その技を受け継ぐただ一人の生き残りでした。
相生忍軍は170年前に真庭忍軍に滅ぼされた忍び集団。
海亀はなすすべもなく右衛門左衛門に倒されてしまいます。

海亀打倒の報告を受けた否定姫は、真庭忍軍の動きがいよいよ目障りになったようです。
真庭忍軍を全滅させようと動き出します。
右衛門左衛門に鳳凰暗殺を命じました。
その鳳凰ですが、以前自ら切り落とした腕が再生(?)していました。
かませ犬とはいえ、かなり手ごわいのかもしれません。

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2010年07月10日

今週の一本 その2(2010/7/4~7/10)―『刀語』第7話

「虚刀流は刀を使わない流派ではない。決して刀を使えない流派なのだ」
by とがめ

今回は、1話まるまる使って七実と七花の姉弟対決を描いていました。
全編にわたって七実のやるせない想いが(あるいは静かな狂気が)漂い、最初から最後まで画面にくぎ付けになってしまうすばらしいエピソードでした。
ところどころに挿入されるアドベンチャーゲームや縦スクロールシューティングなどを髣髴させる演出も面白かったです。

七実が七花と対峙する理由は変体刀の影響なのかと思っていましたが、そうではなくて自分の意思で七花との対決を望んだようです。
根底にあったのは、死ぬことができない体から解放されたいという想いでした。
今回のセリフからすると、七実はかつて父に殺されかけたことがあり、自分もそうされることを受け入れましたが、そのときは七花に助けられたようです。
父の命と引き換えに。。。
七花はそれだけ七実のことが好きだったようです。
でも今回は、自らの手で七実にとどめを刺すことになってしまいました。


本編。
蝦夷の踊山(おどりやま)から尾張に向かっていたとがめと七花。
陸奥の死霊山(しれいざん)から悪刀・鐚(あくとう・びた)が奪われたと聞き、その犯人を追って土佐の清涼院護剣寺(せいりょういん ごけんじ)へ向かいました。
護剣寺にはなぜか七実が。
彼女は真庭虫組から忍法を見取り、凍空(いてぞら)一族の村を壊滅させたときに怪力を会得。
さらに死霊山で、神衛隊(しんえいたい)を壊滅させて悪刀・鐚を入手していました。
このときに降霊術の能力も身に着けましたが、これは使い道がなかったようです。

半年ぶりに再会した七実と七花はさっそく対決します。
でも実力の差は歴然としていて、七実は打撃技を混成接続し、272回もの打撃を一瞬で決めて七花を倒してしまいました。
忍法足軽を応用して打撃から重さを取り除いたので、七花は致命傷を与えられずにすみました。
ここで七花は気付きます。
七実の体力でこれだけの技を繰り出せるはずがないことに。
そのことを七実に問いただすと、七実は上半身を露わにして胸に突き刺さった悪刀・鐚を見せます。
雷を帯びた悪刀・鐚を体の中央に差し込むことで、病が強制的に癒される。
悪刀・鐚は人体を活性化させる変体刀でした。
七実は七花に顔を洗って出直してくるよう言い残して立ち去ってしまいます。

七花はすっかり気落ちしてやる気をなくしてしまいました。
とがめはそんな七花を再教育。
まずは膝枕をして七花の気持ちを聞き出します。
やがて、自信をなくしきった七花にしびれを切らしたとがめは、ついに七花にビンタを食らわせます。
そして、七花の決意を確認しようと質問。
「そなた、七実と再戦する気はあるか?」
七花のことを心配し、涙を浮かべながら真剣に見つめてくるとがめを前にして、七花は気持ちを切り替えます。
そしてしっかりした声で答えます。
「ある!」

心機一転。
2人は再戦に向けて動き出します。
まずは、七花の奥義・七花八裂の弱点を認識するところから。
この技は7つの奥義を連続して繰り出す混成接続技ですが、4つ目の奥義・柳緑花紅(りゅうりょくかこう)には溜めの動作が必要なので、一瞬だけ隙ができてしまいます。
七実はそのことを気付かせるために、最初の戦いで自ら混成接続技を見せてくれたようです。
七花は、柳緑花紅を最初に持って来れば、七花八裂に弱点がなくなることに気付きました。
7つの技を無差別に組み合わせれば、そのパターンは5040通り。
でも、柳緑花紅を最初に持って来れば、残る組み合わせは720通りです。
七花はさっそく最強のパターンを見つけるために山に入り、すべてのパターンを1つずつ試していきます。

一方のとがめは、最終決戦の時と場所について七実と交渉します。
時は今夜。
場所はお堂。
お堂には刀狩で集められた10万本の刀から作られた刀大仏が鎮座しています。
とがめは、刀大仏の前で戦うことで、御仏に勝負の行方を見届けてもらおうと提案しました。
冷や汗を流しながら、七実がこの条件を受け入れてくれることを期待します。
なにか考えがあるのは明白です。
七実はそんなことはおかまいなしに、あっさりとこの提案を受け入れます。
これで条件はすべてクリア。
とがめの奇策が始動しました。

そして夜。
いよいよ最後の対決です。
七実は七花に本気で向かってくるよう言って、とがめに開始の合図を求めます。
でもとがめは、これが最後の会話になるかもしれないのだからと言って開始を引き延ばそうとします。
「この期に及んでまだそんなことを。それとも、時間を稼いでいるのですか?あなたの奇策には時間がかかるとか?」
とがめが何か仕掛けてくるのは明らかなので、七実は鎌をかけます。
それに対してとがめは、諦めた風を装って開始の合図を口にし始めました。
「わかったわかった、好きなだけ殺しあえ。この刀姉弟が。(10)もう止めんよ(9)。好きにしろ(8)」
その内心ではカウントダウンを開始しています。
「(3)いざ尋常に(2)・・・(1)初め!(0!)」
合図とともに300本のろうそくが一斉に消えました。
漆黒の闇が訪れます。
これで七実の秘技・見稽古が封じられました。
七花の七花八裂・改が決まります。
倒れる七実。
でも七花は手を抜き、七実の命までは奪いませんでした。
悪刀・鐚を七実の胸から抜き取り、とがめに渡します。
そして、とがめに医者を呼んでくるよう頼みます。

