2010年06月20日

今週の一本(2010/6/13~6/19)―『薄桜鬼』第12話

ついに最終回です。
最終回にふさわしく(?)、これまで陰で頑張ってくれた二人のサブキャラが最期を迎えてしまいました。
どちらのシーンもかなり感動的に演出されていて、見ごたえ感はかなりのものでした。
本筋のほうは予想どおり多くのことに決着がつかないまま終わってしまいましたが、旧来の武士の時代が終わってしまったことを印象付けて大きく盛り上がったので、一区切りつけるにはちょうどいいのかもしれません。
細かいことは秋に放送される2期に期待です。


慶応4年1月。
幕府軍と薩長軍による鳥羽伏見の戦いが勃発。
幕府軍1万5千に対して薩長軍5千と、数の上では幕府軍が優勢ですが、最新の武装を誇る薩長軍を前に、幕府軍の敗色が濃くなっていきます。
幕府側についている新選組も多くの隊士が倒されていき、土方は刀や槍の時代が終わったことを悟ります。
新選組は、日が落ちたら羅刹隊を先発させて大阪城まで撤退することになりました。

その一方で、淀城に援軍を頼みに行くことも決定。
千鶴が伝令役を志願し、井上もそれに同行します。
淀城に到着した二人は、問答無用で狙撃されてしまいます。
千鶴は援軍にこだわってその場に残ろうとしますが、井上は千鶴を連れて退きます。
援軍を頼みたい気持ちはあるものの、淀藩が寝返ったことは明らかなうえ、千鶴を守ることも自分の務めだから。
ところが、合流場所に向かう二人の前に幕府軍の侍たちが立ちふさがります。そしてここでも二人は銃を向けられ、井上が撃たれてしまいました。
侍たちは、井上と千鶴の首を手土産に薩長に取り入るつもりです。
井上は自分が盾になって千鶴を逃がそうとします。
「逃げなさい雪村君。歳さんに伝えてくれ。力不足で申し訳ない。最後までともにやれなかったことを許してほしい。最後の夢を見させてくれて、感謝してもしきれない、とね」
銃弾を受けたうえに3対1では勝ち目があるはずもなく、井上はあえなく討ち死んでしまいます。
思わぬ悲劇を目の当たりにした千鶴は怒りをぶちまけます。
「旗色が悪いからといって寝返るなんて、あなたたちはそれでも本当に武士なんですか!」
当たり前だろうと答える侍たちに向かって、千鶴はさらに続けます。
「違う。私は、今まで真の武士たちを見てきました。あなたたちは武士の風上にも置けない!」
そして小太刀を抜く千鶴。
でも、千鶴の腕前では到底かなうはずがありません。

そこにタイミングよく風間が現れ、あっという間に侍たちを斬り捨ててしまいます。
風間は淀藩の動向を見に来たようですが、大切な女鬼の危機を見過ごすことはできません。
さらに、千鶴が淀城から逃げ帰ってきたことに気付いた風間は、京にいる各藩に朝廷の密書が渡ったことを話します。
薩長軍が官軍となるのでそれに味方するようにとの内容だったようです。
今や幕府が、そしてそれにつく新選組が逆賊となってしまいました。

風間は、いつの時代も権力と金のために争う人間を愚かだと嘲ります。
それに対して千鶴は、そんな人たちばかりじゃないと反論。
風間は、それが新選組のことだとすぐに気付きます。
そして、新選組だって刃向かうものを斬るだけの存在なのだから、その点では自分と同じなんだと千鶴にわからせようとします。

そこに土方登場。
「俺たちは守るものがあるから戦っている。己のことだけを考えているお前と一緒にするんじゃねえ」
新選組と鬼を一緒にするなと怒ってます。
そして土方は、井上が倒れていることに気付きます。
この時点で千鶴は小太刀を鞘に戻していたので、土方は井上を斬ったのが風間ではないことに気付いていました。
千鶴ならたとえ相手が風間でも、大切な仲間を斬った相手に立ち向かっていくと信じていたからです。
でも土方は、精神的に余裕をなくしていました。
薩長軍に追い詰められ、幕府のやり方にも鬼の存在にも耐えきれなくなっていました。
風間はそんな思いを見透かすように、井上を斬ったのが自分だったらどうするつもりだと、土方を挑発します。
これで土方はキレてしまいます。
もう、目の前の風間を倒すことしか考えられなくなってしまいました。
刀を抜く土方。
「やれやれ、また無駄死にが増えるか。なぜそう死に急ぐ」
「無駄死にって言いやがったか・・・いま!」
井上の死を侮辱され、土方の怒りは頂点に。
さすがに風間もこれには押され気味です。
ついに本来の鬼の姿を現します。
力もこれまでとは段違いです。
今度は土方が圧倒されてしまいます。
追い詰められた土方は、懐から変若水(おちみず)を取り出しました。
風間はそんな土方を愚か者呼ばわり。
たとえ羅刹になったとしても、“まがいもの”など真の鬼の敵ではないと余裕です。

土方は、やってみないとわからないと言ってついに変若水を飲んでしまいます。
もともと新選組はこれまでも武士のまがいものとして扱われてきた。
でも、何があっても信念だけは曲げない。
たとえまがいものだろうと、それを貫けば本物になる。
羅刹となった自分が鬼を倒し、自分が本物になる。
そして“夢”(尊皇攘夷と佐幕)をかなえる。

土方と風間は再び刀を交えます。
土方は今度は力で負けることはなく、風間の頬に傷をつけることができました。
「まがいものに傷をつけられた感想はどうだ。鬼の大将さんよ」
余裕を取り戻す土方。
まさかの出来事に、今度は風間がキレてしまいます。
「貴様ごときが、俺の顔に傷を!」

さらに激しく討ちあう二人。
そして双方が最後の一撃を繰り出したとき、天霧と山崎が割り込んできました。
天霧は風間を抑え、山崎は土方の胸に飛び込みます。
二人がいなければ、土方は胸を斬られ、風間は頭を割られていたはずです。
代わりに、割り込んだ山崎が背中を斬られてしまいました。
「何しているんですか、副長。あなたは頭(かしら)で、俺たちは手足のはずでしょう。手足ならなくなっても替えはききます。ですが頭がなくなってしまっては、何もかもおしまいです・・・」
土方は自分の行動が招いた結果に呆然とし、正気を取り戻します。
一方の風間は、まもなくここにも薩長がやってくるので自分たちは姿を消すべきだという天霧の言葉に従い、この場は刀を収めて退くことに。
最後に一言、「命拾いしたようだな、お互い。この決着は必ず付けるぞ、土方歳三」と言い残して消えます。
羅刹になった土方が自分と対等の力を発揮したことは認めているようです。

やがてほかの隊士たちが駆けつけてきて、井上はその場に埋葬されました。

夜になり、新選組は予定どおり大阪城へ。
でもそこに幕府軍はいませんでした。
治療のために大阪城に来ていた近藤によれば、早々に江戸に撤退してしまったとのこと。
武器や兵糧も残されていません。
さらに悪いことに、羅刹隊も大半が倒されてしまいました。
薩長軍は羅刹に対して銀の弾丸を使いました。
羅刹のことをよく知っている人物が薩長軍にいるようです。
これは綱道でしょうか?
反撃の手段を絶たれてしまった新選組は、江戸に退かざるをえなくなります。

江戸に向かう船上。
山崎を看病する千鶴。
山崎は瀕死の状態で、千鶴が隊士の健康状態を記入した帳面を持ってきていることを確認。
そして千鶴にすべてを託します。
「雪村君、君にしかできないことを為せ・・・みんなを頼む」
千鶴は山崎が死んでしまうことなど受け入れることができないので、あえて元気に振る舞って山崎を励まします。
「何言ってるんですか。このまま戦が続けば、まだまだ怪我人が出ます。医療担当の山崎さんには、早く元気になってもらわないと」
山崎もその意図をくみ取って笑って応えますが、もう意識を失いかけていました。
そのまま果ててしまいます。
呆然とし、そして慟哭する千鶴。

その後、山崎は水葬されることに。

幕府のために戦って死んでいったのに、幕府は自分たちを見捨てて早々に撤退。
これでは犬死にだとやるせない気持ちを吐き出す永倉。
土方は無言で海を見つめます。

土方の言葉を聞いて少しでも安心したい千鶴は尋ねます。
「犬死になんかじゃないですよね。無駄に死んだ人なんか、一人もいませんよね」
「・・・当たり前だ。俺たちはもともと徳川の殿様のために戦ってきたんじゃねえ。いくら上にやる気がなかろうが、俺たちにゃ関係ねえことだ。江戸には伝習隊がいる。幕府の軍艦だって無傷のまま残ってる。江戸に戻ったら、喧嘩のやり直しだな」


ということで1期終了です。
放送開始前は視聴するかどうかすら迷いましたが、第1話から引き込まれてしまい、予想外に楽しめた作品でした。
恋愛要素を最小限にして緊張感を前面に出してきたのがツボにはまったようです。
秋に2期が放送されるようなので、今から楽しみです。
史実に沿った展開であれば、主な登場人物たちには悲劇が待ち構えていることになりますが、アニメではどうなるのでしょうか?

