近藤が板橋で斬首されたことを知った沖田が、病をおして土方のもとに駆けつける場面から始まる今回のエピソード。
この後には、沖田と原田の死という一大イベントが展開しました。
原田の場合は、不知火とともに綱道率いる羅刹隊を倒した末の死です。
この二人の友情に近い奇妙な関係はなかなかグッとくるものがありました。
綱道は爆風で川に飛ばされただけに見えるので、今後の復活もありそうです。
沖田は労咳が進行してすでに戦える体ではなかったにもかかわらず、近藤がその命を賭してでも救おうとした土方を守るために、孤独な戦いを展開しました。
そして、ボロボロになった刀だけを残して最期を迎えます。
おそらく灰になってしまったのでしょう。
どちらのシーンも悲壮感が漂う感動的なシーンでしたが、総合的な感想を一言で表すなら「もったいない」です。
原田と沖田という重要キャラの死を1話に詰め込んだため、物語性よりも、大きなイベントをこなすのに精いっぱいという感が強かったです。
1期からここまでの思い入れがあるから十分感動的ではありましたが、やはりもっと時間をかけて物語をふくらませる形でじっくり描いてほしかったように思います。
今期は全10話らしいので、そのしわ寄せが来てしまったのでしょうか?
とにかくもったいないつくりでした。
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2010年11月14日
2010年10月31日
今週の一本 その2(2010/10/24~10/30)―『薄桜鬼 碧血録』第16話
今回は、近藤が自分のためにつらい思いをして羅刹にまでなってしまった土方や新選組隊士たちを救うために自らを犠牲にする話。
土方は、これまで近藤のためと信じてとってきた行動が逆に近藤を苦しめていたことを知るとともに、近藤の命と引き換えに自分が延命したことに苦しみます。
互いを思いやる気持ちが最悪の結果につながってしまうという皮肉な展開です。
さらに、羅刹に重大な欠陥があることも判明しました。
羅刹の力を使うことと引き換えに寿命が短くなり、力を使いすぎると灰になって果ててしまうという欠陥。
この事実を天霧から聞かされた斎藤はさっそく土方に報告しました。
土方は羅刹隊の増強を即刻中止するよう山南に命じます。
これに納得できない山南は、原田や永倉が離隊した今、羅刹隊の増強は急務であると反論。
欠陥を克服するための研究も進めるべきだと主張します。
山南の言うことは正論なので言葉で納得させることはできないと判断した土方は、ついに副長命令という最終手段で山南を黙らせてしまいました。
次に土方は、今後の新選組の行動について話します。
徳川慶喜(よしのぶ)公が寛永寺に謹慎させられたため江戸での活動ができなくなったので、江戸で隊士を募って体勢を立て直してから松平容保(かたもり)公のお膝元、会津に陣を移すことになりました。
羅刹隊の存在を秘匿するため、羅刹隊は先に会津に向かわせます。
土方の話はここまで。
解散して土方と二人きりになった千鶴は土方に頼みます。
もう羅刹の力は使わないでほしいと。
千鶴は土方が自分をかばうために羅刹になってしまったと思い責任を感じていました。
そんな千鶴に土方は、羅刹になったのは自らの意志だと言って千鶴の罪悪感を取り除こうとします。
「土方さんがそうおっしゃるから、余計につらくなってしまうんです。羅刹になんてなりたくなかったって、本当の気持ちを言ってください」
千鶴の率直な物言いに土方は負けてしまいます。
千鶴の口ぶりは土方の姉のものに似ているので、身内に叱られているようで言うことを聞かなければならない気にさせられるそうです。
羅刹の力は使わないと言って、とりあえず千鶴を安心させました。
そのとき土方は吸血衝動の発作に襲われます。
千鶴は自分の指を切って血を与えようとしますが、土方はそれを止めて千鶴を部屋から追い出しました。
千鶴は障子越しに土方が苦しむ声を聞き心を痛めます。
そして、土方の苦しみを知ってつらい思いを抱える人物がもう一人。
近藤です。
廊下の角に身を隠して土方と千鶴のやり取りを聞いていました。
近藤はまた、先ほどの羅刹の欠陥についての話も聞いてしまっています。
結局土方は、以前に藤堂からもらった薬で吸血衝動を抑えます。
これまでは強い精神力で抑えてきたのに、ついに薬に頼らなければならなくなったようです。
慶応4年4月2日。
新選組は下総流山の造り酒屋・長岡屋へ陣を移しました。
斎藤は集まった新兵を訓練するために別行動をとっています。
千鶴がいつものように近藤の部屋にお茶を持っていくと、近藤は読書中でした。
机の上には三国志演義、清正記、水滸伝などが無造作に並んでいます。
近藤は千鶴に向かって話し始めます。
子供の頃は関聖帝君(かんせいていくん)のような立派な武将になって誰かのために戦いたいと思っていたと。
先日の甲府城での負け戦を想いながら、望むだけでは名将にはなれないと気付くのが遅すぎたと後悔の念を口にします。
千鶴にこんなことを愚痴ってしまうくらい、相当落ち込んでいるようです。
そのとき土方と島田が慌ててやってきました。
二人は、長岡屋の周りに200~300人の官軍が集まっていると報告します。
多くの隊士は斎藤と一緒に訓練中で、ここに残っているのはごくわずか。
戦いを避けて逃げるしかありません。
土方は自分一人でなんとかするから全員で逃げるよう島田に指示し、さっそく飛び出していこうとします。
そんな土方を千鶴と島田が止めます。
さらに、これまで黙っていた近藤が動きました。
自分が官軍の本陣に行って時間を稼ぐからその間に逃げてほしいと言い出します。
新選組の名前を出さずに、この辺りを警備している鎮圧部隊だと言えば、土方たちが逃げるまでの時間稼ぎくらいできると。
土方は、そんな話はすぐにばれると猛反対です。
それでも近藤は、ばれたとしても自分は大名の位を持っているので簡単には殺されないと言って土方を安心させようとします。