これですべてに決着がついたかに思われましたが、七実が再び立ち上がりました。
悪刀・鐚はとがめの手に渡ったのでもう戦う理由はないはずなのに、あくまで戦うつもりです。
さらに七実は、これまでは悪刀・鐚で自分の強さを調整して鎮静化させ、見稽古で他人の強さをまとって少しでも弱くなろうとしていましたが、本来の力を出すことを決めます。
でもそれは自分の体力の限界を超えることも意味します。

これ以上の戦いに意味はないので、とがめは必死で止めようとします。
七実はそんなとがめを黙らせようと、とがめをカマイタチのような技で攻撃。
とがめの髪をバッサリと切り落してしまいました。
一瞬のことで何が起こったのかわかりません。
次は首を落とすと挑発する七実。
七花はとがめに手を出されたことに激怒します。

このとき仏像の顔がわずかに下を向き、視線も動きました。
以前、錆白兵が散り際に「虚刀流が四季崎記紀(しきざき きき)の遺品」だと言い残したことが語られましたが、仏像を作った10万本の刀の中に988本の変体刀の習作が含まれていて、虚刀流の力に反応しているのかもしれません。

「虚刀流七代目当主・鑢七花。参る!」
「流派なし、無所属。鑢七実。来ませい!」

激しい打ちあいが続きます。
両者とも一歩も引きませんが、やがて七実の体力の限界が迫ります。
七実は、これでやっと七花に殺してもらえると満足しています。
そして気付きました。
「刀が刀を使おうとするとこうなってしまうのか」
刀はその持ち主が武器として使うものです。
自らの体を刀とする虚刀流の人間が、自分の目的のために刀(自分の体)を武器として使おうとすると、悲惨な結末が待ち構えているということでしょうか?
かつて六枝が七実を殺そうとした結果が自らの死だったように。
「なぁんだ父さん、私もやっぱり虚刀流なんじゃない」
七実は自分もやはり虚刀流だったことを自覚します。
「褒めてあげる、七花。よくぞ、よくぞ・・・」
七実は自分が望んでいた死を迎えさせてくれる七花に感謝しようとします。
あるいは、自分を倒すまでに成長した七花のことを誉めようとしたのかもしれません。
でも実際に口から出てきた言葉は「よくも私を殺したわね」
変体刀の毒が少しは影響していたのでしょうか?

いずれにしてもこれで決着し、とがめと七花は七実があくまで戦おうとしていた理由を知りました。
七実はただ七花に殺してほしかっただけなのだということを。
とがめと七花の絆もさらに強くなったようです。

ということで、これで7本目の変体刀が手に入りました。
次回は江戸が舞台。
8本目の変体刀、微刀・釵(びとう・かんざし)を収集します。
からくり人形の形をした刀と対決するようです。
でもこれってもろに刀が刀を使っていることになりますが。。。
虚刀流の謎(?)に迫る話になるのでしょうか?

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2010年05月22日

今週の一本(2010/5/16~5/22)―『刀語』第5話

今回は、とがめの七花に対する想いと、七花のとがめに対する想いがかなりはっきりしてきた回でした。
これまでも、七花から女として見られていないことに不満そうなとがめの描写がありましたが、今回はこの想いがこれまで以上に分かりやすく描かれていたように思います。
一方の七花も、とがめに対してこれまでに経験したことがない感情を抱き始めました。
その感情をどうやって表現したらよいのかわからなくて、とがめに対してかなり子供っぽい対応をしています。
とがめの命令があったため、とがめのことを愛している(と口では言っている)七花ですが、今後は「愛する」ことの意味をもっとしっかり知ることになるのかもしれません。

さらに、とがめとの間にかなりの因縁がありそうな否定姫という新キャラが登場しました。
彼女は尾張にいて、手下の左右田右衛門左衛門にとがめと七花の行動を探らせています。
とがめが薩摩に到着した頃だと聞いて、次の収集対象は賊刀・鎧だと予測。
また、七花がこれまでの度重なる闘いでかすり傷一つ負っていないことから、虚刀流の特筆点は攻撃力よりも防御力にあるのではないかという左右田右衛門左衛門の考えを聞き、とがめたちが今回は手間取るに違いないと考えほくそえみます。
「賊刀・鎧は絶大なる防御力を誇る守りの刀。防御力 対 防御力。さてどうなることかしら。。。」


ということで、刀語 第5話「賊刀・鎧」スタートです。

賊刀・鎧とは、その名のとおり鎧の形状をしている変体刀で、いちおう各パーツの継ぎ目に刃が付いているようです。
所有者は校倉必(あぜくら かなら)。
薩摩の港町を影響下においている鎧海賊団の船長です。

港町に着いたとがめと七花は、たまたま行なわれていた校倉と剛剣士の決闘試合を観戦。
この町では決闘試合を娯楽として楽しんでいるようです。
闘いの結果は校倉の圧勝で、とがめと七花は賊刀・鎧の威力を目の当たりにしました。
そして校倉のほうも、とがめの存在に気付いたようです。

その夜。
とがめと七花は、まずは温泉で旅の疲れを癒やします。
温泉は混浴。
とがめは七花のこれまでの活躍を褒め、七花に感謝します。
めずらしく褒め言葉を口にしたため、七花から「らしくない」と言われたとがめは、ちょっと照れた様子で「そうか?」
このとき不自然に左目を閉じるのは、“十字”になった目を見られたくなかったからでしょうか?