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2010年06月13日

今週の一本 その2(2010/6/6~6/12)―『薄桜鬼』第11話

いろいろと重苦しい展開になってきて、いよいよ大詰めって感じの『薄桜鬼』。
どうやら次回で最終回のようです。
鬼たちの動きや羅刹隊の行く末、千鶴や千姫の動向、千鶴の父・綱道の行方など、面白そうなネタがたくさん用意されていますが、あと1話ですべてをうまく纏めるのは不可能ですね(^^;
分割2クール確定でしょうか?


さて今回は、前回ラストで発生した油小路の変の続きからです。
原田と永倉は薩摩藩士に囲まれ、多勢に無勢で追い込まれてしまいます。
が、そこに斎藤が助太刀に現れ、なんとかこの場を切り抜けることができました。
天霧の一撃を受けて致命傷を負った藤堂は、変若水(おちみず)を飲んで羅刹化し、一命を取り留めます。
「まだやり残したことがある気がする」とのことで、自分自身で選択しました。

日は変わって慶応3年12月。
薩摩藩と長州藩が京に軍隊を集結させはじめたので、新選組は伏見奉行所に入って戦闘に備えることに。
ここで藤堂は、自分が羅刹になってしまったという現実に直面することになります。
割れた湯飲みの破片で手を切ってしまった千鶴が流す血を見て、理性を失いかけてしまいました。
山南によれば、これは吸血衝動。
血を飲めば治ると言って、藤堂を羅刹の本能に従わせようとします。
「人間が食事をするのと同じように、我々羅刹は血を求めるのが自然なのですよ」
藤堂はまだ自分が人間だと考えていて、この衝動にあくまで抵抗しますが、山南はさらに続けます。
「君は羅刹でありながら人間の善悪に縛られている。不幸としか言いようがありません」
とはいえ、山南も藤堂と同じ道をたどってきたので、藤堂の気持ちは理解できます。
山南は藤堂に薬を渡します。
松本先生が作った、吸血衝動を抑える薬だそうです。
藤堂はこの薬を飲み、吸血衝動は治まりました。
山南は、これはあくまで一時しのぎに過ぎないという言葉を残し、見回りに出かけてしまいます。
最近はよく一人で見回りに出ているようです。


慶応3年12月10日。
沖田の労咳は悪化の一途です。
沖田は南雲薫が残していった変若水を見つめ、これを飲めば蝕まれた体も治ると言っていた彼女の言葉を思い出します。

その日の夕方。
千鶴の前に再び君菊が現れます。
千姫も一緒です。
近藤に話したいことがあるそうですが、あいにく近藤は軍議に出席するために二条城に行っています。
そこで2人は土方に会うことに。
千姫の希望で千鶴も同席。
本来ここは部外者立ち入り禁止だと相変わらず厳しい土方ですが、一応話は聞きます。
話の内容は羅刹についてでした。
いきなり「彼らは失敗作なのに、いつまで使うつもりなんですか」と切り出す千姫。
土方は、失敗かどうかは自分たちが決めることだから部外者にごちゃごちゃ言われる筋合いはないと、千姫の話に耳を貸しません。
そんな土方に君菊が迫ります。
「では、その羅刹の方が見回りと称して辻斬りをしているのはご存知ですか?」
罪もない民を斬って吸血衝動を満たしているようです。
これには土方も驚いてしまいます。
まったく初耳のようです。
千鶴は、山南が頻繁に見回りに行くのもそのためなのではないかと疑念を抱きました。
ここで千姫は、千鶴を再び誘います。
一緒に来ないかと。
もうじき京は戦場になるから。
それに千鶴が新選組から離れれば土方たちも戦いに専念できる。
千鶴は悩みます。
自分が土方たちの負担になるなら新選組から離れたほうがいいのではないか。
でも、ここを(土方のそばを)離れたくない。
そんな千鶴を見て土方が言います。
「出て行きたかねぇんだろ。だったら余計なことを考える必要はねぇ。ここにいりゃあいい」
千鶴は土方を見つめて頬を赤らめてしまいます。
千姫はこれ以上千鶴を誘うのをやめました。
そして帰り際に、千鶴の想い人が土方だということをそれとなく指摘。
千鶴はその言葉に狼狽してしまいます。
千姫は、またいつかどこかで会うことを約束して去っていきます。


その頃、二条城からの帰途についていた近藤に悲劇が。
待ち伏せていた御陵衛士の残党に狙撃され、右胸を撃ち抜かれてしまいました。
そのまま倒れてしまってもいい重症ですが、近藤はなんとか馬に乗ったまま伏見奉行所まで戻ります。
落馬すれば刺客の手に落ちるとの判断です。
でも傷は深く、今夜が峠。

これを知った沖田はついに変若水を飲む決心をします。
尊敬する近藤の復讐を果たすために。
もう歩くのも難しいほど病状が進行していましたが、羅刹化して奉行所を飛び出していきます。

町に出た沖田は、夜空に向けて銃を撃ち新選組を挑発する御陵衛士の残党を見つけ、次々と斬っていきます。
そこに現れる南雲薫。
「変若水、飲んでくれたんだ。新選組一の剣士とうたわれる沖田を羅刹にできるなんて、光栄だよ」
なんだかこれまでと見た目も口調も違います。
沖田が、近藤を撃ったのは君なのかと詰め寄ると、南雲薫は「証拠もないのに俺を疑うの?」ととぼけますが、御陵衛士の残党をそそのかして近藤を狙撃させたことをほのめかしました。
というか、この事実よりも気になるのが「俺」という言葉。
なんと南雲薫は男でした(^^;
南雲家に引き取られてから女鬼じゃないというだけで虐げられてきたようです。
なのに千鶴は兄である自分のことなどすっかり忘れて、一族を滅ぼした人間を仲間のように慕い、大切に守られている。
南雲薫は千鶴のことを逆恨みして、自分が経験した苦しみを千鶴にも味わわせようとこれまで動いていたようです。
そしてさらに衝撃の告白。
「あのさ、あれ嘘だから。変若水じゃ労咳は治らないんだよ」
沖田は一瞬動揺しますが、いまさら悩んでも仕方ありません。
すぐに気を取り直して南雲薫と対峙します。

そこに沖田を追ってきた千鶴と藤堂が。
そしてそれを狙う不審な影。
御陵衛士の残党がまだいました。
千鶴を銃で狙っています。
これも南雲薫の仕組んだことのようです。
沖田はとっさに割り込んで、体を張って千鶴をかばいますが、至近距離で銃弾を受けてしまいます。
仁王立ちで残党を睨みつける沖田。
残党は恐れをなして逃げ出してしまいます。
成り行きを確認した南雲薫も撤退。
千鶴が何もできずに苦しむことを願って。

沖田は奉行所に運び込まれて山崎の手当てを受けますが、普通であれば銃弾を摘出しただけで回復するはずなのに、傷が治る様子はありません。
原因は銃弾が鉛ではなく銀だったからのようです。
吸血鬼のように血を求めたり、狼男のように銀の銃弾で倒れたり、羅刹には不思議な特性があるようです。
結局、山崎では手に負えないので、沖田は近藤とともに松本先生の治療を受けることになりました。
慶応3年12月20日、近藤と沖田は大阪城に護送されます。

鳥羽伏見の戦いまであと14日。
次回の最終回はこの戦いで盛り上げて終了となりそうです。

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2010年05月30日

今週の一本(2010/5/23~5/29)―『薄桜鬼』第9話

今回は、これまで謎だった千姫の正体が明らかになりました。
君菊は千姫の家に代々仕える忍びだとか。
残る謎キャラは南雲薫ですが、彼女は今回も不思議な動きをしています。
巡察中の沖田と千鶴を物陰から窺っていました。
沖田が咳き込む様子を見て不敵な笑みを浮かべたように思えましたが、彼女は千鶴ではなく沖田に関心があるのでしょうか?


