2010年03月27日

今週の一本(2010/3/21~3/27)―『のだめカンタービレ フィナーレ』第11話

いよいよ最終回。
サブタイトルもそれにふさわしく「La Dernière Leçon」(The Last Lesson)です。

のだめはシュトレーゼマンとの共演以来、プロとして活動する気を完全に失っています。
アパルトマンにマルレオケの団員の子供や近所の子供を集めてベビーシットの毎日。
昔からの夢だった幼稚園の先生状態です。

そんなのだめの様子を写したムービーを黒木くんから受け取った千秋は、のだめを音楽の世界に引き戻すため、のだめのもとに向かっています。
でも、タクシーの中でムービーを見返した千秋の心は揺れます。
のだめのあまりに活き活きした様子を見て、考えが変わり始めているようです。

アパルトマンに辿り着いた千秋が耳にしたのは、のだめが子供たちを前に演奏するモーツァルトの「きらきら星変奏曲」。
これで千秋の考えは完全に変わりました。
「やっぱりこれでいいんだ。
いつまでも無理して辛い道を行かせなくても。
あいつのピアノだって、一緒にいればいつだって俺はこうして聴ける」

のだめは気分が乗ってきて、以前のようなオリジナリティー溢れる演奏を始めます。
それを聴いた子供たちに曲が少しおかしいと指摘されたのだめ。
子供たちにバカにされて本気を出します。
今度はベートーヴェンの「ピアノソナタ第31番」です。
第6話で千秋と一緒に練習した曲。

ちょうどそのとき、千秋がのだめの部屋の前にやってきました。
のだめの演奏を聴いた千秋の動きが止まります。
その素晴らしさに、自然と涙が溢れてくる千秋。
「それでも、俺はやっぱり・・・何度でもあいつをあの舞台に連れて行きたいと思うんだ。このピアノを聴くたびに・・・」
やはりこのままのだめを普通の生活に戻してしまうことはできないと、千秋の心が再度変わります。

部屋に飛び込んだ千秋は、自分と一緒にコンチェルトをやろうとのだめに「告白」
ところがのだめは即答できっぱりと「嫌です!」
のだめは、シュトレーゼマンとの共演での演奏以上のものができるはずがないと思い込んでいます。
「一番大事な先輩とのコンチェルトがもしだめだったらと思うと、先輩のことも好きじゃいられなくなりそうで」
千秋の価値は、自分が満足できる演奏をさせてくれることだけということでしょうか(^^;

「もういい。わかった」
これまでの千秋なら、ここで1人で部屋を出て行ったはず。
でも今回は違います。
「来い!」と言ってのだめの腕をつかみ、どこかに連れ出します。

着いた先はニナの家。
ピアノが2台置かれている部屋まで引っ張っていき、モーツァルトの「2台のピアノのためのソナタ」を一緒に弾こうと言います。
この曲は、1期の第1話で初めて2人で弾いた曲です。

のだめは「あのときののだめと今ののだめは違いますよ。しかも先輩の錆びついたピアノじゃあ」と、あくまで拒否する姿勢。
結局、千秋に押されて演奏することになりますが、初めのうちは一人で突っ走るような演奏をし、千秋は必死にそれに合わせようとします。
のだめはそんな千秋の演奏に気付きます。
そして、突っ走るのをやめ、千秋との「共演」を意識した弾き方に変えたようです。
これまでののだめなら絶対にありえないことです。
でもまだまだこういう弾き方に慣れていないので、終楽章で大きく崩れてしまいました。

千秋は相変わらずなのだめに不満たらたらですが、のだめはそんな小言はお構いなし。
「先輩の背中、飛びつきたくてドキドキ。
これってフォーリンラブですか?」
と、またまた1期をなぞるようなセリフ回し。
1期の第1話でこのセリフに対する千秋の反応は「断じて違う!」でした。
ところが今回は、飛びついてくるのだめを正面から受け止めて抱きしめます。