温泉から上がった二人はさっそく賊刀・鎧を手に入れる策を練ります。
とがめはすでに策をいくつか考えていました。
その過激な策に七花は言葉をなくしてしまいます。
最終的に、どの策をとっても一筋縄ではいかないという結論が出たところで一休み。
とがめは七花に迫ります。
それに応えた七花は、とがめの妖しげな声を聞いてなにやら不思議な感覚に襲われます。
「気持ちいい」と言うとがめに対して「俺のほうは心の内壁に変な感覚が芽生えていく感じがあるんだが。。。」

と、ここで予想外の訪問者。
なんと校倉が訪ねてきました。
校倉はまず、日中に一目見たとがめの可憐さを再確認します。
その後、少し雑談してから、校倉はとがめに尋ねます。
自分から賊刀・鎧を奪った後はどうするつもりなのかと。
とがめは海路で尾張にいったん戻ると答えます。
それに対して校倉は、自分が影響力を持つ港から無事に出航できるはずがないとほのめかします。
だから自分の提案を受け入れろということのようです。
校倉の提案は、七花との決闘。
闘技場で見世物として闘うことを要求します。
七花が勝てば、賊刀・鎧を渡して無事に出航させてくれると言っていますが、とがめはどうにも納得いきません。
校倉が刀の毒に侵されたために闘いを求めているのだろうと自分を納得させます。
そして、もし七花が負けた場合はどうなるのかと質問。
これまでに手に入れた4本の変体刀を渡せと言ってくるのだろうとふんでいましたが、校倉の答えはまったく予想外のものでした。
「俺が勝った場合は、とがめ、あんたを貰い受けたい」
とがめはパニック。
「一目惚れだ。俺の女になれ」
七花が負けた場合は、校倉が七花の後釜になって変体刀集めに協力してくれるようです。
だから、七花が勝っても負けてもとがめに損はないだろう、というのが校倉の考え。
とがめの答えはすでに決まっていましたが、その場では回答しませんでした。
即答してしまっては交渉にならないからです。
翌日、とがめは校倉の提案を受け入れます。

でも、その答えがはっきりするまでのあいだ、七花はとがめの心が読めなくて複雑な心境を抱えることになります。
自分の感情を理解できない七花はとがめに「いじわる」するようになってしまいました(^^;
男の子が好きな女の子にいじわるして関心を引こうとするかのように。
ただし七花の場合は、自分がとがめの関心を引こうとしていることすら理解できていません。
七花は、校倉がとがめに気があることを理解していて、校倉が自分の代わりにとがめのパートナーになってしまうことを避けたいと無意識のうちに思っているようです。
とがめは愛で動く人間は裏切らないと信じているので、とがめが校倉をパートナーにしてしまっても不思議ではないと考えています。
七花からこの考えを聞かされたとがめは、七花が自分を“いじめる”理由を理解しました。
「そなたは、でかい図体をしてほんとうに子供みたいなことを・・・」

と、ここで思いもかけない相手から書状が届きます。
差出人は、実質的な真庭忍軍の頭・真庭鳳凰。
呼び出しに応じて指定場所に行ったとがめは、思わぬ申し出を受けることになります。
一時休戦して双方が別の変体刀を集めようという申し出です。
現場で衝突することを避けて効率よく変体刀を集めるため。
とがめはいろいろと考えをめぐらせたすえに、最終的にこの申し出を受け入れます。
そして、自分たちが次にめざすのは双刀・鎚(そうとう・かなづち)であることを伝えます。
とがめが在りかを知っている最後の一振りです。
すると鳳凰は、残りの変体刀のうちの三振りが陸奥、出羽、江戸にあるらしいと言ってきました。
真庭忍軍はこの三振りを集めるから、とがめたちはこれ以外の変体刀を集めろということなのでしょう。
交渉成立です。
さらに鳳凰は、尾張で否定姫が動き始めていることをとがめに伝えます。
これを聞いたとがめは取り乱し、否定姫が何をしようとしているのか鳳凰に尋ねます。
鳳凰は早急に手を打つことを勧めるだけです。
これで鳳凰は立ち去ろうとしますが、ふと思い出したようにとがめの間違いを指摘します。
「おぬしはよく“ちぇりお”と言って部下を殴っていたらしいな。我は何かおかしいと思っていたのだが、この薩摩に来てやっと分かった。あれは“チェスト”が正しい」
とがめはあまりの恥ずかしさに大暴走。
実は七花も間違いに気付いていたようですが、とがめが自信満々に“ちぇりお”と言っているので、自分の思い違いかもしれないと思って今まで黙っていたようです。