さて、時は順調に(?)流れて、慶応3年1月。
ここにきて永倉と斎藤が伊東から接待を受けます。
新選組を抜けて一緒に行動しないかというお誘いです。
伊東は裏で薩摩藩と連絡をとりあっているようで、新選組と袂を分かとうとしています。

慶応3年3月。
夜。
羅刹が暴走し、血を求めて千鶴を襲います。
幸いにも土方たちがすぐに駆けつけてくれたので助かりましたが、羅刹に右腕を深く斬られてしまいました。
遅れてやってきた山南が監督不行き届きを詫びます。
なぜ暴走したのか理由はわからないとのこと。
山南は千鶴の怪我を心配して千鶴に近づき、千鶴の血に触れてしまいます。
すると今度は山南が血に興奮して暴走。
手についた血を舐め、千鶴に襲い掛かろうとします。
もうだめだと判断した幹部たちは山南を倒すことを決断。
が、そのとき、どうしたことか山南が正気を取り戻します。
事態は収まったかに思えましたが、間の悪いことに、この騒ぎを聞きつけた伊東がやってきてしまいました。
そして山南が生きていたことがばれてしまいます。
とりあえず夜も遅いので寝てもらおうと、近藤が慌てて伊東を連れて行きましたが、どんな説明をしてもこれ以上伊東を誤魔化し続けることはできないでしょう。
邪魔者がいなくなったところで、土方は千鶴に、山崎に手当てしてもらうよう言います。
でも千鶴はめずらしく声を荒げて、これを強く拒絶。
そのまま立ち去ってしまいました。
山南は自室に戻り、なぜ自分が正気に戻れたのか考え悩みます。

翌朝。
千鶴の腕は完治しました。
千鶴はそれを隠すため腕に包帯を巻きます。

その頃、伊東は近藤や土方たち新選組幹部を前に、離隊の話を切り出していました。
同士とともに孝明天皇の御陵衛士(ごりょうえじ)になるつもりです。
近藤は勝手な離隊は許されないと言いますが、伊東は屯所内で隊士が斬り殺された前夜の物騒な出来事や、死んだはずの山南が生きていてそのことを参謀の自分が知らされていなかったことなど、幹部の間に隠し事があったことを理由に離隊を押し通そうとします。
さらに、新選組内に隠し事があることについてはこれ以上追求しないから、離隊を認めてほしいと、一歩も引きません。
近藤は伊東とその同志たちの離隊を認めざるをえなくなってしまいました。
そして、伊東とともに藤堂と斎藤も離隊することに。
江戸から戻って以降、藤堂の様子がおかしかったですが、彼は尊皇攘夷と佐幕を掲げる新選組のやり方が日本のために良いことなのかどうか確信がもてなくて悩んでいたようです。
伊東も尊皇攘夷という点では同じ考えですが、佐幕ではなく倒幕を目指しているようなので、藤堂はその可能性を見てみるために伊東についていくことを選んだようです。
斎藤については何を考えているのかよくわかりませんでした(^^;

慶応3年3月20日。
伊東とその同士が正式に離隊。

その夜。
新選組幹部の夕食の席に千姫と君菊が訪ねてきました。
風間たち西の鬼が本格的に動き出しそうなので、自分たちで千鶴を保護するために。
千鶴を引き取ることを納得してもらうため、千姫はすべての事情を話します。
・自分が鈴鹿御前の血を引く鬼であること。
・鬼の一族は本来争いを好まないため、その力を利用しようとする人間から隠れて散り散りに暮らすようになったこと。
・鬼たちの大半は人間と交わり、今では純血種が残り少ないこと。
・その純血種の代表的な家系が、西では風間、東では雪村であること。
ここまで話した千姫に促され、千鶴は自分の正体を明かす覚悟を決めます。
右の袖をまくり上げ、居並ぶ新選組幹部たちに右腕を見せました。
羅刹に斬られた傷が跡形もなく消えています。
幹部たちは千鶴も鬼であることを目の当たりにしました。
同席していた山南は、以前自分が正気を取り戻せたのが千鶴の血を舐めたからだと理解します。
千姫はさらに、風間の目的が純血種同士で結ばれてより強い鬼を生み出すことだと言います。
千姫が千鶴を確実に護りきれる保証はないので、土方たちは千鶴を引き渡すことに反対しますが、最後は近藤の言葉により千鶴自身が決断することに。
千鶴は悩んだ末に新選組に残ることを選択しました。
千姫は千鶴の考えを尊重し、その場を後にします。

それからしばらくたったある夜。
ついに風間たちが新選組の屯所を襲撃します。
迎え撃つのは山南率いる羅刹隊です。
山南の髪の色が変わっているのに正気を保っているのは、千鶴の血を利用して研究を完成させたからでしょうか?
山南の命令で羅刹たちがいっせいに攻撃を開始します。
でも、しょせんは「まがいもの」の集団。
本物の鬼にはまったく太刀打ちできません。
やがて土方、原田、永倉も駆けつけます。
風間はその場を天霧と不知火に任せて、自分は千鶴のもとへ。
すぐに千鶴を連れ出してきました。
そして再び土方と剣を交えることに。
風間は今回は本気のようで、初めて刀を両手で持ちました。
土方は追い詰められてしまいます。
そこへ飛び込んできて自らが盾になる千鶴。
風間の動きが止まってしまいます。
「なぜ人間などに与する。どうせ最後は裏切られるだけだぞ。あの造りだされたまがいものの鬼を見ただろう。あんなものを造りだす愚かなやつらとともにいることに何の意味がある」
この問いに対して「それでも信じているから・・・」と答える千鶴の声を聞いた風間は戦意を喪失。
そのまま立ち去ってしまいます。
絶えつつある鬼の一族を再興したいという考えがあるのは間違いないのでしょうが、もしかすると千鶴のことが本気で気になりだしていて、「失恋」のショックを受けてしまったのかもしれません(^^;
不知火と天霧も風間に続き撤退します。
不知火が捨て台詞を残したのと対照的に、天霧は律儀に礼をしていきました。

とりあえず事態は収束し、千鶴は緊張の糸が切れて震えながら膝をついてしまいます。
そんな千鶴を落ち着かせようと声をかける原田。
でも千鶴は、自分のせいでみんなを無用な戦いに巻き込んでしまったことを後悔して涙ぐんでしまいます。
原田は、男が女を守ることは当たり前のことで、千鶴がいてくれたから自分を含め土方や永倉も普段より力を出せたんだと言って千鶴を励まします。
千鶴がもう大丈夫そうなのを確認した土方は、無言でその場を後にしました。
そんな土方の胸の内を原田が代弁します。
「土方さんも“よくやった”ってさ」
涙を浮かべたまま微かに笑みを見せる千鶴。
頬が赤いのはなぜでしょう。

ということで、なんだかラブストーリーの要素が見え隠れしだしました。
原田たちが千鶴のことを気にかけているのは確かですが、やはりメインは土方でしょうか。
今後は土方や風間の大義とは別に、千鶴をめぐる恋の争いが強調されていくのかもしれません。

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2010年05月23日

今週の一本 その2(2010/5/16~5/22)―『薄桜鬼』第8話

今回は、将軍・家茂の死去と三条制札事件という歴史上の事件をからめながら、新選組幹部と千鶴の比較的穏やかな日常を描いたインターミッション回でした。
それにしても、Aパートで慶応元年夏から慶応2年7月、Bパートでは慶応2年9月と、相変わらず時間の進み方がものすごいですね。
あと2年ほどで明治です。

話のほうはインターミッションとはいえ、極端に走ることなく、各キャラをしっかり描いていたところが良かったです。

なかでも土方のシーンが素晴らしかったです。
伊東派からの理不尽な不平を抑えるために以前からいた隊士たちに厳しくしすぎたことを謝るシーンや、酔ってボケをかますシーン、そして江戸にいた頃を思い出しながら千鶴に語るシーンが秀逸でした。
特に、今の自分が「もしかしたら長くて幸せな夢を見続けてる」んじゃないかと、現状の充実した日々に満足していることを語るシーンでは、その背後に儚さの代名詞であるカゲロウを飛ばせることで、この幸せがじきに終わりを迎えることを暗示しています。
このシーンは、淋しげなBGMとあわせて抜群の雰囲気を醸し出していました。

また、千鶴が持つ小太刀に関心を示す千姫や、土佐藩士に味方する南雲薫、そしてそのことを聞いて表情を変える君菊など、まだ登場シーンは少ないけど今後重要な役回りを与えられそうなキャラたちもしっかり登場。

さらにラストでは、しばらく京を離れていたらしい風間と天霧も顔見世しています。
風間たちは、1年以上も千鶴に手を出してこなかったようですが、前回、千鶴と綱道の関係を知ったことで、千鶴よりも綱道のほうに関心が移ったのでしょうか?