土方が言うように、旧幕府からもらった身分など官軍にとっては意味がないことなど承知しているはずです。
近藤は死を覚悟しています。
土方は自分なら心臓を貫かれない限り死なないから、時間稼ぎなら自分のほうが適任だと言って近藤の考えを変えさせようとしますが、近藤は引こうとしません。
そしてついに、近藤は局長として土方に命令します。
「ならばこれは命令だ!土方副長、駐留している隊士たちを率い、市川の部隊と合流せよ」
局長の命令は絶対です。
土方は近藤が自分に命令しているという事実にショックを受けてしまいます。
近藤はさらに、敵が押し入ってくる前にここから逃げるよう島田にも指示しました。
島田はしばしためらいますが、近藤の決意を察してこの指示に従います。
土方も一緒に来るよう促して逃げようとします。
それでも動こうとしない土方に近藤は言います。
「なあ、歳。そろそろ楽にさせてくれ。俺を担ぎ上げるためにあちこち走り回って、しまいには羅刹にまでなって。そんなお前を見てるのはつらいんだ」
「俺は――。俺のしてきたことが、あんたを苦しめてたのか?侍になって、お上に仕えて、そうすりゃあんたが一緒に喜んでくれると思って、俺は――」
「すまん。お前をそこまで追い詰めたのは俺だ」
ここまで言われてしまっては近藤に従うしかありません。
土方は最後にもう一度だけ確認します。
近藤を残して自分が逃げることが近藤の望みであることを。
そして島田に逃走経路を確保するよう指示してから、自分も撤退の準備を進めるため部屋から出ていきます。
千鶴はひとまず部屋に残りました。
誰もいなくなったところで近藤が千鶴にお金を渡します。
千鶴の逃亡資金です。
新選組と一緒にいては危険なので、千鶴を一人で逃がそうとします。
土方にはうまく伝えておくから今すぐここを離れるよう千鶴に促します。
でも千鶴はこれを拒否し、はっきりと自分の意志を伝えました。
「私は土方さんとともに行きます」
その眼には一点の曇りもありません。
そして今度は千鶴が近藤を誘います。
一緒に逃げようと。
それが土方や島田の望みでもあると。
当然ながら近藤ははっきりとこれを拒絶しました。
もし自分が逃げると言えば、土方が羅刹になって戦うことは明白だからです。
そうなれば土方の寿命が縮んでしまいます。
「あいつの命と引き換えに今の俺が生き延びるわけにはいかん」
近藤は、自分ができる最後のことをしようとしています。
おとりになってみんなを逃がすことです。
「雪村くん。歳のことをよろしく頼む」
近藤は頭を下げて千鶴に頼みました。
そしていよいよ長岡屋から逃げる時がやってきます。
まずは島田とほかの隊士たちを先に行かせ、土方と千鶴は少し遅れて出ていきました。
やがて土方と千鶴は島田たちに追いつきます。
でも運の悪いことに島田たちは官軍に見つかって足止めされていました。
土方は即座に飛び込んで2人の官軍兵を倒します。
でもすぐに別の敵が小高い丘の上に現れてしまいました。
今度は数十人規模です。
土方はこの場は自分一人で対応すると言って、島田たちを先に逃がします。
そして千鶴の目の前で羅刹化して敵の中に飛び込んでいきました。
銃弾を受けてもひるむことなく、数十人の官軍兵を次々に倒していきます。
しばらくして千鶴が丘の上に行ってみると、そこには官軍兵の死体が累累と横たわっていました。
その中に一人立つ土方。
土方は島田たちが逃げ切れたかどうか千鶴に確認し、千鶴もすぐに逃げるよう命令します。
でも千鶴は土方の言葉を聞きません。
「すみません。その命令は聞けません―――邪魔にならないようにします。だから、今はそばにいさせてください」
この言葉を聞いて緊張の糸が切れてしまったのか、土方は自分のやるせない想いを口にし始めました。
「俺は、何のためにここまでやって来たんだろうな。あんなところで近藤さんを敵に譲り渡すためか?あの人を押し上げて関聖帝君や清正公どころじゃねえ本物の武将にしてやりたかった。片田舎の貧乏道場の主と農民の子でどこまで行けるのか試してみたかった。俺たちは同じ夢を見てたはずだ。なのに、どうして俺はここにいるんだ?近藤さんを置き去りにして、どうしててめえだけ助かってるんだよ!絶対見捨てちゃいけねえ相手を見捨てて、てめえだけ生き残って!」
「土方さんが近藤さんのことを想っているように、近藤さんも土方さんに死んでほしくなくて、もっともっと生きてほしくて、だから、どうしてもああならざるを得なかったんだと思います」
その頃、近藤は官軍に投降していました。
近藤の顔には後悔の念のかけらもありません。
なにも思い残すことがないかのような清々しい顔です。
やがて近藤は、指揮官らしき人の前まで連れてこられました。
近藤を見た兵士の一人が指揮官に耳打ちします。
おそらく彼は近藤が新選組の局長だと知っていたのでしょう。
史実どおり、近藤の余命も残すところわずかのようです。
ということで今回はここまで。
時代の流れに翻弄されて破滅へ向かうしかない男たちの想いがせつなすぎます。
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土方は、これまで近藤のためと信じてとってきた行動が逆に近藤を苦しめていたことを知るとともに、近藤の命と引き換えに自分が延命したことに苦しみます。
互いを思いやる気持ちが最悪の結果につながってしまうという皮肉な展開です。
さらに、羅刹に重大な欠陥があることも判明しました。
羅刹の力を使うことと引き換えに寿命が短くなり、力を使いすぎると灰になって果ててしまうという欠陥。
この事実を天霧から聞かされた斎藤はさっそく土方に報告しました。
土方は羅刹隊の増強を即刻中止するよう山南に命じます。
これに納得できない山南は、原田や永倉が離隊した今、羅刹隊の増強は急務であると反論。
欠陥を克服するための研究も進めるべきだと主張します。