七花と校倉の決闘当日。
七花は、虚刀流の奥義を使って、鎧に傷をつけずに校倉にだけダメージを与えて、一撃で倒すつもりでした。
ところが、鎧には虚刀流の奥義が効きません。
七花は「覚悟を決めて鎧の餌食になれ」という校倉の言葉にあっさりと戦意を喪失してしまいます。
ここでとがめの喝。
「虚刀流の技がたった一つ通じなかったからどうした! 虚刀流が使えないからなんだ! 鎧などなくとも、そなたには20年間鍛え続けた鋼の肉体があるではないか! そなたが私に惚れているというのなら、力ずくで私を守ってみせろ!」
この言葉で七花は再びやる気を取り戻しました。
自分が守るべきものを再認識。
「きわめて了解」
七花は虚刀流・一の構えをとりますが、技を繰り出そうとはしません。
冒頭の校倉と剛剣士との決闘で、校倉が賊刀・鎧の強靭さを活かし、相手に突進して弾き飛ばす戦法をとっていたことを憶えていたようです。
賊刀・鎧は攻撃型の武器ではなくて防御型の武器なので、これが唯一といってもいい攻撃方法なのでしょう。
一の構え「鈴蘭」は地面にどっしりと腰を据える構えのようなので、七花は自分の力を信じて校倉を受け止めようとしています。
「守るものがあるヤツは強いんだぜ」
校倉の突進は、それを抑えようとする七花を押して闘技場を突き抜けてしまうほど強烈なものでした。
でも七花はこの強烈な攻撃を抑えきります。
「体が大きければ強い。けれど大きいほうが強いってわけじゃねぇ」
七花は校倉を真上に抱え上げて空高く放り投げます。
校倉は落下の衝撃に耐えられず、これで勝負が決まりました。
とがめはこの決闘の前に、可能であれば校倉を殺さず、再起不能となるような怪我も負わせずに勝ってほしいと七花に言っていました。
これまでの戦いでは、虚刀流の技は一撃必殺といってしまっていいほど強力なものだったので、この要求をかなえるのはかなり難しいように思えます。
とがめは、虚刀流の技では賊刀・鎧に打ち勝つことができないかもしれないと考え、虚刀流を使わずに勝ってほしいと伝えたかったのかもしれません。
七花の鍛え上げられた体だけで十分勝利できるとふんでいたのでしょう。
七花は、虚刀流を使う自分の体そのものを武器としていましたが、虚刀流を使わなくても一人の人間として戦うことができることに気付きました。
七花はこのことに気付かせてくれた校倉に感謝しますが、とがめにちょっかいを出したことは怒っています。
地面に倒れる校倉への最後の言葉は「俺の女に手を出すな!」でした。

賊刀・鎧を手に入れたとがめと七花は、無事に港町を後にします。
なんら妨害を受けることなく出航することができました。
とがめと七花が船に乗り込む前に、とがめが校倉の死んだ妹に似ていると話してくれた海賊は、鎧を脱いだ校倉でしょうか?
最後に一目とがめを見に来たのかもしれません。
でも、七花にとがめをとられたことがかなり悔しかったようで、船の行き先は尾張ではなくて蝦夷でした(^^;


次回は「双刀・鎚(そうとう・かなづち)」
双刀・鎚は蝦夷にあるのでしょうか?
いったん尾張に戻るという予定は変更になったけれど、蝦夷に行くこと自体に問題はなかったのかもしれません。
でも次回予告を観る限り、鳳凰も蝦夷に行っているようです。
一時休戦の約束はどうなったのでしょうか?

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2010年04月17日

今週の一本(2010/4/11~4/17)―『刀語』第4話

錆白兵からの果たし状を受け取るところから始まり、鎖骨責めで悶える楊楊(ヤンヤン)の登場(?)、その後本編が展開して、最後はサブタイトルの付け方に疑問を呈するナレーションで締めくくった今回のエピソード。
七花ととがめは、見事に4本目の変体刀、薄刀・針を手に入れました。
前回の次回予告どおり、錆白兵との白熱の戦いが繰り広げられたようです。
が、その場面の描写は一切なし(^^;
無残に破壊されつくした巌流島の遠景がわずかに描かれただけです。
今回のメインは、この戦いの裏で起こっていた七花の姉・七実の才能と力を見せることでした。
七実のシーンが多いから、錆白兵との戦いは次回に持ち越しなのかなと思いながら観ていたので、ラストで七花ととがめの和やかな会話が始まったときは大爆笑でした(^^;


本編。

虚刀流と関わりを持ったとたんに次々と命を落していく真庭忍軍の頭領たち。
すでに3人が死んでいて、真庭忍軍はかませ犬呼ばわりされています。
そこで動き出したのが、蟷螂、蝶々、蜜蜂の真庭虫組3人衆。
蝶のように舞い、蜂のように刺し、蟷螂のように喰らう、実力者ぞろいのようです。
七実を人質にとって七花との戦いを有利に進めるため、七実のいる不承島(ふしょうじま)にやって来ました。

さっそく、まずは蟷螂が動きます。
臙脂水晶(えんじすいしょう)を残して1人で七実の元に向かう蟷螂。
七実を見つけた蟷螂は、忍法爪合わせを使って七実の背後から急襲します。
この忍法では、自分の意志で爪を伸縮させることができ、伸ばした爪は刃物と同じ強度があるようです。
奇襲したはずの蟷螂ですが、逆にあっという間に気絶させられて木に縛り付けられてしまいました。
意識を取り戻した蟷螂は、奥歯に仕込んであった毒薬で自決しようとします。
ところが毒薬はすでに七実が没収済み。
さらに七実は、蟷螂の手から爪を剥いでいました。
でも剥いだのはなぜか片手の5本だけ。

「せっかくだから選んでいただけないでしょうか」
「選ぶとは何を。私に何を選べと言うのか」
「だから、だまって死ぬか、しゃべって死ぬか」
七実は、蟷螂を殺すことを前提で、必要な情報を聞き出そうとします。

でも七実の洞察力はなかなかのようで、真庭忍軍が自分の元にやってきた理由については、すでにだいたいの推測がついていました。
また、やって来たのが蟷螂だけではなく、他に何人か仲間がいることもお見通しです。
だから本当は蟷螂から直接話を聞く必要はなかったのですが、七実は剥ぎ取った爪で蟷螂を脅して話を聞きだそうとします。
追い詰められた蟷螂は、爪が残っているほうの手で剥がされた爪を再生させて爪合わせを発動。
七実はこれを待っていました。
爪合わせが発動する様子を見ることができたので、蟷螂はもう用無しです。
七実は躊躇うことなく蟷螂の息の根を止めます。