次回は「修羅の轍(しゅらのわだち)」
伊東が新選組を抜けるようです。

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2010年05月16日

今週の一本 その2(2010/5/9~5/15)―『薄桜鬼』第7話

今回はいろんなエピソードがてんこ盛りで、これまでとはちょっと雰囲気が違いました。
また、隊士たちのピンクの乳首が披露されるサービスシーン(?)もありました。
まあこれについてはあらゆる意味でどうでもいいので触れないでおきましょう(^^;


本編は、前回の続きとなる、千鶴を連れ去ろうと手を伸ばす風間のシーンから始まります。
追い詰められた千鶴。
そこに、原田と斎藤が駆けつけてくれます。
そしてもちろん土方も。

禁門の変のときからライバルのような関係になってしまった斎藤と天霧、原田と不知火、土方と風間がそれぞれ対峙します。

天霧は、禁門の変のときと同様に今回も戦う理由がないから争うのはやめようと斎藤に言います。
でも今回は天霧たちが千鶴に手を出そうとしたので、斎藤には戦う理由がありました。

原田には、たとえ千鶴の件がなかったとしても不知火を見逃す理由がありません。
前回の決着をつけるためさっそく戦闘開始です。
ただし、不知火は本気を出していないようです。
銃声を聞きつけた隊士たちがやってくると面倒なので、発砲を控えているようです。

土方は、風間たちが将軍を襲うのではなく千鶴を連れ去ろうとする理由を尋ねます。
それに対する風間の答えは「将軍も貴様らも今はどうでもいい。これは我ら鬼の問題」
“鬼”という言葉に土方は眉をひそめます。
風間はとにかく土方のことが気に入らないようで、有無を言わさず刀を振り下ろしてきました。
風間は相変わらず日本刀を片手で振り回しています。
土方とはかなりの力差があるようです。
これが人間と鬼の差。
風間の刀を必死に受け止めながら、土方は再度尋ねます。
風間たちが千鶴にこだわる理由が理解できないのではっきりさせたいようです。
でも風間の答えはまたも謎めいたもので、要領を得ません。

そこに騒ぎを聞きつけた隊士たちが駆けつけてきました。
風間たちは、千鶴が鬼の一族だと確認できただけでよしとし、今回は退きました。

風間たちが去った後、土方は千鶴を問いただします。
「おいお前、あいつらに狙われる心当たりでもあるのか?」
「いいえ、私にもよく・・・」
千鶴は自分でも“鬼”の件についてよく理解できていないので、この答えは嘘ではないのですが、自分に異常な治癒能力があることは知っていて、そのことをほかの人に知られたくないという想いがあるので、歯切れの悪い答えになってしまいました。
土方は、風間が口にした“鬼”という言葉と千鶴の父・綱道が研究していた薬、それと千鶴の反応の間に何らかのつながりがあるかもしれないと疑いだしたのではないでしょうか。

その後、一人になった千鶴は、自分が鬼で風間の同胞だと言われたことの意味を考えて悩みます。


日付が変わったある日。
斎藤の組の巡察に同行する千鶴。
千鶴は揉め事が起こっていることに気付きます。
どうやら、浪士たちに絡まれている子供を助けようとした少女が、浪士たちと言い争いになってしまったようです。
千鶴は思わず駆け出してしまいます。
それに気付いた斎藤はため息。
おそらくこれまでにもこんなことが何度もあったのでしょう。
千鶴が後先考えずに行動してしまうのはしかたがないことだと、斎藤はあきらめているのかもしれません。
そういえば池田屋への討ち入りのときも、沖田を助けようとして斬り合いの中に飛び込んで、斎藤に助けられていましたね。
あのときはかなり無謀な行動でした。
千鶴は正論で浪士たちを引き下がらせようとしますが、そんな言葉が届くはずもありません。
斬りかかられそうになって立ちすくんでしまったところを、また斎藤に助けられました。
とりあえず事態が収拾したところで、少女が千鶴に感謝の言葉をかけてきます。
そして、これも何かの縁だから、女の子同士仲良くしようと言って、名前を聞いてきました。
この少女にも千鶴の男装はバレていました(^^;
少女は、雪村千鶴という名前を聞いて一瞬だけ目の色を変えます。
どうやら千鶴のことを知っているようです。
表情はすぐにもとにもどり、自分は「千」だと名乗りました。
この少女は第4話で登場した千姫のようです。
町人の格好をして町を見て回っていたのでしょうか?
いずれにしても、姫が一人で町中を出歩くというのは普通では考えられないことです。
単におてんばな性格で無茶をしているだけでしょうか。
第4話での発言といい、今回の行動といい、なかなか不思議なキャラです。


また別の日。
新選組の身体検査の日。
近藤の計らいで、千鶴は松本良順という医者と面会します。
松本は千鶴の父・綱道と懇意にしていたようです。
千鶴は松本から“薬”についてさらに詳しいことを聞かされます。
綱道は幕府の命令で羅刹(らせつ)を生み出す研究をしていたそうです。
羅刹とは鬼神のような力と驚異的な治癒能力を持つ人間のこと。
そのために使うのが“薬”=変若水(おちみず)。
西洋のElixir、中国の仙丹に相当する薬。
松本の考えでは、綱道がいなくなってしまった理由は、このような研究に耐えられなくなったからではないかとのこと。


翌日。
沖田が体調不良のことで松本に相談します。
症状を聞いた松本は、沖田が労咳(肺結核)を患っていると診断しました。
松本は沖田に新選組を離れて静養するよう勧めますが、沖田はそれを拒みます。
新選組に残って「敵」を倒すことが自分にとってのすべてだと。
肺結核は空気感染する病ですが、症状が進んでたんやつばと一緒に結核菌を排出するようにならなければ人にうつすことはないようです。
沖田の病もまだ症状が進んでいないということなのでしょう。
偶然そのやり取りを耳にした千鶴は、このことを誰にも言わないと沖田に約束しました。

沖田の病のことや父の失踪、鬼のことなど、悩みの種が増えてしまった千鶴。
一人で考えながら中庭の掃き掃除をしているところに、再び風間がやってきました。
今回は千鶴を連れに来たわけではなく、ひとつ確認しに来たようです。
「お前は綱道と関わりがあるのか?」
この尋ね方だと、千鶴は綱道の実の娘ではないように思えます。
「雪村綱道は私の父です」
風間はこの答えを聞いて疑問が解けたようです。
もしかすると、綱道がなぜ変若水を作れたのか疑問に思っていたのかもしれません。
綱道と千鶴=鬼のあいだにつながりがあったので、その理由が分かったということでしょうか?
変若水には千鶴の体液(血?)が使われているのかもしれません。
ここで土方、原田、藤堂が登場。
風間は知りたかったことを確認できたので、そのまま退散します。
でもその前に忠告。
「ただの人間を鬼に造りかえるのはやめておけ」
さらに、綱道が自分たちと一緒にいることも言い残していきました。
千鶴が新選組にいるのは父を捜すため。
風間の言葉で父の所在が分かった千鶴はどう動くのでしょうか?
もちろん風間の言葉が真実だという証拠はありませんが。。。


そしてラスト。
昼間に活動できないとはいえ、左手の傷が完治した山南がやる気満々になっています。
「新撰組」を「羅刹隊」と改名し、本格的に動き出そうとしています。
でも、ここで気になるのが風間の忠告。
今のところ変若水の改良は成功しているように見えますが、いずれ「失敗だった」と気付くことになってしまうのでしょうか。
山南を待ち受けているのは悲惨な結末なのかもしれません。


そういえば、藤堂の様子がおかしかった理由が判明しました。
もともと新選組は京の治安維持が目的だったのに、いつのまにか幕府の家来みたいになってしまったので、やる気を失っているようです。
今後は史実どおり新選組を去ることになるのでしょうか。


次回は「あさきゆめみし」
息抜き回かな?