山南の言うことは正論なので言葉で納得させることはできないと判断した土方は、ついに副長命令という最終手段で山南を黙らせてしまいました。
次に土方は、今後の新選組の行動について話します。
徳川慶喜(よしのぶ)公が寛永寺に謹慎させられたため江戸での活動ができなくなったので、江戸で隊士を募って体勢を立て直してから松平容保(かたもり)公のお膝元、会津に陣を移すことになりました。
羅刹隊の存在を秘匿するため、羅刹隊は先に会津に向かわせます。
土方の話はここまで。
解散して土方と二人きりになった千鶴は土方に頼みます。
もう羅刹の力は使わないでほしいと。
千鶴は土方が自分をかばうために羅刹になってしまったと思い責任を感じていました。
そんな千鶴に土方は、羅刹になったのは自らの意志だと言って千鶴の罪悪感を取り除こうとします。
「土方さんがそうおっしゃるから、余計につらくなってしまうんです。羅刹になんてなりたくなかったって、本当の気持ちを言ってください」
千鶴の率直な物言いに土方は負けてしまいます。
千鶴の口ぶりは土方の姉のものに似ているので、身内に叱られているようで言うことを聞かなければならない気にさせられるそうです。
羅刹の力は使わないと言って、とりあえず千鶴を安心させました。
そのとき土方は吸血衝動の発作に襲われます。
千鶴は自分の指を切って血を与えようとしますが、土方はそれを止めて千鶴を部屋から追い出しました。
千鶴は障子越しに土方が苦しむ声を聞き心を痛めます。
そして、土方の苦しみを知ってつらい思いを抱える人物がもう一人。
近藤です。
廊下の角に身を隠して土方と千鶴のやり取りを聞いていました。
近藤はまた、先ほどの羅刹の欠陥についての話も聞いてしまっています。
結局土方は、以前に藤堂からもらった薬で吸血衝動を抑えます。
これまでは強い精神力で抑えてきたのに、ついに薬に頼らなければならなくなったようです。
慶応4年4月2日。
新選組は下総流山の造り酒屋・長岡屋へ陣を移しました。
斎藤は集まった新兵を訓練するために別行動をとっています。
千鶴がいつものように近藤の部屋にお茶を持っていくと、近藤は読書中でした。
机の上には三国志演義、清正記、水滸伝などが無造作に並んでいます。
近藤は千鶴に向かって話し始めます。
子供の頃は関聖帝君(かんせいていくん)のような立派な武将になって誰かのために戦いたいと思っていたと。
先日の甲府城での負け戦を想いながら、望むだけでは名将にはなれないと気付くのが遅すぎたと後悔の念を口にします。
千鶴にこんなことを愚痴ってしまうくらい、相当落ち込んでいるようです。
そのとき土方と島田が慌ててやってきました。
二人は、長岡屋の周りに200~300人の官軍が集まっていると報告します。
多くの隊士は斎藤と一緒に訓練中で、ここに残っているのはごくわずか。
戦いを避けて逃げるしかありません。
土方は自分一人でなんとかするから全員で逃げるよう島田に指示し、さっそく飛び出していこうとします。
そんな土方を千鶴と島田が止めます。
さらに、これまで黙っていた近藤が動きました。
自分が官軍の本陣に行って時間を稼ぐからその間に逃げてほしいと言い出します。
新選組の名前を出さずに、この辺りを警備している鎮圧部隊だと言えば、土方たちが逃げるまでの時間稼ぎくらいできると。
土方は、そんな話はすぐにばれると猛反対です。
それでも近藤は、ばれたとしても自分は大名の位を持っているので簡単には殺されないと言って土方を安心させようとします。
土方が言うように、旧幕府からもらった身分など官軍にとっては意味がないことなど承知しているはずです。
近藤は死を覚悟しています。
土方は自分なら心臓を貫かれない限り死なないから、時間稼ぎなら自分のほうが適任だと言って近藤の考えを変えさせようとしますが、近藤は引こうとしません。
そしてついに、近藤は局長として土方に命令します。
「ならばこれは命令だ!土方副長、駐留している隊士たちを率い、市川の部隊と合流せよ」
局長の命令は絶対です。
土方は近藤が自分に命令しているという事実にショックを受けてしまいます。
近藤はさらに、敵が押し入ってくる前にここから逃げるよう島田にも指示しました。
島田はしばしためらいますが、近藤の決意を察してこの指示に従います。
土方も一緒に来るよう促して逃げようとします。
それでも動こうとしない土方に近藤は言います。
「なあ、歳。そろそろ楽にさせてくれ。俺を担ぎ上げるためにあちこち走り回って、しまいには羅刹にまでなって。そんなお前を見てるのはつらいんだ」
「俺は――。俺のしてきたことが、あんたを苦しめてたのか?侍になって、お上に仕えて、そうすりゃあんたが一緒に喜んでくれると思って、俺は――」
「すまん。お前をそこまで追い詰めたのは俺だ」
ここまで言われてしまっては近藤に従うしかありません。
土方は最後にもう一度だけ確認します。
近藤を残して自分が逃げることが近藤の望みであることを。
そして島田に逃走経路を確保するよう指示してから、自分も撤退の準備を進めるため部屋から出ていきます。
千鶴はひとまず部屋に残りました。
誰もいなくなったところで近藤が千鶴にお金を渡します。
千鶴の逃亡資金です。
新選組と一緒にいては危険なので、千鶴を一人で逃がそうとします。
土方にはうまく伝えておくから今すぐここを離れるよう千鶴に促します。
でも千鶴はこれを拒否し、はっきりと自分の意志を伝えました。
「私は土方さんとともに行きます」
その眼には一点の曇りもありません。
そして今度は千鶴が近藤を誘います。
一緒に逃げようと。
それが土方や島田の望みでもあると。
当然ながら近藤ははっきりとこれを拒絶しました。
もし自分が逃げると言えば、土方が羅刹になって戦うことは明白だからです。
そうなれば土方の寿命が縮んでしまいます。
「あいつの命と引き換えに今の俺が生き延びるわけにはいかん」
近藤は、自分ができる最後のことをしようとしています。
おとりになってみんなを逃がすことです。