この演奏がきっかけで、のだめの考えが大きく変わりました。
千秋との共演だけが夢だったこれまでとは違い、「音楽」そのものと真剣に向き合うつもりになったようです。


その後、のだめは無事にオクレール先生のクラスに復帰できました。
オクレール先生は復帰を認める前にちょっと意地悪な対応をしていましたが、のだめの反応を見て、のだめのやる気を確認できたようです。

さらにその後。
今度はリュカと歓談するのだめ。
音楽を続けることや音楽の楽しみについて話していたようです。
のだめは、リュカの質問にこう答えます。
「それは、千秋先輩とだけじゃなくて、世界中、そんなのがいっぱいあるはずだってわかったから。
海の向こう岸があると思うと、やっぱり人は漕ぎ出しちゃうんですよ」

リュカにはまだこの答えの意味がよくわからないようです。
家庭教師が来る時間になったのでリュカは帰ってしまいますが、帰り際にのだめが1つ質問します。
普通の学校に通って、音楽以外のことをやろうとは思わなかったのかと。
リュカの答えは、自分が音楽を大好きだから音楽を続けているという、とても単純で純粋なものでした。
のだめは、そんな単純な動機でもまったくかまわないんだと再確認できたのかもしれません。
リュカを見送って静かに微笑みます。

最後の締めは、サン・マロのブノワ家でのリサイタル。
「楽しんで弾くので、頑張って聴いてください」
変わらなければならないところはしっかり変わって、変わらなくてもいいところは以前のまま。
そんなのだめの姿を最後に『のだめカンタービレ』は幕を閉じました。

今期の出だしはかなり駆け足気味でどうなることかと思いましたが、話が進むにつれてのだめの成長に焦点が当たるようになり、しっかりとしたストーリーを展開してくれました。
終わりよければすべて良し、ということで、当初の期待を裏切らないなかなかの出来だったように思います。

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2010年03月13日

今週の一本(2010/3/7~3/13)―『のだめカンタービレ フィナーレ』第9話

「もう、元には戻れないような気がする。何もかも――」

のだめがついにシュトレーゼマンのロンドン公演でデビューです。
その演奏を聴いた千秋は、のだめとの関係がこれから大きく変わっていくことを感じとりました。

ということで、今回は完全にのだめにスポットを当てて、天才のだめを描ききっていました。
何度も書くけど、1期、2期とヌルヌル感があってものすごい違和感があった演奏シーンの出来も素晴らしかったです。

一つだけ残念だったのは、エリーゼの声が合っていないような気がしたことでしょうか。
声を当てているのは1期と同じ川上とも子さんですが、2期の佐久間紅美さんの印象が強いのでかなり違和感がありました。
登場回数でいえば1期=2回、2期=3回と大差ないんですけどね。


さて、本編。

のだめは「原因不明のたいしたことない病気」のため、コンセルヴァトワールを欠席して行方不明に。
そのことを知った千秋は、知り合いに電話をかけまくります。
1期の懐かしい面々もチラリと登場です。
それにしても、峰と清良の関係はまだ続いてたんですね(^^;

その頃のだめは、シュトレーゼマンのロンドン公演でのデビューに向けてリハーサル中でした。
シュトレーゼマンからのだめを紹介されたオケメンバーは戸惑います。
女好きの巨匠が恋人(愛人?)を連れてきたのか?
でも、彼らの目には日本人の容姿は年齢よりも若く見えるので、20歳を超えているとはいえ、のだめはまだまだ子供。

対するのだめはどうかというと、まだあまり乗り気ではないようです。
ところが、実際にリハーサルが始まってオケの音を聴くと、俄然やる気を出します。
「のだめ、もっとガツンといきたくなったんで、オケもガツンときてください」