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2010年05月09日

今週の一本 その2(2010/5/2~5/8)―『薄桜鬼』第6話

前回ラストで山南に首を絞められて危うく殺されかけた千鶴ですが、山南が一時的に正気を取り戻したので、命を取り留めることができました。
山南は、千鶴の叫びで駆けつけた土方たち幹部連中に取り押さえられます。
そして一晩成り行きを見守られることに。

土方は、騒ぎに気付いた隊士たちがこの部屋に近づかないように、永倉を前川邸の門前へ、原田を八木邸へ送り、見張りにつかせます。
斎藤は中庭で待機して、伊東一派をけん制。
沖田は、山南が万が一壊れてしまった場合に備え、部屋に残りました。
前回のセリフどおり、場合によっては自分が山南を始末するつもりです。

山南が生き残るか、死んでしまうか、それとも壊れて暴走してしまうかは今夜が峠。

とりあえず騒ぎに一段落ついたところで、千鶴は土方から状況説明を求められます。
千鶴を見つめる土方の目は、千鶴が始めて屯所に来たときと同じ冷酷なものでした。
千鶴は、山南の怪我を治すために“薬”というものを捜そうとし、そのときに偶然、山南を見かけたことを正直に話します。
さらに、父・綱道が“薬”に関わっていたことと、“薬”の秘密について、山南から聞かされたことも。

土方は、聞いてしまったものはしかたがないとため息をつき、綱道が“薬”の開発責任者で、完成前にいなくなってしまったと言います。
以前、綱道は診療所で不審火があったときに行方不明になったという話がありましたが、今回の土方の言い方だと、綱道は自発的に、あるいは誰かに誘拐されていなくなってしまったようにもとれます。
土方はさらに話を続けます。
その話によれば、“薬”の研究のための実験体となった隊士たちは、血に触れない限りはおとなしいので、前川邸に隔離されているようです。
そして最後に「これが俺たち幹部しか知らねぇ“新撰組”の秘密だ。それをお前は知っちまった」
これを聞いた千鶴は、この後に自分の身に起こることを考え、震えが止まらなくなってしまいます。
「お前は綱道さん探しには役立つかもしれねぇが、お前がいなくても困りはしない」
知ってはいけないことを知り、ついにここで殺されてしまうんだと、千鶴は覚悟を決めたようです。
でも、この後に続く土方の言葉を聞いて一気に気が抜けてしまいました。
「不穏な動きがあれば即座に殺される・・・そうてめぇの肝に命じておけ」

翌朝。
山南はなんとか持ちこたえたようです。
とりあえず今のところは“薬”が成功したと考えても良さそう。
沖田と井上からの報告に、幹部たちは一安心です。
そこに伊東がやってきました。
場に一気に緊張が走ります。
斎藤がうまくごまかして詳しい事情は夜に話すことになり、伊東はその場を去りましたが、勢揃いした幹部の中に山南がいないことと昨夜の騒ぎを結びつけることはできたはず。

その後、土方たちが山南の様子を見に行くと、山南は再び“薬”の研究をできるまでに回復し、左手も完治していました。
髪の色も通常の色に戻っています。
ただし、もう人間とは別の存在になってしまいました。
“薬”を飲むと昼間の活動に支障が出るので、もう隊士として働くことはできません。
山南は言います。
「私は死んだことにすればいい。これから私は“薬”の成功例として“新撰組”を束ねていこうと思っています」
史実では、山南は切腹していますが、この作品では、山南は裏方に回って生き続けたという設定のようです。

ということで、その夜、山南は前夜の騒動で死んでしまったということで伊東に納得してもらったようです。
そして、山南の存在を伊東派から隠すため、屯所移転の話が一気に進展します。
それからわずか半月後(慶応元年(1865年)3月)に、新選組と新撰組は西本願寺へ屯所を移しました。


さらに時は流れ、慶応元年閏5月(1865年6月)。
文久から始まって元治、慶応とまたまた年号が変わりました。
千鶴が京にやってきて新選組と出会ったのが文久3年12月頃(1864年1月頃)なので、まだ2年も経っていないんですけどね。
第4話で千姫が江戸幕府の滅亡を予見していましたが、もしかするとこのまま明治に突入してしまうのかもしれません。

千鶴は江戸から戻った藤堂と一緒に巡察。
途中で沖田の組と合流します。
藤堂の挙動がおかしかったり、沖田の体調が悪いように見えるのも史実に沿った描写なのでしょうか。

と、ここでまた新キャラ登場です。
沖田が、酔っ払った不逞浪士にからまれている少女に気付きます。
浪士は沖田が新選組だということに気付いてそそくさと退散。
残された少女は、千鶴と瓜二つです。
自分は南雲薫だと名乗り、すぐに立ち去ってしまいました。
かなり立派な髪飾りをしていたので、普通の町人というわけではなさそうです。
また、沖田の名前を知っていたのも不思議です。

その日の夕方。
新選組に重大な任務が言い渡されます。
上洛する14代将軍・徳川家茂が二条城に入るまでの警護を任されました。
でも残念なことに、沖田は風邪気味なので警護から外され、藤堂は調子が悪いと自己申告して自ら警護の任を外れます。
藤堂はここでもおかしな様子を見せています。
江戸で何かあったのでしょうか?

そして夜。
伝令で走る千鶴。
人気のない場所に来たところで、不穏な空気を感じます。
辺りを見回すと、風間、天霧、不知火の3人がいました。
どうやって警護をかいくぐってきたのか問う千鶴に不知火が答えます。
「俺ら鬼の一族には、人が作る障害なんざ意味をなさねぇんだよ」
ここで風間は千鶴のことを同胞と呼び、千鶴の正体に関する重大な言葉を発します。
「鬼を示す姓と、東の鬼の小太刀。それのみで証拠としては十分にすぎる」
「女鬼は貴重だ。ともに来い」
そして千鶴に手を差し伸べます。
鬼の血脈を絶やさないために千鶴を利用しようとしているようです。
成り行きを見守る天霧と不知火。
千鶴は小太刀に手をかけたまま固まってしまいました。
続きは次回へ。。。

またまたいいところで終わってしまいました。
でも、次回予告の能天気さに脱力(^^;
次回、この緊張感にどうケリをつけるのか二重の意味で楽しみです。


風間と天霧(それともしかしたら不知火も)は“薬”の効力で変わってしまった人間なのかと思っていましたが、どうやら鬼と呼ばれる種族(?)だったようです。
屯所移転後に千鶴が山南と会話する場面で、千鶴が山南の本質(“薬”の影響を受けた白髪の姿)を見抜く描写があって、このときの背景の画が、以前に風間が千鶴から何かを感じ取ったときと同じだったのは、千鶴も風間たちと同じ鬼の能力を持っているということを表していたのでしょう。
千鶴も彼らと同じ種族と考えていいようです。
ただし、千鶴は東の鬼で、風間たちは西の鬼ということかな?