「雪村くん。歳のことをよろしく頼む」
近藤は頭を下げて千鶴に頼みました。
そしていよいよ長岡屋から逃げる時がやってきます。
まずは島田とほかの隊士たちを先に行かせ、土方と千鶴は少し遅れて出ていきました。
やがて土方と千鶴は島田たちに追いつきます。
でも運の悪いことに島田たちは官軍に見つかって足止めされていました。
土方は即座に飛び込んで2人の官軍兵を倒します。
でもすぐに別の敵が小高い丘の上に現れてしまいました。
今度は数十人規模です。
土方はこの場は自分一人で対応すると言って、島田たちを先に逃がします。
そして千鶴の目の前で羅刹化して敵の中に飛び込んでいきました。
銃弾を受けてもひるむことなく、数十人の官軍兵を次々に倒していきます。
しばらくして千鶴が丘の上に行ってみると、そこには官軍兵の死体が累累と横たわっていました。
その中に一人立つ土方。
土方は島田たちが逃げ切れたかどうか千鶴に確認し、千鶴もすぐに逃げるよう命令します。
でも千鶴は土方の言葉を聞きません。
「すみません。その命令は聞けません―――邪魔にならないようにします。だから、今はそばにいさせてください」
この言葉を聞いて緊張の糸が切れてしまったのか、土方は自分のやるせない想いを口にし始めました。
「俺は、何のためにここまでやって来たんだろうな。あんなところで近藤さんを敵に譲り渡すためか?あの人を押し上げて関聖帝君や清正公どころじゃねえ本物の武将にしてやりたかった。片田舎の貧乏道場の主と農民の子でどこまで行けるのか試してみたかった。俺たちは同じ夢を見てたはずだ。なのに、どうして俺はここにいるんだ?近藤さんを置き去りにして、どうしててめえだけ助かってるんだよ!絶対見捨てちゃいけねえ相手を見捨てて、てめえだけ生き残って!」
「土方さんが近藤さんのことを想っているように、近藤さんも土方さんに死んでほしくなくて、もっともっと生きてほしくて、だから、どうしてもああならざるを得なかったんだと思います」
その頃、近藤は官軍に投降していました。
近藤の顔には後悔の念のかけらもありません。
なにも思い残すことがないかのような清々しい顔です。
やがて近藤は、指揮官らしき人の前まで連れてこられました。
近藤を見た兵士の一人が指揮官に耳打ちします。
おそらく彼は近藤が新選組の局長だと知っていたのでしょう。
史実どおり、近藤の余命も残すところわずかのようです。
ということで今回はここまで。
時代の流れに翻弄されて破滅へ向かうしかない男たちの想いがせつなすぎます。
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2010年10月17日
今週の一本 その2(2010/10/10~10/16)―『薄桜鬼 碧血録』第14話
前回は比較的平坦な流れで大きな盛り上がりはありませんでしたが、今回はその埋め合わせをするかのように、終盤にかけて二度の見せ場がありました。
1つは、土方と千鶴が金打(きんちょう)するシーン。
これが今回最大の見せ場かと思って油断していたら、ラストでまさかの展開が待っていました。
これ以外にも、序盤の千鶴と斎藤のやりとりも印象的で、こういう2段階、3段階の盛り上げ方はシリーズを通して初めてかもしれません。
ということで本編です。
慶応4年3月。
体調が回復しない沖田を残し、新選組は甲府城に向かいます。
途中、近藤や土方たちがかつて通っていた道場のある地、多摩郡日野に立ち寄った新選組は歓待を受けることに。
ここで1日逗留した後、近藤を残して進軍を再開しました。
やがて休憩となりますが、近藤がまだ追いついてこないことに対して永倉が不満をぶちまけます。
それを抑えるのはやはり土方です。
近藤にはそれなりの理由があるのだと言って永倉をなだめます。
そのとき、古参隊士と新参隊士のいざこざが発生。
永倉と原田が仲裁に行き、土方と斎藤(と千鶴)だけになったところで、斎藤が土方に質問します。
今回の戦に勝算はあるのかと。
土方は、甲府城に籠れない限り勝算はないと断言。
まともに戦えば、士気の面でも、練度の面でも、所有する武器の面でも劣る新選組が負けるのは確実です。
その夜、千鶴は悪夢を見ます。
幼い頃に一族が焼打ちにあい、兄である南雲薫と一緒に逃げまどった記憶でしょうか。
その記憶に土方が撃ち殺されてしまう映像が重なり、千鶴は目を覚まします。
そして、斎藤が一人で歩いている姿を見かけ、その後を追い、斎藤に話しかけました。
負け戦になる可能性が高いのに怖くないのかと。
斎藤は、死ぬことは怖くないが、信じているものを失うのが怖いと答えます。
かつて、ある旗本の子弟に果し合いを申し込まれたことがある斎藤は、試合でその子弟を斬り殺してしまいました。
その結果、武士同士の正当な戦いであったにもかかわらず、罪に問われて脱藩を余儀なくされたそうです。
斬りあって勝ったものが強い。
そういう生き方をするのが武士であると考えていた斎藤は、武士というものが何なのかわからくなってしまいました。
その後、自分の思い描く武士の姿に近いものを見せてくれる新選組と出会った斎藤は、武士のありかたを再確認することができて、今に至っているそうです。
でももう時代は変わってしまいました。
刀や槍の時代は終わってしまいました。
斎藤は、武士として生きられなくなることを恐れています。
そんな斎藤に千鶴は言います。
「確かに、武士や刀が必要とされない時代が来るのかもしれません。でもそれは斎藤さんが必要とされなくなるということじゃないと思います。斎藤さんの剣は、人を斬るだけでなく、人を助けることもできる剣です。私は池田屋で、斎藤さんの剣に助けられました」
さらに千鶴は、かつて斎藤が口にした「時代は変わっていくが、それでも変わらないものを信じている」という言葉を引き合いに出し、大切なのは武士の時代が終わっても武士の魂が変わらないことで、斎藤をはじめとする新選組の幹部たちはその意味で本物の武士だと思うと語ります。