オケメンバーも、のだめのピアノの音を聴き、巨匠に躊躇いもなく指示出しする様子を見て、「よくわからない子供」という先ほどの認識を180度転換します。

シュトレーゼマンものだめの成長ぶりに大満足なようです。

一方、エリーゼは、のだめの実力が想像以上だったので、コンサート後の広報活動に備えてのだめのプロフィールを作成。

のだめのプロフィール(自己申告)
年齢:20歳
出身地:東京
学歴:桃ヶ丘音大卒業、パリコンセルヴァトワール主席卒業
受賞歴:カレー南蛮コンクール第1位
スリーサイズ:B88、W56、H87

一応、裏を取るために千秋に電話で確認しますが。。。。
「誰ですかそれ?」
「やっぱスリーサイズは嘘よね」
「全部嘘だろ!!」

実際はこんな感じでしょうか。
のだめのプロフィール(実際)
年齢:22歳か23歳
出身地:福岡
学歴:桃ヶ丘音大中退、パリコンセルヴァトワール就学中
受賞歴:なし
スリーサイズ:不明(だけど自己申告値よりは小さい)


そしていよいよコンサート本番。
千秋もイタリアから駆けつけます。
「のだめがシュトレーゼマンと共演する。俺が聴かないで誰が聞く」

のだめが演奏する曲は、ショパンのピアノ協奏曲第1番、ホ短調、作品11。

長く壮大な提示部が終わり、いよいよピアノパートに突入すると、のだめは、いきなりリハーサルとはまったく違う独創的な弾き方をします。
でも、以前のようなムチャクチャな演奏ではなくて、オケが破綻しない範囲で独自性を出す弾き方。

オケメンバーもシュトレーゼマンも意表を突かれて驚きますが、その素晴らしさはしっかり認識しています。

観客も一瞬でのだめの演奏の虜になってしまいました。

千秋も同じで、のだめの成長ぶりにただただ感心させられます。
これまで千秋にとってのだめとは、千秋が飛行機恐怖症を克服して海外活動を始めるために必要不可欠な存在でした。
でも千秋は、本当はそうではなかったのかもしれないと思い始めます。
千秋がトラウマを負って日本から出られなかったのは、のだめと出会うまで日本に押し留めておこうとする神様のイタズラだったのではないか。。。
のだめが今日このコンサートでデビューするために。

演奏は進みます。
観客だけではなく、オケメンバーものだめに魅了されていきます。
そして、のだめと一緒にのだめの創り出す音楽を完成させたいと思い始めました。

演奏終了。
大歓声。

休憩時間になり、いったん控え室に戻ったシュトレーゼマンは、一気に気が抜けてソファーに倒れこみます。
「死ぬかと思った。ひどいよのだめちゃん・・・。
―――生きてて良かった」


その後。
コンサートが終わり、千秋はのだめの控え室に。
でものだめはドアを開けません。
会えない。
会いたくない。

満足のいく演奏ができて、観客の喝采に高揚し、最後に(愛する?)千秋に会ってしまうとそこですべてが完結してしまうと思ったのでしょうか?
これまでののだめなら迷うことなくここで「終わり」にしたでしょうけど、今回はそうしませんでした。
のだめももう「元には戻れない」何かを感じてしまったようです。

残すところ2話。
どんな結末を迎えるのでしょうか。

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2010年02月20日

今週の一本(2010/2/14~2/20)―『のだめカンタービレ フィナーレ』第6話

最後の『のだめ』も、残すところ今回を含めて6話。
ついに折り返し地点です。
今期は前2シリーズに比べて演奏シーンの動きが格段によくなっています。
これはとても嬉しいことなのですが、ストーリーのほうはこれまで以上に詰め込み感があって、ちょっと物足りなさを感じていたところでした。

が、今回のエピソードはのだめと千秋のやり取りに重点を置いていたので、かなり見やすかったです。
2人の言葉のやり取りの端々にギャグ要素を埋め込んでいたことも、楽しさに拍車をかけていました。
また、千秋の蘊蓄や、のだめが音楽知識を着実に習得していることを感じさせるセリフ回しも申し分なし。
最終的な着地点がどこになるのか分かりませんが、次回以降もこのくらいの脚本レベルを維持してくれると嬉しいです。