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2010年05月02日

今週の一本(2010/4/25~5/1)―『薄桜鬼』第5話

今回は、追い詰められて行き場を失った山南が人間をやめてしまう話。
ストーリーは最初からずっと静かに進行しますが、ラストの緊張感の盛り上げ方は尋常でなかったです。
不審な動きをする山南から始まり、それに気付いて後を追う千鶴。
そして「薬」の真実を聞かされて必死に山南を止めようとした千鶴が迎える絶体絶命の危機。
この一連のシーンのカット割りとカメラワークは(ちょっとカメラを揺らしすぎなようにも思えますが)必見です。

また、全編シリアスというわけではなくて、コミカルなシーンもありました。
藤堂と近藤が江戸に行ってしまった後、残りの主要メンバーだけで迎える夕食シーンです。
斎藤が辛いと言ったのを皮切りに、原田も味付けを酷評。
原田は「これ作ったの総司だろぉ」と沖田を非難します。
でも沖田は、野菜を茹でて醤油に浸すところまでは自分がやったとは言いますが、自分が作ったとは言いません。
そして、別に不味くはないと、平気な顔をして料理を食べ続けます。
すると今度は斎藤が立ち上がり、料理を水洗いしてくると言って部屋から出て行ってしまいます。
塩分の摂り過ぎには気をつけている、何気に健康志向な斎藤。
これに原田、土方が続き、最後はついに平静を装っていた沖田までが出て行ってしまいました。
一人部屋に残された千鶴は、わけがわからなくて呆然。
おそらく最終的な味付けをしたのは千鶴で、京と江戸の味付けの違いが出てしまったのでしょう。
沖田は途中まで千鶴のことを気遣って我慢して食べていたのだと思います。
この時点で、千鶴が京に来てから9ヵ月ほど経っているので、このシチュエーションには無理があるようにも思えますが、こういうエピソードは和みます。


さて本題です。
今回、また新たなキャラが登場します。
腕の立つ剣客であると同時に優れた論客でもある伊東甲子太郎(いとう かしたろう)です。
新選組は最近の働きを認められて警護地が広がったため、新たに伊東を迎え入れることで隊の増強を図ろうとします。
手始めに伊東と同門の藤堂を江戸に送って話を通してもらい、その後、近藤が直々に出向いて勧誘。
伊東は近藤の申し出を快く受け入れました。

でもこれが山南を追い詰めることになってしまいます。
左腕が治る見込みはなく、剣士としては死んだも同然。
土方たちは山南が必要不可欠な人材だと言ってくれていますが、山南自身は伊東の入隊で自分の役目は終わったと考え始めました。
そして、行き詰った山南はついに「薬」に手を出します。

この薬はもともと西洋から来たもので、「人間に劇的な変化をもたらす秘薬」だそうです。
簡単に言ってしまうと、筋肉と自己治癒力の増強をはかる薬。
でもこの薬には、投与された人間が理性を失って血に飢えた化け物と化してしまうという致命的な欠陥がありました。
千鶴の父・綱道は幕府の密使を受けて、新選組の隊士を実験体とすることで、この薬の改良をしていたそうです。
でも、綱道は行方不明となり、研究は中断。
山南は、残された資料をもとに自分なりに改良を続けていました。

夜中に一人で研究室にやってきた山南は、偶然その動きに気付いて後を追ってきた千鶴にこの事実を話します。

そして今、2人の目の前にあるのが、改良した薬。
薬の調合が間違っていなければ、腕の傷が完治するかもしれません。
千鶴は必死に止めようとしますが、山南は「剣客として死に、ただ生きた屍になれというのであれば、人としても死なせてください」と言って、薬を飲み干してしまいます。
そして理性を失う山南。
千鶴は山南の手にかかって絶体絶命の状況に陥ります。

ということで、今回もまたいいところで終了。
千鶴が助かるのは間違いないとして、山南は今後どうなってしまうのでしょうか。
また、「薬」の効力として「自己治癒力の増強」という言葉が出てきましたが、
これは、前回千鶴が見せた能力に直結しそうな効力です。
千鶴と薬の間に何かつながりがあるのでしょうか。

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2010年04月25日

今週の一本 その2(2010/4/18~4/24)―『薄桜鬼』第4話

今回は、前回の流れを引き継いで禁門の変が勃発。
いまのところ大まかな流れは史実に沿っているようです。

史実からはずれる要素ももちろんありました。
その一つが、アバンで登場した「姫」と呼ばれる新キャラ。
姫というわりにずいぶん質素な小屋にいたのが気になりましたが、それよりもさらに気になったのが彼女のセリフ。
お付きのくノ一(?)に「300年ぶりの嵐が吹きそう」だと言っていました。
劇中では禁門の変が起こっているので、元治元年(1864年)が舞台です。
300年前の嵐とは、おそらく1573年の室町幕府滅亡のことでしょう(正確に300年前ではありませんが)。
この姫は江戸幕府の滅亡を予見しているようです。
なんだかかなり面白そうな動きを見せてくれそうなキャラです。


本編。

会津藩の要請で出陣し、伏見奉行所にやってきた新選組でしたが、そのような通達は届いていないと一蹴されてしまいます。
ここで問題を起こせば会津藩の面子を潰すことになりかねないので、奉行所を離れて会津藩の設営陣地に行ったものの、そこでも邪魔者扱いされ、最終的に九条河原で待機することに。
九条河原には会津藩の予備兵がいました。
一夜明けたころ、天子様の御所の方から砲声が轟きます。
予備兵たちは、出動命令はまだ出ていないと言って動こうとせず、新選組を引きとめようとしますが、土方はそんな戯言を聞き入れません。
「長州の野郎どもが攻め込んできたら、援軍に行くための待機だろうが! 自分の仕事にひとかけらでも誇りがあるなら、てめえらも待機だうんぬん言わずに動きやがれ!」

新選組が御所に駆けつけたときには、長州兵はすでに退却していました。
「天に唾した者がどうなるか、見せてやる」と俄然闘志を燃やす土方。

新選組は次の動きを決めます。
原田は隊を率いて御所に残る長州残党の征伐へ。
斎藤と山崎は蛤御門の状況確認と守備。
沖田と井上は敗走する長州兵を追って京を離れる許可を得るため、守護職のもとへ。
土方は残りの隊士を引き連れて、御所襲撃の首謀者たちを追って天王山へ向かいます。

斎藤と山崎
蛤御門では会津藩と薩摩藩の兵が手柄の取り合いで揉めていました。
薩摩兵は新選組の羽織を纏った斎藤の姿に気付き、浪人の手を借りなければ戦えないのかと会津兵を愚弄します。
薩摩兵と会津兵があやうく斬り合いになるところに天霧九寿(あまぎり きゅうじゅ)が現れ、薩摩兵を止めます。
会津兵のほうも斎藤が止めました。
ここで天霧は、池田屋で藤堂に怪我をさせたことを謝ります。
斎藤はその謝罪を素直に受け入れず、新選組に仇をなした天霧の喉元に居合いで刀を突きつけました。
ところが天霧はまったく動じず、今は戦う理由がないと言うだけです。
斎藤はさらに、薩摩兵たちが会津を愚弄したことにも触れ、侮辱が繰り返されるなら戦わざるを得ないと言って一歩も引きません。
天霧は、薩摩兵たちのあさはかな言動を認めて、再度頭を下げます。
これを受けて刀を納める斎藤。
斎藤はここで一戦交えようとしたわけではなく、天霧の才覚を見極めたかっただけのようです。

原田
長州の残党と会津兵が対峙する現場に到着した原田は、長州兵に格の違いを見せつけます。
長州兵はここが潮時と判断して撤退。
会津兵は長州兵を追討しようとしますが、ここで銃声が鳴り響きます。
なんか変なのが現れました(^^;
不知火匡(しらぬい きょう)という人物のようです。
斎藤や天霧とは違って、こちらの二人は熱い男同士。
銃と槍の戦いが始まりました。
お互い一歩も譲らず、戦いは長引きます。
最終的に、お互いに相手の力を見極めたところで名乗り合い、決着は次回出会ったときに持ち越しとなりました。
不知火は退却します。

土方
天王山を目指す土方たちが川を渡ろうとすると、橋の上に一人の人物が。
風間千景(かざま ちかげ)です。
千鶴は彼が池田屋にいた人物であることに気付きました。
風間はいきなり一人の隊士を斬り、新選組を挑発します。

隊士を斬った理由を聞かれ、風間は答えます。
「貴様らが武士の誇りも知らず、手柄を得ることしか頭にない幕府の犬だからだ。敗北を知り、戦場(いくさば)を去った連中を何のために追い立てようというのだ。腹を切る時と場所を求め、天王山を目指した長州侍の誇りを何故に理解せぬのだ」

「じゃあ、誰かの誇りのためにほかの命を奪ってもいいんですか」と、千鶴はおもわず反論。
千鶴を見た風間は、心の中で「この女・・・」と呟きます。
単に千鶴に不快感を示したのではなくて、どうやら千鶴の気配から何かを感じ取ったようです。
ついでに、千鶴が女だということもしっかり認識しています(^^;