この言葉を受けて、斎藤は、もともと武家の出ではない近藤や土方の魂が真の武士のものであると感じていたことを思い出しました。
そして一つの考えにたどり着きます。
武士というのは、外部からの影響で変わったり無くなったりするものではなく、確固たる信念を持って生きる生き様のことなのだと。
「今はただ、微衷(びちゅう)を尽くすのみか…」
最後にそう言った斎藤は、走り寄ってくる人影に気付きます。
おもわず身構えましたが、その人影は島田のものでした。
島田は緊急事態を報告します。
甲府城に敵が入ってしまいました。
将となる人物は、甲斐武田の流れをくむ者で、地元の部隊を味方につけて進軍の準備を進めています。
日野での逗留による遅れが災いし、新選組は後れを取ってしまいました。
土方は近藤への伝令を出すと同時に、陣を移動させます。
でもすべてが手遅れです。
さらに、この時点で隊士の総数は300名以上になっていましたが、事実を知った隊士の半数近くが脱走してしまい、事態は悪化する一方です。
伝令を受けて近藤がやって来たのは夜が明けた翌日でした。
さっそく幹部たちで作戦会議です。
勝てる見込みはないので、永倉と原田は退くことを進言します。
でも近藤はそれを拒否。
このまま敵の出方を見ると言い出します。
ありえない判断に永倉が反発しても、まったく意に介さず、永倉を臆病もの扱いです。
この対応に永倉はついにキレてしまいました。
が、ここで土方が江戸に行って援軍を呼んでくると発言したことで、永倉の怒りはひとまず収まります。
近藤もこの提案を了承。
土方はさっそく江戸に向かおうとしますが、出発する前に、見送りに来た千鶴に今すぐこの場を離れるよう命じます。
千鶴をここまで連れてきたのは土方ですが、ここまで状況が悪化するのは予想外だったのでしょう。
少しでも安全な場所に千鶴を逃がそうとしています。
でも千鶴は、みんなが戦っているのに自分だけ逃げるわけにいかないと言って、この命令をはっきりと拒否しました。
土方の代わりに近藤を守ると言って、自分の決意を示します。
千鶴の強い意志を感じ取った土方は、千鶴の考えを認めて新たな命令を伝えます。
「ならば新選組の一員として、雪村千鶴に近藤局長の護衛役を命じる。常に局長に付き従い、その役に立て」
さらに、命に代えても近藤を守ると答えかけた千鶴を制止し、絶対に死ぬなと付け加えることも忘れません。
「盾になろうなど、バカなことは考えなくていい。俺が帰る前に何かあったら斎藤と協力して近藤さんを逃がせ。絶対に死ぬんじゃねえぞ」
そして千鶴に小太刀を抜かせ、金打します。
「武士が誓いを立てるときにこうするもんなんだとよ。もっとも、俺もお前も正式な武士じゃねえから、所詮真似事だがな。だが、これは証だ。俺は必ず戻ってくる。お前も生き延びて俺に会うという証をいま立てた。だから信じて待ってろ。死なずにな」
土方は、自分が“まがいもの”の武士であることに負い目を感じているのでしょう。
このときの土方の寂しげで自嘲気味な表情がなんともいえません。
その頃。
新選組が崩壊しかかっていることを知ってほくそ笑む人物が二人。
一人は南雲忍。
そしてもう一人は雪村綱道です。
綱道は「時が満ちたようだな」と何やら思わせぶりな言葉を口にしました。
土方が江戸に向かってすぐに、事態は動きます。
新参の隊士が早まって発砲したことがきっかけとなり、土方の援軍を待つことなく戦いが始まってしまいました。
新選組の隊士が次々と倒れていきます。
原田が近藤に撤退命令を出すよう求めますが、近藤が応じるはずはありません。
やがて南と北から新たな敵が出現。
新選組の全滅も時間の問題です。
原田が再度撤退を進言するも、近藤の考えは変わらず、今度は自らが数名の隊士を引き連れて突撃してしまいました。
「武士ならば、命ではなく名をこそ惜しめ!」というその言葉はいかにも武士のそれですが、気合だけで勝てる時代はすでに終わってしまったことに気付いていません。
そしてすぐに、至近に砲撃を受けて吹き飛ばされてしまいます。
近藤は、周囲に倒れている隊士たちを目の当たりにし、ついに現状を認識します。
永倉の、部下を無駄死にさせないでほしいという言葉を受けて、ついに撤退を命じることに。
永倉と原田は撤退命令を伝えるために前線に向かいます。
すると近藤は、今度は斎藤に後を任せて一人で突撃しようとします。
このまま生き恥をさらすことができないからです。
どこまでも古い人間です。
でも、千鶴の必死の制止に、ようやく考えを改めてくれました。
前線に到着した原田と永倉は、不思議な光景を目にします。
なぜか敵軍が退いていきます。
原田と永倉は、この隙に隊士たちを退かせようとしますが、原田が至近に砲撃を受けて飛ばされてしまいました。
そこに現れる不知火。
土佐の連中を見張っていたら原田の姿が目に入って、いてもたってもいられなくなったようです。
因縁の対決の始まりです。
その時、隊士を撤退させていた永倉が新手の軍勢に気付きました。
その軍勢は撤退中の新選組に攻撃を開始します。
さらに、激しい戦いを繰り広げていた原田と不知火のもとにも現れ、二人を攻撃し始めました。
応戦した二人は、その軍勢が羅刹であることに気付きます。
しかもこの羅刹たちは昼間なのに活発に動いています。
これは不知火にとっても予想外のことで、不知火は困惑してしまいます。
ただ1つ確かなことは、このような羅刹を作り出せる人物は一人しかいないということ。
その時、羅刹軍の後方から不敵な笑い声が響きます。
「すばらしい成果だ。この日が来るのをずっと待っていた」
声の主は綱道です。
彼は風間たちのもとにいたはずですが、今は南雲薫と一緒に別行動をとっているようです。
しかも、羅刹の研究を続けて、昼間でも活動可能なうえに血を見ても暴走しない羅刹を作り出しました。
なんだか痩せこけているように見えるのは、研究に自分の血も大量に使ったということでしょうか?