蟷螂の断末魔の目に宿る恐怖を見た七実は、父・六枝の目にもこれと同じものを見たことを思い出します。
かつて六枝は「こうなってしまえば、俺はもう現役を引退せざるをえない」と言って、虚刀流七代目の座を七実ではなく七花に譲りました。
七花を選んだ理由は、七実のような「例外的に強い人間を育てることはできない」から。
もしかすると、その頃に六枝が七実に恐怖を抱くような出来事があったのかもしれません。
引退せざるをえなかったのもそれが原因かも。

一方、蟷螂の帰りを待つ蝶々と蜜蜂。
そんな2人の目の前で、蟷螂が残していった臙脂水晶が真っ二つに割れます。
蟷螂が敗北したとは考えたくない2人ですが、とりあえず今度は蝶々が七実を拉致するために動きます。
でもその前に、ちょっとくさい芝居が始まってしまいました(^^;
2人の熱い友情(?)を見せたあと、蝶々がこの任務が終わったら結婚すると言い出したり、戦いに向かう前に一服しようとしたり、死亡フラグを立てまくります。
ちなみにここで蝶々が吸おうとするタバコの銘柄は「舞流怒(まいるど)」のようです。
不吉なものを感じた蜜蜂は、蝶々がタバコを吸うのだけは止めることができました(^^;


その後、蝶々は七実を見つけて忍び寄ります。
でもあっさりと気配を察知されてしまいました。
そしてさっそく2人の戦いが開始。
七実は蝶々の「重さを消失させる偉業の技」(忍法足軽)をしっかりと目にし、さらに饒舌な蝶々による解説も耳にして、感嘆を示します。
でもその感嘆は、蝶々の技そのものに対してではなく、その技を習得するまでに要した時間と努力に対してのもの。
技を磨く努力ができることをうらやんでいます。
蝶々は七実を倒すため再度技を繰り出しますが、逆にその技で七実に追い込まれてしまいます。
そして最後は爪合わせで止めを刺されることに。
七実は蝶々や蟷螂が人生のほとんどをかけて身に付けた忍法を、一度目にしただけで自分のものにしてしまいました。

ここで七実の能力の一端が明らかになります。
七実が虚刀流の技を使えるのは、七花の修行の様子を見ていたからでした。
一回見れば大抵のことは憶えられ、二回見れば磐石。
見稽古ですべてをものにできるのが七実の能力のようです。

残るは蜜蜂ただ1人。
七実は蝶々の仲間が今の戦いを監視していたことを見抜いていて、その仲間に呼びかけます。
「そろそろ出てきませんか?」
このとき発作が起こり、七実は咳き込んでしまいます。
この機を逃さず、すかさず撒菱指弾(まきびししだん)を放つ蜜蜂。
七実はこれを背中に受けてしまいます。
撒菱には毒が塗ってありました。
人が死ぬほどの猛毒ではなかったようですが、普通ならすでに話すことすらできないはずなのに、七実はまだ蜜蜂と会話を続けることができます。
蜜蜂は念のため、撒菱指弾をもう一発放ちます。
七実はこれを今度は腹に受けて倒れこみます。
でも同時に、蜜蜂の技も目に焼き付けました。

蜜蜂は七実の実力が自分の力を上回っていることを知っているので、反撃されないように両腕を切り落とそうと刀を振り下ろします。
ところが七実は、忍法足軽でこれをかわし、撒菱指弾で反撃。
自分の腹に打ち込まれた撒菱を、忍法爪合わせで伸ばした爪で肉ごと抉り取って使ったようです。
毒が回って倒れたように見えたのは演技でした。
人が死なない程度の毒ではほとんど効果がありません。
その程度の苦痛は、七実にとっては日常のこと。
いつ死んでもおかしくないような病を患っているのに死ぬことができない体。
七実の体にはどうやら特殊な力も備わっているようです。
七実の反撃を受けた蜜蜂は、自分もこの程度の毒なら大丈夫だといきがります。
でも七実は、撒菱に新たに毒を塗っていました。
蟷螂の奥歯から没収した自決用の毒を。
蜜蜂はもがき苦しみます。
七実は蜜蜂の刀を手にして最後の選択を迫ります。
「毒で死ぬか、刀で死ぬか」
七実は今回の戦いで、虫組3人の忍法だけでなく、刀の使い方まで憶えてしまいました。
蜜蜂は毒で死ぬことよりも、刀で斬られることを選びます。
七実はそれを了承し、はなむけに七花が編み出した虚刀流最終奥義を披露してから蜜蜂を倒しました。

真庭虫組、不承島にて全滅。蝶のように舞い、蜂のように刺し、蟷螂のように喰らい、虫のように死んで――。

七実はこのとき最終奥義の弱点に気付いたようです。
早く七花に教えてあげないと大変なことになると考えた七実は、少し考えてから今後の行動を決めます。
「私も混ぜてもらおうかな、刀集め」
冒頭でとがめが、剣士であればあるほど四季崎の刀の毒は深く体中に回ると言っていました。
七実は修行はしていませんが、その実力と能力は剣士(拳士?)といってしまってかまわないように思います。
七実が変体刀を手にしたとき、彼女にも何か変化が現れるのでしょうか。


場面変わって、七花ととがめ。
「しかし、それにしても大変な戦いだった」
「ああ、大変な戦いだった」
なんと錆白兵との戦いが決着しています(^^;
ここから延々と、壮絶だった(と思われる)戦いについて、2人の感想が語られます。
とがめの奇策や数々のすごい技が繰り出された迫真の戦いだったようです。
視聴者は、その思わせぶりなセリフの数々にじらされるだけ(^^;
でも、このセリフの中には、今後の展開で重要になりそうな言葉もありました。
錆白兵が散り際に「虚刀流が四季崎記紀(しきざき きき)の遺品」だと言い残したようです。