風間 「ならば新選組が手柄を立てるためであれば他人の誇りを犯しても良いと言うのか」
この問いに千鶴は窮してしまい何も答えられません。

ここで土方が割って入ります。
「偉そうに話し出すから何かと思えば、戦を舐めんじゃねえぞ。身勝手な理由で喧嘩を吹っかけておいて、討ち死にする覚悟もなく尻尾を巻いた連中が、武士らしく綺麗に死ねるわけねえだろうが! 罪人は斬首刑で十分だ。自ら腹を切る名誉なんざ、御所に弓引いた逆賊には不要なもんだろ」

風間 「自ら戦を仕掛けるからには、殺される覚悟も済ませておけと言いたいのか」
土方 「死ぬ覚悟もなしに戦を始めたんなら、それこそ武士の風上にも置けねえな。やつらに武士の誇りがあるんなら、俺らも手を抜かねえのが最後のはなむけだろう」

このセリフを合図に、風間を取り囲む隊士たち。
ところが土方はその隊士たちを一喝し、当初の目的を果たすため天王山に向かうように指示します。
そして始まる風間と土方の一騎打ち。
激しい討ちあいの末、土方が風間の手から刀を飛ばしました。
でも、一瞬映る風間の表情からすると、わざと刀を手放したように見えます。
刀は、斬られた隊士の手当てのために残っていた千鶴に向かって飛び、千鶴の右腕をザックリと切り裂きました。
ここで驚きの光景が展開。
千鶴の傷が瞬く間にふさがっていきます。

それを見た風間は予想通りの結果に納得した様子です。

と、ここで天霧登場。
薩摩藩に与する自分たちには新選組と戦う理由がないことを風間に言い聞かせ、二人でその場を立ち去ってしまいました。
風間は去り際に千鶴に鋭いまなざしを向けて一言言い残していきます。
「まさかとは思ったが、やはり」

土方はあえて深追いせずに、千鶴のもとへ。
千鶴を心配して傷口に手を伸ばしますが、千鶴は自分で何とかできると土方の好意を拒否します。
単に遠慮しているのではなく、千鶴自身が自分の治癒能力の存在を知っていて、それを土方に知られたくないように見えます。

その後、土方たちは天王山に向かい、先行していた隊士たちと出会って報告を受けます。
御所襲撃の首謀者たちはすでに自決していたようです。

このとき一人の隊士が、京の町が燃えていることに気付きました。
逃げ延びた長州の残党が火を放ったようです。
この火事により、家屋や寺社などが大量に焼失しました。
これ以降、長州藩は朝廷に歯向かう逆賊に指定され、本格的に動乱の時代に突入します。


ということで、今回はここまで。

今のところこの作品を面白く感じている一番の理由は、歴史という重みに裏打ちされた緊張感を感じさせてくれる演出にあると思っていたので、土方たち新選組と風間&天霧の戦いがメインになってきた段階で面白みが半減するだろうと予想していました。
ところが今回、千鶴にまったく予想外の設定が隠されていることがわかって、史実から逸脱した面での展開も楽しみになってしまいました。
面白さはもうしばらく継続しそうです。


今週の山南さん。
「あの薬を使えば、私も再び剣をとることができるかもしれない・・・」
なんだか暗黒面に向かって突き進んでいる感じです。
次回、大きな動きがありそうな予感が。


ところで、風間も天霧も(そして不知火も?)瞳孔が小さくて猫のように縦長に描かれているのは何か意味があるのでしょうか?
風間が日本刀を片手で振り回していることも、池田屋で天霧が藤堂の刀を素手で(?)受け止めていたことも、常人の行動とは思えません。
もしかしたらこれにも「薬」というのが関係しているのでしょうか。
今回のサブタイトル「闇より来る者」は彼らのことを指しているように思えます。
そしてもしかしたら、千鶴もそれに近い存在なのかもしれません。

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2010年04月18日

今週の一本 その2(2010/4/11~4/17)―『薄桜鬼』第3話

今回は、池田屋での殺陣シーンの出来が想像以上に良くて見入ってしまいました。
細かいことを言えば、かなりのシーンで作画が崩れ気味でしたが、構図やカット割りでうまいぐあいに緊張感を作り上げていたので、作画に関しては自分的にはそれほど気にならなかったです。
また、討ち入りが終わってから、倒れている沖田の前で千鶴が「どうして私を守ってくれたんですか?」と問いかけるシーンは、背景の壁に飛び散っている大量の血液と千鶴の存在の落差が大きく、かなりのインパクトがありました。

この討ち入りシーンでは、2人の新キャラが登場しています。
キャストクレジットによれば、風間千景と天霧九寿という名前のようです。
オープニングの映像からすると、風間千景がラスボス的な位置づけになるのでしょうか?

今回はこの2人の新キャラの顔見世も重要でしたが、さらにもう1つ重要なことがありました。
新選組内での千鶴の立場の変化です。
四国屋に伝令で走った千鶴の功績を認めて、土方が千鶴を受け入れたようです。
態度自体は相変わらず無愛想ですが、原田の巡察に同行させて祇園の「後の祭り」を楽しませてあげる気遣いをみせています。
また、池田屋での働きを認められた新選組が会津藩からの要請で長州制圧のため出陣することになるのですが、伝令や負傷者の手当てなどの人手が足りないため、出陣に同行する気がないかどうかを近藤が千鶴に尋ねています。
第1話での近藤の千鶴に対する態度からすると、わざわざ戦いの場に連れ出すようなことをする人には思えないので、もしかするとこの申し出には土方の口添えがあったのかもしれません。
千鶴は少し考えた後にこの申し出を受けました。
父親が見つかるまで新選組に保護されているだけだったはずが、さらに深く新選組との関わりを持つようになってしまいました。

そして時は元治元年7月。
新選組、出陣。
次回は禁門の変です。


今週の山南さん。
震える左手を黙って見つめて苦悩していました。
今後の動向が気になります。

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2010年04月11日

今週の一本 その2(2010/4/4~4/10)―『薄桜鬼』第2話

今回は、千鶴が屯所に来てから半月ほど経った時点から、池田屋事件が起こるまでを描いていました。
この間、およそ半年ほどの時間が経過しているのでかなり駆け足気味ですが、千鶴が新選組に馴染んでいく様子(というか、土方たちが千鶴に攻略さていく様子?)はしっかり伝わってきたので、それほど違和感はなかったです。
またラスト近くでは、原田左之助が「あいつらが使えれば・・・」とかなり意味深なセリフを発しています。
このセリフは、第1話で斎藤一が処断した化け物じみた隊士たちの謎につながりそうです。
ということで、今回もストーリーの流れはとても静かでしたが、ラスト近くの緊張感はすごかったです。


本編。

千鶴が屯所に来てから半月。
完全に馴染みきっている千鶴は、屯所でみんなと食事をとっています。
そこに大阪出張から戻った土方歳三と山南敬助が現れます。
山南は心配そうなみんなの視線に耐えられなくなり食事を取らずに自室へ。
土方は千鶴が一緒に食事していることに気付き、千鶴を問い詰めます。
誰の許可で部屋を出ているのかと。
すると、俺が、私が、の声が続々と挙がります。
呆れる土方。
そんな土方の様子を見て、千鶴は自室に戻ろうとします。
ところが土方は「食事だけだぞ」と、あっさり千鶴に許可を出しました(^^;

それからしばらくたったある日の朝。
千鶴は勝手場に顔を出します。
そこには朝食の準備をする沖田と斎藤の姿がありました。
さらに藤堂も顔を出します。
千鶴がここにいることを誰も疑問に思っていません。
藤堂は、山南が今日も自室で食事すると言っていることを伝えにきました。
でも、実際には、山南はほとんど食べていないようです。

そのとき後ろを通りかかるのが土方です。
許可したのは一緒に食事することだけだと、あいかわらず厳しい一言。
千鶴は何か手伝いたいのだと弁解し、山南の食事の世話をしたいと申し出ます。
父のそばでけが人の看病もしていたから自分にやらせて欲しいと。
土方 「やめておけ。下手な気遣いはかえって意固地にさせるぞ」
ところが、誰が持って行っても食べないのだから、この際千鶴に・・・と沖田と藤堂が助け舟を出すと、土方はあっさり折れます。
「わかった、わかった。勝手にしろ」と言って、そのまま行ってしまう土方。
そんな土方を見て、千鶴はつぶやきます。
「土方さん、山南さんのこと心配じゃないんでしょうか・・・」
斎藤 「逆だ。むしろ、一番心配している」