千鶴のやさしい父親というイメージは完全に崩壊。
まさかマッドサイエンティスト系のキャラだったとは(^^;
次回は「遠き面影」
千鶴はついに父と念願の再会を果たすのでしょうか。
でも、その再会の結果は千鶴が望んでいたものとは大きく異なることになりそうです。
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1つは、土方と千鶴が金打(きんちょう)するシーン。
これが今回最大の見せ場かと思って油断していたら、ラストでまさかの展開が待っていました。
これ以外にも、序盤の千鶴と斎藤のやりとりも印象的で、こういう2段階、3段階の盛り上げ方はシリーズを通して初めてかもしれません。
ということで本編です。
慶応4年3月。
体調が回復しない沖田を残し、新選組は甲府城に向かいます。
途中、近藤や土方たちがかつて通っていた道場のある地、多摩郡日野に立ち寄った新選組は歓待を受けることに。
ここで1日逗留した後、近藤を残して進軍を再開しました。
やがて休憩となりますが、近藤がまだ追いついてこないことに対して永倉が不満をぶちまけます。
それを抑えるのはやはり土方です。
近藤にはそれなりの理由があるのだと言って永倉をなだめます。
そのとき、古参隊士と新参隊士のいざこざが発生。
永倉と原田が仲裁に行き、土方と斎藤(と千鶴)だけになったところで、斎藤が土方に質問します。
今回の戦に勝算はあるのかと。
土方は、甲府城に籠れない限り勝算はないと断言。
まともに戦えば、士気の面でも、練度の面でも、所有する武器の面でも劣る新選組が負けるのは確実です。
その夜、千鶴は悪夢を見ます。
幼い頃に一族が焼打ちにあい、兄である南雲薫と一緒に逃げまどった記憶でしょうか。
その記憶に土方が撃ち殺されてしまう映像が重なり、千鶴は目を覚まします。
そして、斎藤が一人で歩いている姿を見かけ、その後を追い、斎藤に話しかけました。
負け戦になる可能性が高いのに怖くないのかと。
斎藤は、死ぬことは怖くないが、信じているものを失うのが怖いと答えます。
かつて、ある旗本の子弟に果し合いを申し込まれたことがある斎藤は、試合でその子弟を斬り殺してしまいました。
その結果、武士同士の正当な戦いであったにもかかわらず、罪に問われて脱藩を余儀なくされたそうです。
斬りあって勝ったものが強い。
そういう生き方をするのが武士であると考えていた斎藤は、武士というものが何なのかわからくなってしまいました。
その後、自分の思い描く武士の姿に近いものを見せてくれる新選組と出会った斎藤は、武士のありかたを再確認することができて、今に至っているそうです。
でももう時代は変わってしまいました。
刀や槍の時代は終わってしまいました。
斎藤は、武士として生きられなくなることを恐れています。
そんな斎藤に千鶴は言います。
「確かに、武士や刀が必要とされない時代が来るのかもしれません。でもそれは斎藤さんが必要とされなくなるということじゃないと思います。斎藤さんの剣は、人を斬るだけでなく、人を助けることもできる剣です。私は池田屋で、斎藤さんの剣に助けられました」
さらに千鶴は、かつて斎藤が口にした「時代は変わっていくが、それでも変わらないものを信じている」という言葉を引き合いに出し、大切なのは武士の時代が終わっても武士の魂が変わらないことで、斎藤をはじめとする新選組の幹部たちはその意味で本物の武士だと思うと語ります。
この言葉を受けて、斎藤は、もともと武家の出ではない近藤や土方の魂が真の武士のものであると感じていたことを思い出しました。
そして一つの考えにたどり着きます。
武士というのは、外部からの影響で変わったり無くなったりするものではなく、確固たる信念を持って生きる生き様のことなのだと。
「今はただ、微衷(びちゅう)を尽くすのみか…」
最後にそう言った斎藤は、走り寄ってくる人影に気付きます。
おもわず身構えましたが、その人影は島田のものでした。
島田は緊急事態を報告します。
甲府城に敵が入ってしまいました。
将となる人物は、甲斐武田の流れをくむ者で、地元の部隊を味方につけて進軍の準備を進めています。
日野での逗留による遅れが災いし、新選組は後れを取ってしまいました。
土方は近藤への伝令を出すと同時に、陣を移動させます。
でもすべてが手遅れです。
さらに、この時点で隊士の総数は300名以上になっていましたが、事実を知った隊士の半数近くが脱走してしまい、事態は悪化する一方です。
伝令を受けて近藤がやって来たのは夜が明けた翌日でした。
さっそく幹部たちで作戦会議です。
勝てる見込みはないので、永倉と原田は退くことを進言します。
でも近藤はそれを拒否。
このまま敵の出方を見ると言い出します。
ありえない判断に永倉が反発しても、まったく意に介さず、永倉を臆病もの扱いです。
この対応に永倉はついにキレてしまいました。
が、ここで土方が江戸に行って援軍を呼んでくると発言したことで、永倉の怒りはひとまず収まります。
近藤もこの提案を了承。
土方はさっそく江戸に向かおうとしますが、出発する前に、見送りに来た千鶴に今すぐこの場を離れるよう命じます。
千鶴をここまで連れてきたのは土方ですが、ここまで状況が悪化するのは予想外だったのでしょう。
少しでも安全な場所に千鶴を逃がそうとしています。
でも千鶴は、みんなが戦っているのに自分だけ逃げるわけにいかないと言って、この命令をはっきりと拒否しました。
土方の代わりに近藤を守ると言って、自分の決意を示します。
千鶴の強い意志を感じ取った土方は、千鶴の考えを認めて新たな命令を伝えます。
「ならば新選組の一員として、雪村千鶴に近藤局長の護衛役を命じる。常に局長に付き従い、その役に立て」
さらに、命に代えても近藤を守ると答えかけた千鶴を制止し、絶対に死ぬなと付け加えることも忘れません。
「盾になろうなど、バカなことは考えなくていい。俺が帰る前に何かあったら斎藤と協力して近藤さんを逃がせ。絶対に死ぬんじゃねえぞ」
そして千鶴に小太刀を抜かせ、金打します。
「武士が誓いを立てるときにこうするもんなんだとよ。もっとも、俺もお前も正式な武士じゃねえから、所詮真似事だがな。だが、これは証だ。俺は必ず戻ってくる。お前も生き延びて俺に会うという証をいま立てた。だから信じて待ってろ。死なずにな」
土方は、自分が“まがいもの”の武士であることに負い目を感じているのでしょう。
このときの土方の寂しげで自嘲気味な表情がなんともいえません。
その頃。
新選組が崩壊しかかっていることを知ってほくそ笑む人物が二人。
一人は南雲忍。
そしてもう一人は雪村綱道です。
綱道は「時が満ちたようだな」と何やら思わせぶりな言葉を口にしました。
土方が江戸に向かってすぐに、事態は動きます。
新参の隊士が早まって発砲したことがきっかけとなり、土方の援軍を待つことなく戦いが始まってしまいました。
新選組の隊士が次々と倒れていきます。
原田が近藤に撤退命令を出すよう求めますが、近藤が応じるはずはありません。
やがて南と北から新たな敵が出現。
新選組の全滅も時間の問題です。
原田が再度撤退を進言するも、近藤の考えは変わらず、今度は自らが数名の隊士を引き連れて突撃してしまいました。
「武士ならば、命ではなく名をこそ惜しめ!」というその言葉はいかにも武士のそれですが、気合だけで勝てる時代はすでに終わってしまったことに気付いていません。
そしてすぐに、至近に砲撃を受けて吹き飛ばされてしまいます。
近藤は、周囲に倒れている隊士たちを目の当たりにし、ついに現状を認識します。
永倉の、部下を無駄死にさせないでほしいという言葉を受けて、ついに撤退を命じることに。
永倉と原田は撤退命令を伝えるために前線に向かいます。
すると近藤は、今度は斎藤に後を任せて一人で突撃しようとします。
このまま生き恥をさらすことができないからです。
どこまでも古い人間です。
でも、千鶴の必死の制止に、ようやく考えを改めてくれました。
前線に到着した原田と永倉は、不思議な光景を目にします。
なぜか敵軍が退いていきます。
原田と永倉は、この隙に隊士たちを退かせようとしますが、原田が至近に砲撃を受けて飛ばされてしまいました。
そこに現れる不知火。
土佐の連中を見張っていたら原田の姿が目に入って、いてもたってもいられなくなったようです。
因縁の対決の始まりです。
その時、隊士を撤退させていた永倉が新手の軍勢に気付きました。
その軍勢は撤退中の新選組に攻撃を開始します。
さらに、激しい戦いを繰り広げていた原田と不知火のもとにも現れ、二人を攻撃し始めました。
応戦した二人は、その軍勢が羅刹であることに気付きます。
しかもこの羅刹たちは昼間なのに活発に動いています。
これは不知火にとっても予想外のことで、不知火は困惑してしまいます。
ただ1つ確かなことは、このような羅刹を作り出せる人物は一人しかいないということ。
その時、羅刹軍の後方から不敵な笑い声が響きます。
「すばらしい成果だ。この日が来るのをずっと待っていた」
声の主は綱道です。
彼は風間たちのもとにいたはずですが、今は南雲薫と一緒に別行動をとっているようです。
しかも、羅刹の研究を続けて、昼間でも活動可能なうえに血を見ても暴走しない羅刹を作り出しました。
なんだか痩せこけているように見えるのは、研究に自分の血も大量に使ったということでしょうか?