ということで、「題目そのものに突っ込みどころ満載」な今回のエピソードはこれにて終了。

次は薩摩で海賊相手に賊刀・鎧(ぞくとう・よろい)をめぐる戦いが繰り広げられるようです。

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2010年02月11日

今週の一本(2010/2/7~2/13)―『刀語』第2話

ラストの「今月今宵のお楽しみはここまで」という語りが入るタイミングにおもいっきり違和感があったことを除けば、今回もなかなか楽しめる内容でした。
前半の延々と続くとがめと七花の会話はいい味が出ていたし、それとはがらりと雰囲気が変わる後半の剣士 vs 剣士(拳士?)の戦いも熱かったです。

作中では第1話の時点から1ヶ月経過したようです。
実際の季節変化に合わせて作中の季節も変わっていくのでしょうか?

とがめは、何かの間違いで七花に攻撃されてしまわないように、自分の匂いと味を七花に憶えさせようとしています(^^;
でも残念ながら、20年間にわたって刷り込まれた習性はたかだか1ヶ月では矯正できないようで、七花はまだとがめを完全に識別できていません。
同じ背丈の女の子をとがめだと間違えていました。

そんなエピソードを挟みながら刀集めの旅は続きます。

とがめが次に手に入れようとしているのは、斬刀・鈍(ざんとう・なまくら)。
旧将軍が刀狩令を出したときの所有者は鳥取藩主に仕えた武士・宇練金閣(うねり きんかく)でした。
彼は斬刀の提出を拒んで一万を超える将軍の兵団を倒しました。
そんな金閣の10代目の子孫が斬刀の現在の所有者です。
名前は宇練銀閣(うねり ぎんかく)。

とがめと七花は、銀閣がいる下酷城を目指して砂漠化した因幡にやって来ました。
砂漠を進む2人の会話が延々と続きます。

やがて、刀集めの報告書を少しでも面白くして読者の興味をひきつけるため、七花の口癖を考えることに。
ちなみに、とがめを裏切った剣士・錆白兵(さび はくへい)の口癖は「拙者にときめいてもらうでござる」
なかなか個性的です(^^;

とがめは口癖候補をいくつか考えていました。
「ほら俺って、誰よりも神から愛されてるじゃん」
「どうやらあんた島流しにされたいようだな」

七花は不毛な会話が続くことにうんざりしている様子です。

「ただしその頃にはあんたは八つ裂きになっているだろうけどな」

七花 「ああ、もうそれでいい。それでいこう」
この不毛なやりとりを少しでも早く終わらせたいから、かなり投げやりな返答で口癖を決定してしまいました。

これで8分30秒に及んだ砂漠での会話も一段落。
さっそく七花がこの口癖を使う場面がやってきます。
この調子なら夕方には目的地に着きそうだと言うとがめに対し、「ただしその頃にはあんたは八つ裂きになっているだろうけどな」

状況を読まない七花に呆れたとがめは「ちぇりおー!」
七花の腹にパンチを一発お見舞いします。
この「ちぇりお」はとがめの口癖らしく、薩摩藩あたりで流行している気合を入れるための掛け声だそうです。
気合を入れる言葉のわりに発音が可愛いだろうと自慢げに語るとがめですが、どうやらこれはとがめの勘違いで、正しくは「チェスト」
ちぇりお(cherio)は、「それじゃね」とか「またね」とかいう意味で、主にイギリスで使われているかなり砕けた口語表現。
ということは、次回予告でとがめが最後に「ちぇりお」と言うのは正しい用法なんですね。


そんなこんなで、日が沈みかけた頃に2人は下酷城に到着します。
寂れた城内に入ったとがめと七花は、さっそく宇練銀閣と対面。
とがめは斬刀を譲ってほしいと頼みますが、銀閣がそれに応じる様子はありません。
敷居越しに話すとがめに対して、礼を失しているから部屋の中に入って話すよう促します。
銀閣の言うことはもっともなので、とがめは部屋に入ろうとしますが・・・。
七花は、銀閣が刀を抜こうとしていることに気付きました。
とっさに虚刀流の技でとがめを引き戻します。
とがめは突然の出来事に驚いて怒り出してしまいますが、そのとき、着ていた服の胸元が切り開かれます。

七花 「居合い抜きか?」
銀閣 「びっくりした。この斬刀を手にして以来、俺の零閃(ぜろせん)がかわされたのは初めてだぜ」

銀閣には斬刀を手放すつもりはまったくないようです。
先祖が主君や将軍を敵に回してまで守り抜いた刀をあっさり渡してしまうことはできないと言って、とがめの申し出を拒否します。

ここからはもう、緊張感溢れるBGMと銀閣の渋さに画面から目が離せなくなってしまいました。

この後に七花ととがめの作戦立案シーンが挿入されますが、コミカルなやり取りの中でも戦いに勝利しようとする七花の真剣さがしっかり伝わってくるいいシーンでした。

そしていよいよ最終決戦。
銀閣は、七花の構えを見るなり失望してしまいます。
自分が刀を抜くよりも早く自分を押さえ込もうとしているのだと思ったようです。
ところが七花の作戦は、残像を利用して零閃をかわし、銀閣に一撃喰らわせることでした。
残念ながら実戦経験のない七花はビビッてしまい、一撃で致命傷を負わせることはできませんでしたが、銀閣は2度も零閃をかわした虚刀流のすごさに驚かされます。