山南の部屋。
千鶴が食事を持ってやってきます。
片手でも食べられるように、茶碗にご飯を盛るのではなく、おにぎりを作ってきました。
味噌汁の具も細かく切って、両手を使わなくても飲めるようにしてあります。
それを知った山南の表情がとたんに険しくなります。
「これは同情ですか?左手を使えない私が、無様にこぼしながら食べなくてすむようにとの気遣いですか?」
千鶴は否定しますが、山南はさらに続けます。
「誰の指図です?」
自分が頼んで作ってもらったのだと答える千鶴。
それを聞いた山南は、千鶴が自分の居場所を作りたいがために山南を気遣う素振りをしているのだろうと辛辣な言葉を発します。
千鶴は、そういう気持ちがないとは言い切れないと、山南の言葉を否定しません。
でも、みんなが山南のことを心配しているのだけは本当だから少しでも食べて欲しいと言い残して立ち去ります。

その後、みんなで朝食をとっているところに、山南が自分の食事を持ってやってきました。
驚くみんなをよそに、何事もなかったかのように食べ始めます。
片手では刀を持つ手も震え、自分自身に対してもどかしさと苛立たしさを感じていた山南でしたが、そんな思いも千鶴のひたむきさを前にして消し飛んでしまったようです。


元治元年(文久4年)5月。
千鶴が屯所に来てからそろそろ半年が経とうとしています。
千鶴は庭で洗濯。
活動範囲を着実に広げています(^^;
その後ろでは斎藤が一人稽古です。
千鶴の視線に気付いた斎藤は「何か言いたいことがあるのか?」
「そろそろ父を捜しに、外へ出られないものかなと思って」
「それは無理だ」
今は千鶴の護衛に回せるほど人員に余裕がないようです。
ここで、それまで黙って千鶴を見ていた沖田が、巡察に出かけるときに同行してもらうという手もあると一言。
でも、巡察は危険なので自分の身は自分で守れるだけの腕がなければだめだと付け足すのも忘れません。
千鶴は、護身術くらいなら心得ているし、小太刀の道場にも通っていたと言って、巡察に同行させてもらおうとします。
でも、そう言いながら自信なさげに視線をそらすのは何故でしょうか(^^;
道場に通っていたと言うのは本当なのかもしれませんが、自分の身を守れるほどの実力はないようです。
すると突然、斎藤が腕前を試してやると言い出します。
予想外の展開に驚いてしまう千鶴。
「遠慮は無用だ。どこからでも討ち込んでこい」と言われても躊躇ってしまい動けません。
苦し紛れに「刀で刺されたら斎藤さん死んじゃうんですよ」と言ってはみたものの、それを聞いた沖田に大爆笑されてしまいます。
「一くんに向かって、殺しちゃうかもって不安になれる君は文句なしにすごいよ」
斎藤から、どうしても刀を使いたくないなら峰打ちでこいと言われた千鶴は、ついに決心して峰打ちで斬り込みます。
でも、斎藤の居合い抜きの前にあえなく敗退。
一瞬でのど元に刀を突きつけられたことに驚き、自分の刀が飛ばされたことすら気付いていません。
ところが斎藤は、千鶴の剣には曇りがないから外を連れて歩くのに不便はなさそうだと言ってくれました。
ぶっきらぼうな言動とは裏腹に、斎藤もなにげに千鶴のことを気にかけてくれているようです。
こんなことを言われた千鶴自身が驚いています(^^;
斎藤と沖田は、巡察に同行できるように土方に頼んでみると言ってその場を去ります。
去り際に沖田は「ただし、逃げようとしたり、巡察の邪魔になるようだったら殺すよ」と釘を刺すのも忘れません。
ところが千鶴は満面に笑みを浮かべながら「はい!」
嬉しい気持ちが大きすぎて「殺す」という言葉が耳に入っていないのでしょう。
なんとも無邪気すぎます。

場面変わって土方登場。
土方は巡察への同行をあっさり許可します。
とは言っても、この夜に池田屋事件(元治元年(文久4年)6月5日)が起こることになるので、さきほどのシーンから少なくとも1週間は経過しているようです。
長州の連中が不穏な動きをしているので危険だが、千鶴の父親(綱道)を見かけたという情報も入ってきているので、そろそろ外に出すべきだとの判断でしょう。
千鶴はさっそく一番組に同行して町に出ます。
綱道に似た人物を枡屋で見かけたという証言を得た千鶴は、枡屋に駆け込みます。
ちょうどそのとき通りかかった浪士たちと一番組のいざこざが発生したので、枡屋に入ったのは千鶴一人だけです。
枡屋の中には何人もの浪士たちが控えていました。
千鶴が新選組と一緒だったことを見ていた一人が有無を言わさず斬りかかってきます。
千鶴、絶体絶命・・・というところでタイミングよく一番組が駆けつけてくれました。
一番組はこの機に乗じて枡屋を捜索したようです。
そして武器弾薬を押収し、枡屋の主人・古高俊太郎を捕縛しました。
実は、古高は長州間者の元締めだという疑いがあり、新選組の山崎烝と島田魁が監視していましたが、確証が得られずに手詰まり状態だったようです。

結果的に今回の手柄は千鶴の行動があったからだったわけですが、一歩間違えば山崎と島田の努力がすべて無駄になってしまっていたかもしれないので、千鶴をしっかり監督できなかった沖田が責められることになってしまいます。
そこに土方が現れ、外出を許可した自分にも責任があると言ってくれたので、責任問題についてこれ以上の追及はなくなりました。
土方は古高を取調べていたようで、自白から判明したことをみんなに伝えます。
長州の浪士たちは、風の強い日に京の町に火を放ち、混乱に乗じて天子様を長州へ連れ出す計画を立てていたようです。
古高が捕縛されたので、善後策を講じるために今夜にも会合を開くはずとふんだ土方たちは、会合の場で長州勢を取り押さえようとします。
事態は急を要するのでさっそく隊士を集めますが、今動ける隊士は34名のみ。
応援を要請していた会津藩と所司代は、確証がないのでまだ動いてくれません。
ここで原田と斎藤がかなり意味深な会話をします。
「こんなとき、あいつらが使えれば良かったんだがな」
「しばらく実戦から遠ざけるらしい」
この会話が第1話の冒頭に登場した常軌を逸した隊士たちにつながりそうなことは容易に想像できます。
“新撰組”は裏で人体改造(?)の実験でもしているのでしょうか?

さて、土方たちは、四国屋か池田屋のどちらかが会合の場所だと絞り込みますが、どちらが本命なのかは判断できません。
池田屋を頻繁に利用していたので、古高が捕縛された夜にいつもと同じ場所に集まるとは考えられないという山南の意見もあり、可能性が高いのは四国屋だと考えますが、池田屋が本命という可能性も捨てきれないので隊を二手に分けます。
四国屋には土方以下24名、池田屋には近藤以下10名が向かいます。
手薄になった屯所が襲われる可能性もあるため、山南は屯所に残ります。
全員出払ったところで、山崎が屯所に戻ってきました。
そして、本命は池田屋だと報告。
山崎はそのことを土方にも伝えに行こうとします。
山南はそんな山崎に千鶴を同行させます。
途中何が起こるかわからないので、この情報を土方に確実に伝えるために。

屯所を出た山崎と千鶴は、さっそく異変に遭遇します。
4人の浪士たちが屯所の様子をうかがっていました。
彼らは最初はとぼけていましたが、すぐに本性を表し、斬りかかってきました。
山崎はその場は自分が引き受け、千鶴を土方のもとに向かわせます。

その頃、池田屋の前で会津藩と所司代からの応援を待っていた近藤たちも、こちらが本命だと気付いていました。
会津藩からの応援はまだ来ないので、これ以上待っていては逃げられてしまうと判断し、自分たちだけで踏み込むことに。
近藤 「会津中将殿お預かり、新選組! 詮議のため宿内をあらためる!」


そして最後は「こうして、長く激しい戦いの夜が始まった」という千鶴のモノローグで締め。
手に汗握ると言ってしまうと大げさですが、池田屋事件勃発までの緊張感の盛り上げ方はなかなか良かったです。
次回の殺陣でどこまで盛り上げてくれるのか、期待感が高まります。

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posted by animisc at 19:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 薄桜鬼 | 更新情報をチェックする