千鶴のやさしい父親というイメージは完全に崩壊。
まさかマッドサイエンティスト系のキャラだったとは(^^;
次回は「遠き面影」
千鶴はついに父と念願の再会を果たすのでしょうか。
でも、その再会の結果は千鶴が望んでいたものとは大きく異なることになりそうです。
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2010年10月10日
今週の一本 その2(2010/10/3~10/9)―『薄桜鬼 碧血録』第13話
今年6月に1期シリーズが終了した『薄桜鬼』。
3か月あけて2期シリーズとなる『薄桜鬼 碧血録(へっけつろく)』が始まりました。
話数は継続で、第13話からとなっています。
本編のほうは、新選組内部に軋みが見え始め、今後の厳しい展開を暗示する内容でした。
次回のサブタイトルも「蹉跌の回廊(さてつのかいろう)」となっていて、史実に沿った重苦しい展開が続くのは間違いなさそうです。
慶応4年1月。
鳥羽伏見の戦いで敗退した新選組は、体勢を立て直すために江戸へ下洛。
品川の釜屋(かまや)に滞在しています。
負傷して怖気づいている隊士が多いうえ、近藤は療養のために別の場所にいるので、いまは土方が新選組をまとめるために昼夜を惜しんで働いています。
さらに、薩長との再戦の機会を得るために幕府と話し合いの場を持とうともしていますが、幕府に取り合ってもらえない日々が続いているようです。
羅刹(らせつ)になった土方は吸血衝動にも悩まされていますが、強靭な精神力でなんとか抑えている状態。
一方、永倉や原田は、鳥羽伏見の戦いが始まった途端に江戸に逃げ帰った幕府に不満を募らせています。
そして山南は、江戸でも夜の見回りと称して不審な動きを見せています。
しばらくして、新選組は秋月邸に屯所を構えることになりました。
秋月邸に移ったある日、昼間にもかかわらず、千鶴の部屋に山南がやってきます。
千鶴は、羅刹である山南が昼間に出歩いても大丈夫なのかと心配しますが、それに答える山南はなぜか笑顔。
「これほどの妙案が思い浮かんでは、ゆっくり寝てなどいられませんよ」
千鶴は鬼なので、その血を飲めば羅刹の吸血衝動を抑えられる可能性があると考えたようです。
山南は千鶴に刃を向けます。
そこに土方登場。
山南は彼なりに新選組のことを考えているようですが、こんなやり方を土方が認めるはずがありません。
山南はとりあえず引き下がります。
でも、千鶴の血を諦めたわけでないのは明白。
そのまま部屋を出て行こうとする山南に土方が尋ねます。
夜の見回りと称して辻斬りをし、血をむさぼっているのではないかという疑問をそれとなくぶつけました。
山南はもちろん否定します。
さて、近藤と同じく負傷して屯所を離れている幹部がもう一人。
沖田です。
銀の銃弾のせいで回復が遅れているので、上野で療養しています。
労咳の症状も進行しているはずです。
そんな沖田を千鶴が見舞います。
上野で警護の任に就く斎藤に案内してもらって来たようです。
沖田は、人を斬ることしかできない自分がこの状態では、新選組にいられなくなってしまうと悩んでいました。
やがて、傷が回復した近藤が新選組に復帰してきます。
近藤は隊士たちを前に、今後の行動について説明。
甲陽鎮撫隊(こうようちんぶたい)として甲府城へ向かえとの幕命を受けたことを伝えます。
薩長を迎え撃つこの任務が成功すれば、甲府城をもらえると意気揚々と語る近藤。
その後、幹部だけでの話し合いとなったとき、永倉が、今回の話を持ってきたのは誰なのか近藤に尋ねます。
近藤の答えは、勝安房守(かつ あわのかみ)でした。
勝海舟は大の戦嫌いらしいという噂があるので、永倉は不信感をあらわにします。
そもそも将軍からして薩長に従う気らしいのに、この命令はおかしいのではないか。
それでも近藤は、今回自分が若年寄の身分をもらえることになったと喜びを隠せません。
さらに、武勲を立てたものは家来として取り立ててやると嬉々として語ります。
これに対して永倉が「俺は新選組の組長だ。が、あんたの家来になるつもりはねぇけどな」と不満を口にします。
原田もこれと同じ考えのようです。
これまで近藤は偉ぶったことを一切言わなかったのに、今は自分たちを家来扱い。
もともと幕府に仕えるのは本意ではないので、不満が募ります。
でも、勝海舟が戦嫌いだろうと、避けられない局面があれば戦うはずだという土方の言葉でとりあえず納得しました。
土方はさらに、山南に向かって、羅刹隊は屯所に待機するよう命じます。
甲府には新選組以外の兵士たちもいるから、羅刹の姿を外部にさらすわけにはいかないとの判断です。
山南は納得できず抗議しますが、いずれ活躍する機会もあるという土方の言葉にしぶしぶ従うことに。
翌日、新選組は甲府行きの準備を進めます。
隊士たちは土方の指示で洋装に衣替え。
大砲や銃を使う西洋式の戦いにはそのほうが向いているからです。
洋服に慣れていない斎藤がボタンのかけ間違いを千鶴に指摘されて照れ隠しする、和むシーンも見ることができました。
最後に土方は千鶴に言います。
本来なら千鶴は屯所に残していくべきだが、羅刹隊と一緒に残していくことはできないと。
風間の襲撃の可能性もあるので、一緒に来るよう命じました。
千鶴は最初からそのつもりだったのでしょう。
笑顔でうなずきます。
そしていよいよ、新選組は甲陽鎮撫隊として甲府へ向け出陣。