「びっくりした。2回続けばもうまぐれじゃねえやなぁ。すっかり目が覚めちまったよ、虚刀流」

そして本気を出す銀閣。
自分で自分の肩を斬り、流れ出した血で鞘内を湿らせ、鞘走りの速度を上げて、零閃の連撃を可能にします。
七花の残像攻撃は通用しなくなりました。

とがめはここで戦術的撤退を提案します。
このまま放っておけば銀閣は出血多量で自滅するから。
でも七花はそれを拒否。
「そんなの勝利とは言わん」
七花は奥の手を隠していた自分を恥じます。
そして、虚刀流のすべてを出して真剣勝負することを誓います。

最後の戦いを前に、銀閣はとがめに1つだけ確認。
斬刀を渡せば望みを叶えると言っていたが、因幡の地を元通りにしてもらうことはできるのかと。
とがめは、それは無理だと即答します。
鳥取藩は幕府にとっては存在しない藩になっているし、砂漠化した土地を元に戻すこともできないと。
それを聞いた銀閣は、最初にとがめを斬りつけた自分の判断が正しかったことに安心します。
剣士として、守るべきもののために戦う自分の判断が正しかったことに。
銀閣にとって守るべきものとは斬刀です。
本来なら自分の主君を守るために戦うのが筋なのでしょうが、彼には斬刀くらいしか残されていませんでした。
もしかしたら、銀閣はそれが虚しいことだと理解しているのかもしれませんが、それでも「守るべきもの」のために戦うのが剣士の宿命。

七花 「じゃあ、行くぜ」
銀閣 「あぁ、零閃はいついつでも出撃可能だ。光速を超えた零閃を見るがいい。そして、もしも本当にそんなものがあるのなら、お前も奥の手とやらを見せてみろ」
七花 「あぁ、見せてやる。ただしその頃にはあんたは八つ裂きになっているだろうけどな」
七花が再び口癖を披露しました。
今度は最初に使ったときの投げやり感とは対照的に、かなりグッとくるかっこよさ。

この後、戦いは七花の勝利で決着します。
銀閣は零閃の10連撃というとんでもない技を繰り出してきましたが、七花は居合い抜きの死角を突いて一撃で銀閣を倒しました。

倒された銀閣は、散り際の一言を口にします。
「これでやっと、ぐっすり眠れる」
剣士としての生を終え、守るべきものを奪いに来る輩に備える必要も無くなり、やっと平穏なときが訪れました。


ということで今回は終了。
前座で逆さしゃべりの真庭白鷺(まにわ しらさぎ)というキャラも登場しましたが、なんだかよくわからないキャラなので上では触れませんでした。
逆さしゃべりに何の意味があったんでしょうね(^^;
それはともかく、今回もセリフ回しが冴え渡っていました。
次回が待ち遠しいです。

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2010年01月31日

今週の一本(2010/1/24~1/30)―『刀語』第1話

全12巻の原作小説を毎月1回・1時間で12ヶ月かけてアニメ化していくということだったので、かなり無理があるように思っていたのですが、第1話はなかなかうまくまとまっていました。
本土から来たキャラのセリフが多めでしたが、長い間孤島で暮らしてきた姉弟と、雑多な人たちの中でもまれてきたであろう本土キャラの違いをうまく出せていたと思います。
そんなキャラたちの間で交わされる、軽妙なセリフ回しも楽しかったです。
「虚刀流(きょとうりゅう)七代目当主、鑢七花(やすり しちか)――押して参る!」から始まる終盤の盛り上げも素晴らしくて、けっこうツボにはまりました。

本編は、自称・奇策士のとがめが、父親の無念を晴らすために、かつて四季崎(しきざき)という刀鍛冶が打った変体刀(へんたいとう)を集めるための仲間を求めて、ある孤島にやってくるところから始まります。

四季崎は戦国時代の人だそうです。
彼は1000本の刀を打って全国にばら撒きました。
そのうちの988本は習作で、本当に価値があるのは残りの12本。
鉋(かんな)、鈍(なまくら)、金殺(つるぎ)、針(はり)、鎧(よろい)、鎚(かなづち)、鐚(びた)、釵(かんざし)、鋸(のこぎり)、銓(はかり)、鍍(めっき)、銃(じゅう)。
とがめが集めようとしているのがこの12本です。

とがめは、金で動く人間にも名誉で動く人間にも裏切られた末に、虚刀流の剣士を求めて孤島にやってきました。
虚刀流の剣士は刀を使わないので、四季崎の刀を所有することを名誉と思うことはなく、金で動くこともないから。
孤島で暮らしていたのは、虚刀流七代目当主の鑢七花と、彼の姉の七実(ななみ)でした。

七花は面倒がって協力を拒みます。
そこでとがめは、七花に協力してもらうため、とんでもないことを言い出します。
「鑢七花、私に惚れていいぞ」
愛で動く人間は信用できる(という裏付けがあるのかどうか定かではない理由)から、無理やり恋愛感情を芽生えさせて協力させるつもりのようです。
さすが奇策士(^^;

この突拍子もない発言に意表を突かれたのが真庭蝙蝠(まにわ こうもり)。
とがめを裏切った、金で動く忍者です。
彼は絶刀・鉋(ぜっとう・かんな)を手に入れた後にとがめを裏切って姿を消していましたが、残りの11本のありかを探るため、とがめの後を追ってきました。
とがめの発言に驚いた拍子に手裏剣を発射してしまい、七花の家を破壊してしまいます。
これに怒った七花が彼の後を追い、最初の対決が開始。

蝙蝠は奇人変人ぶりを見せ付けて七花を翻弄しますが、それをものともしない七花と真っ当に戦っても勝てないと思ったのか、一瞬の隙を突き、駆けつけたとがめをさらって撤退してしまいます。