本編。
ラヴェルのピアノ協奏曲をルイと共演することになった千秋は、そのことをのだめに言い出せなくて悩んでいました。
この曲は、のだめが千秋と共演したいと言って目を輝かせていた曲だからです。
黒木くんの提案で、ライジングスターオケでのだめとその曲を共演することを一瞬だけ考えましたが、即却下。
かつて(1期のLesson 12で)のだめとラフマニノフのコンチェルトを弾いたときに、のだめが満足しきってしまい、ピアノに真剣に取り組むことをやめてしまったことがあったので、再びそんな事態になってしまうのを恐れたようです。
あのときは学校で弾いただけでしたが、オケで弾くなんてことをしたら、それこそ完全にピアノから(音楽から)離れてしまうかもしれないと思ったのでしょう。

そんな千秋でしたが、近々イタリアに行く予定があるので、その前に話してしまおうと決心します。
ところが運の悪いことに、ちょうどその頃、ユンロンの何気ない一言でのだめにルイとの共演のことがバレていました。

のだめはショックを受けてしまいますが、以前と比べて人間的にかなり成長したようで、千秋がすぐに話してくれなかったことをいつまでも根に持ったりしませんでした。
それよりも今は、オクレール先生がコンクールに出させてくれないことのほうが大きな悩みのようです。

そのことを打ち明けられた千秋は、オクレール先生から出されている課題曲をのだめに弾かせて、オクレール先生の真意をつかもうとします。
あげくにイタリア行きもキャンセルして、学校や買い物以外は外出せずに、アパルトマンにこもりっきりでのだめの練習に付き合います。
その成果は、学校でオクレール先生も驚くほどです。

そんなある日、千秋はのだめの『マスターヨーダの課題曲☆』ノートに気付き、中身を見てしまいます。
そしてそこに書かれている課題曲の多さに驚きます。
のだめからパリ留学期間が残り1年しかないのにコンクールにすら出させてもらえないという焦りを聞かされていた千秋ですが、本当に焦っているのはオクレール先生のほうなのではないかと思い始めました。
オクレール先生は決してのだめに意地悪をしているのではありませんでした。
残り1年でのだめをなんとかしたいと必死なようです。

その後も千秋がのだめの練習に付き合う日々は続きます。
そしてある日、練習を一休みして食事を取った2人は、食後に音楽の話に没頭します。
千秋はベートーヴェンに関する自分の解釈を披露しますが、のだめはそれをさえぎります。
千秋の解釈があまりに的確なので、のだめはそれを聞きたくなかったようです。
「どう感じるかはのだめのもの」だから、たとえそれが千秋でも、ヒント以上のことは聞きたくない。
千秋も夢中になって話し過ぎてしまったことに気付きます。
それまでとちょっと雰囲気が変わったところで、千秋は流れに任せてのだめにキス。
そしてのだめに尋ねます。
「まだ弾くか?」
「もちろんです!」
「だよな。。。」
千秋自身はその先に進みたかったようですが、今ののだめにはピアノの練習のほうが重要だったようです。
余計なことを聞かなければ、もしかしたら。。。(^^;

練習を再開したのだめのピアノはさらに上達していました。
千秋の話からヒントを得て弾き方を変えたようです。
千秋はあらためてのだめの感性のすごさに驚かされます。

また別の日。
のだめがアパルトマンに戻ると千秋がピアノを弾いていました。
それは、自分が次に練習する曲のさらに次の曲。
のだめはついに、千秋が自分の練習に付き合うことを拒否してしまいます。
自分が曲を習得するよりもさらに早く、どんどん先に進んでしまう千秋にさらに焦りを募らせてしまったようです。

ということで今回はここまで。
次回は再びルイが登場するようです。
どんどん先に進んでいく千秋を見たのだめの焦燥感がさらに深まってしまうのでしょうか?

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