次回、残念ながら新選組は甲府で再び敗退することになります。
風間や南雲薫が登場するようなので、鬼の件についてもそろそろ動きがあるでしょうか。
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3か月あけて2期シリーズとなる『薄桜鬼 碧血録(へっけつろく)』が始まりました。
話数は継続で、第13話からとなっています。
本編のほうは、新選組内部に軋みが見え始め、今後の厳しい展開を暗示する内容でした。
次回のサブタイトルも「蹉跌の回廊(さてつのかいろう)」となっていて、史実に沿った重苦しい展開が続くのは間違いなさそうです。
慶応4年1月。
鳥羽伏見の戦いで敗退した新選組は、体勢を立て直すために江戸へ下洛。
品川の釜屋(かまや)に滞在しています。
負傷して怖気づいている隊士が多いうえ、近藤は療養のために別の場所にいるので、いまは土方が新選組をまとめるために昼夜を惜しんで働いています。
さらに、薩長との再戦の機会を得るために幕府と話し合いの場を持とうともしていますが、幕府に取り合ってもらえない日々が続いているようです。
羅刹(らせつ)になった土方は吸血衝動にも悩まされていますが、強靭な精神力でなんとか抑えている状態。
一方、永倉や原田は、鳥羽伏見の戦いが始まった途端に江戸に逃げ帰った幕府に不満を募らせています。
そして山南は、江戸でも夜の見回りと称して不審な動きを見せています。
しばらくして、新選組は秋月邸に屯所を構えることになりました。
秋月邸に移ったある日、昼間にもかかわらず、千鶴の部屋に山南がやってきます。
千鶴は、羅刹である山南が昼間に出歩いても大丈夫なのかと心配しますが、それに答える山南はなぜか笑顔。
「これほどの妙案が思い浮かんでは、ゆっくり寝てなどいられませんよ」
千鶴は鬼なので、その血を飲めば羅刹の吸血衝動を抑えられる可能性があると考えたようです。
山南は千鶴に刃を向けます。
そこに土方登場。
山南は彼なりに新選組のことを考えているようですが、こんなやり方を土方が認めるはずがありません。
山南はとりあえず引き下がります。
でも、千鶴の血を諦めたわけでないのは明白。
そのまま部屋を出て行こうとする山南に土方が尋ねます。
夜の見回りと称して辻斬りをし、血をむさぼっているのではないかという疑問をそれとなくぶつけました。
山南はもちろん否定します。
さて、近藤と同じく負傷して屯所を離れている幹部がもう一人。
沖田です。
銀の銃弾のせいで回復が遅れているので、上野で療養しています。
労咳の症状も進行しているはずです。
そんな沖田を千鶴が見舞います。
上野で警護の任に就く斎藤に案内してもらって来たようです。
沖田は、人を斬ることしかできない自分がこの状態では、新選組にいられなくなってしまうと悩んでいました。
やがて、傷が回復した近藤が新選組に復帰してきます。
近藤は隊士たちを前に、今後の行動について説明。
甲陽鎮撫隊(こうようちんぶたい)として甲府城へ向かえとの幕命を受けたことを伝えます。
薩長を迎え撃つこの任務が成功すれば、甲府城をもらえると意気揚々と語る近藤。
その後、幹部だけでの話し合いとなったとき、永倉が、今回の話を持ってきたのは誰なのか近藤に尋ねます。
近藤の答えは、勝安房守(かつ あわのかみ)でした。
勝海舟は大の戦嫌いらしいという噂があるので、永倉は不信感をあらわにします。
そもそも将軍からして薩長に従う気らしいのに、この命令はおかしいのではないか。
それでも近藤は、今回自分が若年寄の身分をもらえることになったと喜びを隠せません。
さらに、武勲を立てたものは家来として取り立ててやると嬉々として語ります。
これに対して永倉が「俺は新選組の組長だ。が、あんたの家来になるつもりはねぇけどな」と不満を口にします。
原田もこれと同じ考えのようです。
これまで近藤は偉ぶったことを一切言わなかったのに、今は自分たちを家来扱い。
もともと幕府に仕えるのは本意ではないので、不満が募ります。
でも、勝海舟が戦嫌いだろうと、避けられない局面があれば戦うはずだという土方の言葉でとりあえず納得しました。
土方はさらに、山南に向かって、羅刹隊は屯所に待機するよう命じます。
甲府には新選組以外の兵士たちもいるから、羅刹の姿を外部にさらすわけにはいかないとの判断です。
山南は納得できず抗議しますが、いずれ活躍する機会もあるという土方の言葉にしぶしぶ従うことに。
翌日、新選組は甲府行きの準備を進めます。
隊士たちは土方の指示で洋装に衣替え。
大砲や銃を使う西洋式の戦いにはそのほうが向いているからです。
洋服に慣れていない斎藤がボタンのかけ間違いを千鶴に指摘されて照れ隠しする、和むシーンも見ることができました。
最後に土方は千鶴に言います。
本来なら千鶴は屯所に残していくべきだが、羅刹隊と一緒に残していくことはできないと。
風間の襲撃の可能性もあるので、一緒に来るよう命じました。
千鶴は最初からそのつもりだったのでしょう。
笑顔でうなずきます。
そしていよいよ、新選組は甲陽鎮撫隊として甲府へ向け出陣。
次回、残念ながら新選組は甲府で再び敗退することになります。
風間や南雲薫が登場するようなので、鬼の件についてもそろそろ動きがあるでしょうか。
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