その後、蝙蝠はとがめを大木に縛り付け、とがめに化けます。
姿形を変えて文字通り化ける様子はかなりグロテスク。

とがめに化けた蝙蝠は、とがめを捜している七花を発見します。
とがめの姿で油断させてひとおもいに倒してしまおうと駆け寄りますが。。。
いきなり七花のケリをくらってしまいました(^^;
七花はこれまで長い間姉以外の人と接することなく過ごしてきたため、他人の外見をとっさに識別できないようです。

ケリをくらった蝙蝠は、体内に隠していた鉋を思わず吐き出してしまい、七花に正体がバレてしまいました。
蝙蝠は七花がとがめに協力するのを阻止しようと、とがめについて語りだします。
とがめは自分の出世のために七花を利用しようとしているだけだと。
「初めて会ったとき俺はゾッとしたもんだぜ。この女の目に宿っていた野心にな」
さらに、とがめが、かつて七花の父親に倒された大乱の首謀者・飛騨鷹比等(ひだ たかひと)の娘だということも。

でも、七花にとって他人の出世などという世俗的なことはどうでもいいことでした。
また、とがめが飛騨鷹比等の娘だと知ったことで、金や名誉のためではなく、ただとがめのためだけに刀を集めようという意志を固めてしまいました。
父親の仇(の息子)に頼んででも刀を手に入れたいという熱意にうたれたのか、あるいは、理由はどうあれ、自分の父親が奪った命の償いをしたいと考えたのか。

ここで蝙蝠は、今度は七花に化けます。
七花の目の前で。
この「化ける」という行為は、化けた相手の外観そっくりになれるというだけではなく、その人の身体的能力も手に入れられるようです。
七花に化けた蝙蝠は、先ほど吐き出してしまった鉋を手に取り、刀のぶんだけ自分のほうが強くなったとすごみます。

それに対する七花は、とがめの秘密を知る人がほかにもいるのか確認。
蝙蝠は「こんなとびっきりの情報、簡単に漏らすかよ」

「じゃああんたをきっちり倒せばそれでいいんだな」
「虚刀流七代目当主、鑢七花――押して参る!」
全力全開、本気の七花が蝙蝠と対峙します。

蝙蝠は余裕しゃくしゃくで刀を振り下ろそうとしますが、なぜか手から刀がすっぽ抜けてしまいました。
虚刀流の人間は刀を使わないのではなく、剣術の才能がないために刀を使えないから(^^;
ということで、この対決は七花の圧勝で終了しました。

その後、七花は大木に縛り付けられているとがめを見つけて救出します。
七花が現れたとき、とがめの左目の描かれ方が変わりました。
まだ終わりじゃなかったと希望が持てたためでしょうか。
これを見た七花が一言。
「あいつが言ってたのはそういう目のことか。俺にはキラキラ光って、ずいぶんと綺麗に見えるけどな」

蝙蝠が言っていた、とがめの目に宿る野心というのがこの左目の十字表現だと思いますが、今回のエピソードではこのシーンを含めて合計7回、左目が十字になる箇所がありました。

(1)父親が虚刀流・六代目に倒される場面を目撃したとき
(2)鑢七花の腕前を試そうとして刀を抜いて向かっていくとき
(3)「私に惚れていいぞ」のとき
(4)鉋をへし折るという七花の言葉を聞いて慌てたとき
(5)大木に縛り付けられ、こんなところで死ななければならないのかと悔やんでいるとき
(6)縄が絡んで身動きできないところに七花が現れたとき
(7)七花の身を案じて「そなた自身を守れ」と言うとき

こうして見ると、野心を表すためだけではなく、おもわず素の心が表に出てしまったときにも、とがめの左目の表現が変わるようです。
十字形であることにも深い意味があるのかもしれません。


こうして七花はとがめに協力することになり、孤島を出て本土に向かうことになりました。
本土に向かう小舟の上で、とがめは七花に4つの指示を出します。

1つ目。
「刀は折るな」
了解。俺は刀を守ろう。

2つ目。
「私を守れ。四季崎の刀集めが目的といっても私が死んではなんにもならん」
了解。俺はあんたを守ろう。

3つ目。
「そなた自身を守れ。これはそなたをおもんばかって言っているわけではないぞ。四季崎の刀を12本集めるまで、死ぬことを許さぬ」
了解。俺は俺自身を守ろう。

そして4つ目。
「そなた自身を守れ。これはまあ、そなたをおもんばかって言っているわけだ。死ぬな。厳しい旅程にはなるが、決して死ぬな。できるな?できんとは言わさんぞ。早く了解と言え」
きわめて了解。


そしてラスト。
島に残った七実が一言つぶやきます。
「あの子あんなに弱いのに大丈夫かしら?」

この「あの子」というのが誰のことなのかはっきりしません。
七実は、これまで何度か七花のことを「あの子」と言っているので、七花のことだと考えるのが自然なような気もしますが、20年間もまじめに修行してきた七花が弱いとは思えません。
蝙蝠がおもわず発射してしまった手裏剣にいち早く気付いたのは七実なので、もしかすると七実の体が弱いというのは演技で、本当はものすごく強くて、自分と比べて七花が弱いから心配だという意味なのでしょうか?
それとも、「あの子」というのはとがめのことでしょうか?
とがめは「手裏剣がかすっただけで死ぬくらいひ弱」らしいので、七実はそのことを敏感に感じ取ったのかもしれません。
いずれにしても、なんだか意味深なセリフのように思えます。


ということで、これはセリフ回しで楽しませてくれる見ごたえのある作品になりそうです。
原作に書かれている要素をアニメ版にすべて詰め込むことはできないと思うので、うまく端折ってアニメ版だけで完結する(原作を読まなくても理解できる)展開になることを期待します。

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